T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

1556話 [ 「看る力」から抜粋 ] 9/19・水曜(晴・曇)

2018-09-18 12:19:32 | 読書

 

看る力 アガワ流介護入門

 作家、インタビュアーとして活躍する一方、94歳で亡くなった父・弘之氏を看取り、いまは認知症の母の世話をするなど、介護経験豊富な阿川佐和子、1万人以上のお年寄りと向き合い、6千人以上の最期を看てきた高齢者医療の第一人者、大塚宜夫医師。

 二人が語る親&伴侶の正しい介護法、理想的な老後の生活術―――。

「私の心に留まった文章の抜粋」

 Ⅰ 看る力 家族編

 1 好物は喉につまらない

 阿川 父がある日、「鰻を食べたい」と言い出した。

    誤嚥性肺炎が治ったばかりだし、小骨が引っ掛かったらどうするんだ、

    さすがに鰻はまずいだろうと先生に相談したら、

   「ああ、いいんじゃないですか」とあっさり。あれにはびっくりした。

 大塚 心配し出したらきりがない。

    ご本人が食べたいものを食べていただくのが一番でしょ。

    不思議なことに、たとえ飲み込みに障害がある人でも

    好きなものなら喉を通るんですよ。

 

 大塚 食べるっていうのはね、人間の最後まで残る楽しみであると同時に、

    高齢者の生きる力を測る目安としても、とても大事です。

    ヨーロッパの高齢者施設を視察したときに、痛感しました。

    食事を食欲をそそるように見せ、

    飲みこみやすい形にカットするなど工夫をこらす。

    また、口に運ぶ介助も十分にやる。

    でも、それを本人が自分の力で飲み込めなくなったら、

    それ以上の対処はしないんです。

 阿川 点滴もしない?

 大塚 しません。はっきり言えば、自分で飲み込めなくなったら、

    つまり、食べられなくなったら、その人の生きる限界だということです。

2 医療より介護、介護より生活

 大塚 寝たきりでも認知症でも病気でも、どんな方でも、

   「ここで過ごす時間は人生の最後に誰もが経験する生活の一時期なんだ」

    と考えました。

    生活することを基本に据え、環境を豊かにする。つまり、衣食住を整える。

    そのうえで介護と医療をくっつける構造にしょうと。

 阿川 医療より介護、介護より生活、という方向に優先順位をひっくり返した

4 バカにしない、怒らない、とがめない

 阿川 認知症の人は、まわりから見たら理屈に合わない発言や行動でも、

    本人にとっては、残った記憶と情報をもとに行動しているわけだから、

    整合性はあるわけですね。

 大塚 そこが私たちが最も理解しなければならないポイントです。

    本人がうまく処理できなくても非難しないこと。

    とがめたり諫めたりしても何の役にも立ちません。

    本人としては少ない記憶を駆使して自分なりにベストの判断をくだし、

    行動しているわけですから、怒られる意味がわからないのです。

    それよりも、まず、バカにされない、叱責されない、とがめられない、

    という安心感を与えらることが大事。

    これは、認知症の対処法の基本です。

    (これは高齢者に対しても同じだろうと思います)

    よく、認知症になると「子供に返る」って言いますが、違います。

    認知症の人は、言われたことを覚えていられないのです。

    新しく記憶できないのです、学習できないのです。

    教育的な効果は、絶対期待しちゃいけないんです。

 阿川 うちはマンションだから雨戸がないのに、

    母は何度も「雨戸を閉めないと」と言います。

    私は、はじめて聞いたように「うちには雨戸がないんだよ」と言います。

 大塚 何を言われても決して否定しないことです。

    時には「雨戸ね、閉めましょう」とオウム返しをすればいいんです。

5 介護は長期戦と心得よ

 大塚 介護の専門家としては、

   「全力でやらない。できるだけ多くの人を巻きこんでやる」を徹底する。

   「介護する側が極力いい精神状態を保てるようにすること」が、

    介護を長く続けるための基本中の基本。休み休みが基本。

7 イライラしたら笑っちゃおう

 大塚 認知症で介護が必要になったお母さんに対して、

   「愛しい」って、なかなか言えることじゃありません 。

    一番大事なことは、「お母さんが大好き」 という気持だと思います。

    そういう前向きな気持ちは、相手が認知症でも伝わっています。

    認知症の人って、「気」には極めて敏感です。

    そして、感情の記憶は、最後まで残るのです。

    キツく接すると、「この人は私に対して、いい感情をもってない」、

    という不信感だけが残るのです。

9 認知症でも一人暮らしを

 大塚 私は老人病院の会長ですが、高齢になったも、

    できるだけ自宅での生活を続けた方がいいと考えているんです。

    一人、あるいは高齢者同士の暮らしは、

    少々体調が悪くても自分で動かざるを得なくて、緊張感があります。

    一見過酷に思えますが、老化防止や認知症の進行を防ぐ特効薬です。

15 介護される立場で考える

 阿川 私は「母の気持はどうなのか?」って考えることのほうが大事―――。

 大塚 そう。家族として、当の本人にとってはどうかという視点、

    これを絶対に忘れてはいけませんね。

Ⅲ 看られる覚悟―――あなたが高齢者になったら

23 七十五歳が節目

 大塚 75歳を過ぎたらじっとしているだけで筋肉は細り、関節は固くなり、

    バランスをとる能力もガタッと落ちていく。

    ましてや安静を保つ必要のあるケガや病気をすると、

    体の機能も気持ちも一気に衰えます。

    例えば、風邪を引いて寝込んだら、風による消耗に加えて、

    寝ているだけで筋力や体力がどんどん落ちていまうから、

    元に戻らなくなってしまいます。

24 老人に過労死なし

 大塚 若い頃は体を休ませ、体調をよく保つことで気力充実といった感じでしたが、

    75歳を過ぎたら、体の言うこと聞いて楽させたらもう終わり。

    体が何と言おうと、気力に体力を引っ張らせることこそが大切ですよ。

    予定があるならとにかく出かけましょう。

 阿川 甘やかすな、と。

 大塚 そうです。75歳を過ぎて使わなかったら、体はたちまち衰えます。

30 そこで働く人を見て施設を選ぶ

 阿川 いま高齢者向けのビジネスがどんどん広がり、

    老人施設や老人病院が増えています。

    これをどう見分けるか、その基準やヒントはありますか?

 大塚 一番いいのは、そこで働いている人の表情を見ることです。

    働いている人の表情や立ち居振る舞いは、

    自分のやっていることへの誇りや自信、心の状態の集大成だからです。

 

         

 

    

 

 

 

 

 

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