T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

1559話 [ 「下町ロケット・ゴースト」大要 2/3 ] 9/27・木曜(曇・晴)

2018-09-26 19:37:25 | 読書

「下町ロケット・ゴースト」の大要

「第五章 ギアゴースト」

-1-(バルブコンペは佃の勝利。トランスミッション戦略の第一歩を踏み出した)

 ギアゴーストの依頼を受けて、モーター科研が佃のバルブに良好との評価結果をつけて返送されたのは、年が明けた1月のことだった。

 ギアゴーストの担当者が大森と佃の評価結果と所見書を島津に提出した。

 バルブコンペは、島津が社長室に入って10分もかからず佃製作所に決まった

 大森バルブは、ハイスペックのためコストが高い。

 島津は、「佃製作所のは細部への作りが凄くいきとどいている。素材も相当厳選している。重量や燃料への影響、それにコスト。全部計算しつくした上で、ウチのトランスミッションとのベストマッチを狙ってきた。これは実は見かけ以上にすごいバルブだよ」と部下に教える。

 佃製作所内では、朗報を受け、軽部が「お前らと一緒に仕事ができて、まあなんて言うか―――楽しかったぜ」と思いがけないひと言を立花とアキに投げる。そして、「ふたりを連れて社長のところへ行ってきます」と山崎に言って歩き出した。

-2-(コンペに負けた大森バルブが、ギアゴーストとの取引停止の通告を出す)

 コンペに負けた大森バルブの営業部長は、自社の知財部長の尾高仁史から、ギアゴーストが特許侵害で潰れるかもしれないとの情報を得る。

 損害を少なくするため、大森バルブのほうから、ギアゴーストへの供給は契約期日で打ち切ることの事前通告を出すことにした。

-3-(ケーマシナリーの代理人から内容証明郵便が届き、顧問弁護士のところへ)

 トランスミッションメーカーのケーマシナリーから、特許侵害をしていると指摘され、代理人の弁護士・中川京一らの差出名で内容証明の郵便がギアゴーストに続く

 伊丹と島津は顧問弁護士の末長弁護士のところへ向かう。

-4-(伊丹と島津は末長弁護士を訪ねる)

 内容証明の中味は、御社が製造するトランスミッション「T2」を構成する副変速機はケーマシナリーが取得している特許を侵害しているので、当該副変速機の製造及び搭載の中止を要請するものです。と同時に、本件侵害について経済的な対応を要請するものです。

 島津が説明する設計書や特許公報を見た末長の考えは、侵害していることは間違いないので、裁判では勝てる見込みはなく、特許実施料の支払い交渉になるでしょうとのことで、週明けに相手代理人とのアポを取った

-5-(代理人・中川はライセンス料15億円を要求する)

 中川弁護士は計算書を見せてライセンス料は合計で15億円になると示し、ケーマシナリーは今まで減額するなど譲歩したことはありませんと厳しい言葉で要求する。そして、侵害したのは御社であることを忘れず、検討し返事してくださいと言う。

 事務所を出た末長は、「ケーマシナリーの目的はギアゴーストを潰すことだから、何とか資金調達してここを凌ぐことです」と言う。

-6-(伊丹は会社を生かすために出資者を探す)

 翌日、伊丹は島津に交渉の結果を報告し、「出資者を見つけてどこかの傘下に入るしかない。その場合、社員の雇用の維持だけは条件にしたい」と言う。

 とにかく、この会社を生かすために、出資者を探し出すと決意を示した。

-7-(敵と味方と思っていた、ふたりの弁護士の前祝)

 銀座の有名なイタリアンの奥まった個室。

 招かれた弁護士と中川弁護士は白ワインで乾杯した。

 招かれた男が、ベンチャーキャピタルで断られ、M&Aの仲介業者に難しいと言われ、取引先の大森バルブにも断られているとのことだと言う。

 勝負あったというところかなと前祝の乾杯をする。

-8-(ヤマタニの入間が、伊丹に出資者として佃を紹介する)

 伊丹は入間に、「ケーマシナリーから特許侵害を指摘され、15億円のライセンス料を要求されている。ヤマタニさん弊社への出資を検討していただけないか」とお願いする。

 入間は、自社では無理だと応じる。しかし、佃であれば特許訴訟で巨額な和解金を勝ち取った超優良企業でもあるので、検討してもらえるかもわからないと答える。

 

「第六章 島津回想録」

-1-(伊丹らはヤマタニの入間の仲介で、佃にギアゴーストへの出資を願い出る)

 伊丹と島津のふたりが、佃製作所を訪ねてきたのは2月最初の水曜であった

 佃の問いに、伊丹が今までの経緯を説明する。

「ケーマシナリーから、『T2』に搭載してる弊社製造のトランスミッションの副変速機が特許侵害であるとの指摘を受け、弊社顧問弁護士の末長は裁判に勝つことは不可能で、ライセンス料15億円が必要になっている」

 続けて、「うちへの出資を検討していただけないか。もし、いただければギアゴーストを譲渡する。ただし、社員の雇用は守っていただきたい」と申し出た。

 佃は社内検討のため、時間をいただきたいと答える。

-2-(ギアゴーストの買収についての神谷弁護士の助言)

 佃は、伊丹と島津から相談のあった翌日、神谷顧問弁護士の法律事務所を訪ねた。

 神谷は対抗手段がなくはない。クロスライセンス契約を狙えないかと教示する。

 佃は、ギアゴーストの買収を前向きに考えていることについて、神谷に胸の内を明かした。

「もし、トランスミッションメーカーを傘下に収めることができれば主力のエンジン事業とかなりの相乗効果を発揮することができる。本音を言えば巨額のライセンス料を全額払っても一緒にやりたい」と告げる。

 神谷は、「買収のために企業精査の他に、ケーマシナリーのトランスミッションを手に入れ、リバース・エンジニアリングで特許侵害の有無を精査する必要がある」と助言すした。

 リバース・エンジニアリングとは、他社製品をバラし、その構造や技術を検証する作業のことをいう。

-3-(佃製作所とギアゴーストが共同で行うリバース・エンジニアリング)

 佃は、ビジネスに戦略は必要だが、会社も人と同じで損得以前に道義的な正否が大切だからとして、神谷からの助言を伊丹に伝えて、共同でリバース・エンジニアリングの作業をすることにした。

-4-(特許侵害に対する神谷の質問)

 島津らと共同でリバース・エンジニアリングに取り組んでいる佃製作所へ神谷が訪ねてくる

 神谷は島津に、特許侵害だといわれている副変速機は、いつ頃、設計図面が完成したのかと尋ねる。

 島津がパソコンから読み上げたのは3年ほど前の日付で、それが何かと質問する。

 神谷は、「ケーマシナリーの特許公報を調べると、先ほど、あなたから告げられたギアゴーストの製品設計が完成した日から1週間後に『クレーム補正』(権利範囲の変更)をしています。その範囲は御社の副変速機を意識したものでして、そこが、どうも不自然なのですが、設計情報が外部に漏れていませんか」と尋ねる

 外部に漏れることはありませんと言う島津に、神谷は、あなたが考案した副変速機について、なぜ特許申請をしなかったかと尋ねる。

 島津は、「以前から公けに知られている技術に少し応用を加えたもので、特許にするほどのものではないと解釈していました」と答える。

-5-(帝国重工は島津の才能を不要と排除する)

 島津は帝国重工で車両用トランスミッションの開発に従事していたが、保守的な古くさい帝国重工の組織は、旧来の路線を否定する島津の才能を不要として排除し、総務部へ転任させた。

 ここには自分の居場所はないと、伊丹の誘いに乗ってギアゴーストの副社長になった。

 

「第七章 ダイダロス」

-1-(仮説の検証)

 佃がギアゴーストの伊丹、島津と共に、神谷の事務所を訪ねたのは、リバース・エンジニアリングが成果なく終わった2月半ばのことだ

 ケーマシナリー代の人の中川が設定した回答期限が数日先に迫り、出資を考える佃を含め、今後の対応について詰める必要があった。

 佃から、ギアゴーストさんへの出資という形で何とか救済したいがいかがでしょうかと尋ねた。

 神谷は佃の質問に答えず、伊丹と島津に、ケーマシナリーの特許のクレームの補正時期に不自然のところがあることから、社員等からの情報漏洩があったのではないか、もう一つ神谷が手に入れたデータから、末長と中川は、隠しているが昔から親しくしていた間柄でなかったのか、いわゆる「仮説の検証」のためのヒヤリングをしたが、末長を信用している伊丹らは感情を害して帰って行った。

 神谷は残った佃に、先ほど事務所を出る前に伊丹にも封筒入れて渡した、業界誌の対談集コピーを見せて、中川と末長は友人関係にあることを告げた。また、先日、島津が話したギアゴースト製の副変速機の技術と構成の基本は、以前から公けになっている技術と言ったことから、もとになる論文があると推論し、佃にその検索作業の手伝いを頼む。

-2-(訴訟手続きへの移行)

 伊丹と末長は中川との二回目の特許侵害の交渉に臨んだが、交渉は決裂し、中川は訴訟手続きに移行することを告げた。

-3-(ギアゴーストの買収に、旧重田工業の社長が現われる)

 中川弁護士の仲介で、ギアゴーストの買収をしてもよいというダイダロスの社長の重田登志行氏が現われる。

 重田登志行は、伊丹が帝国重工時代に倒産した下請け企業の重田工業の社長で、倒産には伊丹が関わっていたのだ。

-4-(重田工業の倒産経緯)

 当時、伊丹が所属していた帝国重工の機械事業部は赤字が続いていて、新部長に的場俊一が起死回生の切り札として送り込まれ、的場は様々な容赦しない施策を打ち出した。

 それを受けて、伊丹も下請け企業にコストダウンを要求した。重田工業はそのことに非協力的な態度をとるので、的場の意向により、取引を中止した。そのために重田工業は倒産したのだ。

-5-(ダイダロス社長重田登志行の買収案)

 買収案の1番目は、買収はダイダロスが行う。2番目はケーマシナリーの紛争とその賠償などにかかる費用は一切負担する代わりにギアゴースト全株式の無償譲渡を希望する。3番目は従業員の雇用は保証しない。4番目は伊丹社長が社長を続行する。

 伊丹は、重田工業の倒産に関わったことを気にしてか、賠償などにかかる資金のめどが、佃製作所しか候補がない状況にあることからか、従業員の雇用を保証しないという伊丹のアイデンティティを踏みにじるものであるにもかかわらず、検討するので時間をいただきたいと持ち帰る。

-6-(末長弁護士に疑いを持ち、神谷に弁護を依頼する心が動く)

 神谷から先日渡された封筒を開けると、業界誌に掲載されている中川京一と末長孝明の対談記事が出てきて、その記事からふたりが親しい間柄にあることが解った。

 伊丹は、先日失礼した神谷であったが、頭を下げて弁護を依頼したいとする心が動いた。

 東京地裁からの訴状が届いたのは、その2週間後のことであった。

-7-(副変速機に関連する論文を探す佃)

 佃は、神谷から頼まれた目当ての論文を家に帰っても探す。

 娘から何か開発するのかと尋ねられると、救いたい会社があるのだと言って、その作業に熱中する。

 

 [ギアゴーストのトランスミッションに特許侵害があるとケーマシナリーに訴えられる]

 [佃はギアゴーストを救いたいと神谷の援助を受けて頑張るが、訴状が届く]

    「第八章 記憶の構造」に続く

 

 

 

 

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