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気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

一太極拳指導者の独り言

2016-12-09 16:33:27 | 太極拳
 太極拳を指導していて、生徒からよく言われること幾つかある。
①「先生と一緒にやるとできます」
 それを「できる」とは言わない。誰もいない処で一人でできて、はじめて「できる」と言える。
②「型(套路)を途中からではなく、最初からならできます」
 一つのひとつの動作がまとまったのが型なのだから、単発で練習しても良いし、何処から始めてもいい。
③「自分で練習しようとしても動作を思い出せません」
  練習をしない典型的な言い訳の一つ。丹田の上下運動だけでも「開合(陳式太極拳の基本)」の練習になる。「家が狭い」と言う人が
 いるが、一畳あれば十分練習できる。
④「何を質問してよいのか、わかりません」
  何も感じず、考えずに生きているということ。太極拳についての知識など何も持っていなくても、質問などはいくらでも湧いて来るも
 のだ(考えるのではなく、湧いて来るのだ!)。
⑤「(太極拳は)難しい」
 この言葉を聞くとがっかりする。最後に陳式太極拳を教えてくれた先生は、一日少なくても9時間は武術の練習をしていた。私は気功
 の授業などを入れても6時間程度だった。先生ほど練習をしない者がどうして「難しい」などと言えるのか。
 眼の前のことをしていれば、難しいかどうかなんて考えもしないものだ。
 

太極拳を上手くなりたければ

2016-09-16 16:27:40 | 太極拳
 20年間、健康法としての太極拳を指導している私が、太極拳を上手くできない理由を一つだけ挙げるとすれば、それは「意識(何をどう考えているのか)」である。偏った意識は筋肉の緊張として常にからだに反映しているから、そのまま太極拳にも現れる。
 多くの人は腕や足の位置など太極拳の動作を考えている。形が太極拳だと思い込んでいるからだ。それは偏りになる。私は形の中の方が大事だと思っている。筋肉の緊張と弛緩のバランスである。それを実現するために、偏らない意識を持つ。それを「立つ」練習で身に付ける。そうしてバランスを整えてから太極拳をすると、良い質で動ける。
 動作を憶えるまでは仕方がないが、後は質的に向上することを目指した方が良い。しかしながら昔から巷の太極拳教室では一つの型を憶えたら次の型…ということが多いようだ。型を多く覚えてもからだの質的向上にはならない。
 どういう意識を持ったらいいのか、それはまたいずれの機会に。

スポーツクラブでの太極拳

2015-11-19 12:49:46 | 太極拳
 週二回指導をしているスポーツクラブが近くに移転した。新しく会員になった人が、気功と太極拳のクラスにも多く参加したが、二日目には半減した。彼らはちょっと試してみたかっただけなのか、或は期待していたものと違っていたのだろうか。
 エアロビクスダンスをはじめ、からだを激しく動かすプログラムは、適当に汗をかいて、疲労もあるから「運動した感」を持ちやすいだろう。しかし太極拳は安易な快感を求める種目ではない。からだのバランスを整えることから始まり、力をどう全身に伝えていくのかという「からだの使い方」を学ぶ。バランスが悪いままに動いては、身につくものも身につかないからだ。太極拳は型(外形)だけを追いかける「単なる体操」ではないのだ。からだの感覚を磨き、それを基準に自ら整えていくものである。
 私はこういう考えを持ち指導をしているが、もし今後スポーツクラブの方から、大衆向けの内容(型だけをどんどんやって欲しい等)に改めることを言われたら、辞めることにためらいはない。

からだは丸い

2015-01-30 10:00:32 | 太極拳
 からだはひとつである。当たり前すぎて聞き流してしまう人が多いだろう。しかし実感としてそう思い、そのような使い方をしている人は少ない。
 野口整体の創始者である野口晴哉氏は、からだをひとつだと思っていた人である。だから身体の何処に触れても、そこではない別の処を治すことができた。普通の人はそうはいかない。「肩が痛い」と言われれば肩に、「腰が痛い」と言われれば腰に手を当てたくなってしまう。
 からだはボールだと思えばいい。丸いボールなら、何処に触れても同じである。足と腕は違うものだと思ってしまうのは、言葉(概念)と形にとらわれているからだ。物事を分節する言葉が無ければ、からだはひとつになる。言葉よりも意識(イメージ≪映像や感覚≫)でからだを一つにしていく。
 太極拳も然り。(私は読まないが)マニュアル本にはおそらく、腕をどうしろ、足はどうしろ…と書いてあるに違いない。しかしその通りにしても上手くはならないのは、それ以前にからだのつながりが無いからである。動作をする前に、イメージでからだを上下・左右・前後に拡げると、からだは球状になっていく。見た目には上下に細長いからだが、感覚としては丸いボールのように感じるのである。そうなれば後は、そのつながった感じを大事に(維持して)動くようにすれば良いのである。

太極拳で大事なこと

2015-01-23 11:04:20 | 太極拳
 「太極拳を学ぶ時、一番大事なことは何だ」と問われたら、「感受性を磨くことだ」と答える。太極拳は型(套路)だけを学べば良いと思っている人は多いが、その外形には、からだの内側(筋肉やココロ)の様子が現れているのである。からだの内側を整えられずに、良い太極拳はできない。からだの内側を知るために「感受性を磨くこと」が必要なのである。たとえば重心を左右(前後)に(6対4或は7対3)で分けなければいけないときに、5対5になってしまう人がいるが、感覚が鈍い(自分の重心を把握できていない)のである。最も多い偏りは、腕だけで太極拳をしようとする人。全身をつなげて使うことができず、腕だけで動いてしまう。それは本人の意識が、からだの内側に向かわず、ただ外形を追い求めてしまった結果である。
 大事なことは、からだの内側の感覚に意識を向け、緊張と弛緩のバランスを整え続ける(余分な力を抜く)ことである。それが、「感受性を磨くこと」になる。
 上記のようなことを教室で話すのだが、わかってくれる人もいるが、そうでない人もいる。中にはとにかく太極拳のような形を真似て、動いていればそれでいいという人もいる。太極拳は型をいくら繰り返しても良くなることはない。ただ慣れるだけである。それは毎日歩いていても歩き方が良くならないのと同じである。このような人に「感受性を磨くこと」の大事さを説いても伝わることはない。本人の意識(観念)が変わらない限り、動作も変わらないのだが・・・。