T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

雛祭り!!

2014-02-25 13:13:13 | 日記・エッセイ・コラム

 

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 我が家は老夫婦二人なので、準備が大変で今は雛飾りはやらなくなった。

 しかし、飾り箪笥に小さい人形が沢山入っているので、年中、雛飾りをしているようなもんだ。

 ちなみに、「桃の節句」というのは、北国などで新暦4月3日に雛まつりをするところからいわれるようだ。

 

 立春も過ぎ、雛祭りが来ると、待ちに待った春が本当に来たと実感する。

 三月の寒の戻りが済んだら、また、少し家の中の整理をして不要な本や衣類を捨てるようにしたい。

 

 

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梅見!!  -920回ー

2014-02-23 09:32:58 | 日記・エッセイ・コラム

 

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 昨日2/22、久し振りの晴天だったので、公園の梅林に梅の花を見に行った。

 梅の種類によるが、少し遅すぎたもの、見ごろのものと色々だった。

 同じ公園に、昨年は2/15、一昨年は2/27に来ていた。

 写真で見比べてみると昨年と同じぐらいの咲きようだった。

 梅の花の見ごろは、6分咲きぐらいが良いようだ。

 咲いている花が少ないぐらいといったほうが分かりやすいかな。

 

 山に近い空港の手前にある園芸センターの梅は、3月上旬が見頃だった。

 ここも天気が良ければ、今年は少し早めに行って、椿も見てみたいと思っている。

 

 いずれにしても、待ちに待った春が来たと感じられる時期になった。

 明日24日あたりから、気温も最低が0度、最高が9度以下といった日がなくなるようだ。

 

 

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池井戸潤著「鉄の骨」を読み終えて! -6/6-

2014-02-22 09:06:39 | 読書

「最終章 鉄の骨」

(1)

 尾形は、平太に、昨夜三橋顧問と会って、瀬戸内海橋梁工事から村田組が外れて元に戻ることで納得したので、調整の形ができた。そのため三橋顧問から調整のための予定入札金額が伝えられるはずだから聞いて来てほしいと命じられた。

 三橋から、最初は1890億円と書き、2回目は1850億円と書いてくれと言われた。平太が、真野が投じる額はと聞くと、1680億円だと答えてくれた。

(2) 略

(3)

 東京地検特捜部は、トキワ土建から城山への資金ルートとを掴み、以前から探索していた地下鉄工事の談合の動きを確実に把握したので、部長のもと、関係先へのガさ入れの打ち合わせがなされた。

(4)

 帰社した平太は、尾形に、金額を書いたメモを出して報告すると、メモをデスクの引き出しに放り込み、ご苦労と言うだけで終わった。

 兼松たちに報告すると、尾形の内心の覚悟を知らない西田は、今までの苦労もこれで水の泡か、今のコスト管理作業はどうするのか、確定していないコストもあるのに相手に断るのか。一松組の1570億円は幻となり、もし、公正入札であれば110億円安く地下鉄が完成するので、社会への背信に協力したことになると反論する。兼松は尾形の潜りの覚悟を知っているので、仕事は公正入札のつもりで続けてくれと言う。西山は、虚しい演技を継続しろと言うことですかと嫌味を言う。兼松は、尾形から演技でなくて、実際にコスト交渉未了のものは継続してほしいと言われているので、そうしてくれと言う。

(5) 略

(6) 

 入札を明日に控えた夕方7時、明日の母の手術に立ち会うため、平太は、東京駅にいた。

 「兼松から携帯に、申し訳ないが、今すぐ帰社してくれないかと電話が入った。

 村田組が、先週、倒産した横浜百貨店の新店舗工事を博多駅周辺で請け負っていたのだが、それが宙に浮いて数百億円の損失を受けた。そのため、再度、例の瀬戸内海橋梁工事に参入させろといってきたのだ。

 そのため、三橋から再調整のすり合わせをしたいとの連絡が入り、平太を呼び戻したのだ。」

 尾形が、平太に、 「どんな条件変更も受けられない。それがウチの方針だ。」の一点張りで、ぜひ、お前に行ってもらいたいと言う。

(7・8・9・10・11)

 山崎顧問室で4社のやり取りがあり、数時間の後の結論は、今後、三橋からの村田組への工事情報は一切出さないことで、村田組は調整から外された(仲間外れにされた)。

 入札当日の午前1時、平太が帰社して、入札用紙に尾形自ら金額を記入し、社長の承認印を貰って、平太に渡した。

 尾形も出席し、入札が始まり、執行官から入札金額が発表された。山崎組JV、1870億円。真野建設JV、1645億円。村田組JV、1650億円。最後に一松組、1570億円。

 「一度は落札したと安堵を浮かべた筈の真野建設の長岡は、顎が外れんばかりの大口を開けたまま、瞬きさえ忘れている。三橋の視線はただ一つ異質で、それはまるで、遊びに取れ遺された少年が浮かべたような、もの哀しい目で会った。」

 騒然となった会場に変化が起こったのは、まさに、その時であった。 「動かないでください。東京地検特捜部です。家宅捜査をするので、全員その場に着席して手荷物に手を触れないでください。」と検察官が捜査令状を掲げた。その後をついで、特捜部長が、入札のほうは一松組で決定しておりますとの知らせに、全員の顔が部長のほうに向いて一瞬動かなかった。

(12・13・14・15・16) 

 東京地検特捜部は尾形への事情聴収も打ち切った。一松組だけは無傷だった。

 (真野建設も山崎組も、村田組も当分の間、全国で指名停止を受けて何もできなくなるのだ。)

 兼松たち業務課の4人が居酒屋にいた。西田が兼松に代わって平太の知らないことを話ししだした。尾形は自社が得意とするトンネル工事が交通局の計画時点から死ぬほど欲しかったのだ。 「そのため、尾形は策略としは、全社挙げてのプログラムチームを組むことは当然だが、一松組は秘密が漏れないようにJVを組まなかった。三橋と同郷の平太を業務課に移し連絡係として、自分は調整の席から身を隠し、潜りを断行した。そして、内部告発をして情報を内藤特捜部長に流したのである。」

(17) 略

(18)

 平太に一昨日辞令が出た。

 平太は、永山が平太を現場に返してくれと人事にしつこく願い出ていたことを兼松から聞いた。

 やっぱり俺には作業服とヘルメットが似合っていると、笑顔の平太の前で、鉄の骨が組まれ、コンクリートが打設されて、新しい建物が次第にその輪郭を現わそうとしている。

 

                                   終

 

 

 

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池井戸潤著「鉄の骨」! -5/6ー 

2014-02-21 14:15:09 | 読書

「第五章 特捜」

(1・2・3・4)

(5)

 真野建設の長岡が三橋に会ったのは、6月に3度、7月に入って今日は2度目だ。

 「長岡が、今回の地下鉄工事の件ですが、何かと不都合が生じてきております。一松は画期的な工法や新しい技法でコストダウンを図っているので、このままでは赤字ででも落札しない限り一松が一番札になります。一社であの金額をやるより、共同体で臨んでいる他のグループが落札したほうが公益に適うもので、一社が落札すれば、収益機会の独占になり、公共の利益に反すると思うと言う。」 

 

 「三橋はコストダウンの努力をしたところが落札するのは公正競争の摂理だ。真野建設はどれだけコストダウンのための努力をしたのか、どんな工夫をしたのか、お前が言っているのはただの社益だ。顔を洗って出直してこいと言う。勝てなければ負けるまでで、負けたくなかったら知恵を絞れ。それが入札競争に勝つ唯一の戦略だと言う。」

(6・7) 略

(8)

 城山が三橋の自宅を訪ねた。城山が地下鉄工事に勝てそうかと訊ねたが、三橋は一松組に負けるだろうと言う。城山は、一松組の経営に破綻したりして、あれだけの工事に万が一のことがあって工事が中断したら大変なことになるぞ。真野建設のほうがふさわしいのではないかという。真野が受注すればおまえにも3億入るのだぞ。コストの叩き合いで入札価格が下がってなんのいいことがある。あの地下鉄工事にはもともと予算があるのだからその予算の範囲であればいいのだ。安く受注するだけが能じゃない。

 ようやく三橋も考えておきますと答えた。

「第六章 調整」

(1)

 今回の地下鉄工事に絡む一松組の工事原価は、二大技術革新による大幅コスト削減効果で2割以上引き下げて、約1200億円。粗利3割として入札価格は1700億円程度になると兼松は踏んだ。しかし、他社が粗利1割でよいと考えた場合は、この数字を下回ることも考えられるので、マージンをもう少し下げる必要があると考えた。

 その時期、真野建設が抱えている大手デベロッパーが経営危機に瀕しているために、信用不安説が囁かれていた。

(2)

 尾形に会いたいと三橋が来社した。

 広島から愛媛までの瀬戸内海を島伝いに五つの橋梁で結ぶ計画が間もなく予算に上がる。建設費は7000億円を下がらない。この工事は城山が裏で動いていて、入札は来年。工期は再来年からの8年間なのだが、ただし、JVになるけど一社当たりとしても今回の地下鉄工事を上回る。一年待って、今回の地下鉄工事は真野建設に回してくれないかとの調整の話が出た。ぜひ松田社長とよく話し合ってほしいと言って帰った。

(3)

 松田社長は、尾形に、1年先の橋梁工事のほうが利益面でメリットがあるのなら何故それを取らない。城山先生が指図された工事であれば利益率も高いし、受注も確実だ、1年待てと言う。尾形は反論する。ここまでコストダウン作業をしてきて途中で投げ出すなどとんでもない、そんなことをすれば社内の士気に関わります。それよりも、次回の橋梁工事で落札できる保証はありません。橋梁工事ともなれば、いくら三橋顧問とて思惑通りの調整は難航するでしょうと。

 松田社長は会議の結論が出ないまま、自分の考えを押しつけ、前向きに検討させていただきますと言えと指示して席を立った。

 その後、尾形と兼松が話し合った結果、 「談合が成立するとは限らないので、調整が決定するまでは最善を尽くすのがリスク管理の基本だから、プロジェクトチームは尾形の私的な機関(裏の機関)として存続し仕事は続行させる。三橋顧問に対しては、社長命令だから、調整を受け入れるつもりでやっていると伝える。」ということで、明日、平太に、三橋顧問を訪ねるように命じた。

(4) 略

(5)

 三橋に会った平太は、今回の御提案をお受けしたいと告げたうえで、三橋さんは、以前に、必要がなければ調整に乗り出すことはないと言われたが、真野建設を助けることが本当に必要なのか、もっと大きな問題の必要性があるのだと思っていたと言う。それとも城山先生に言われてやむなく調整に乗り出したのですかと問うと、三橋は、その通り、しがらみだ許してくれと頭を下げた。

(6) 略

「第七章 駆け引き」

(1)

 ここ2週間ほど、毎日、真野建設の長岡が三橋を訪ねて、村田組の岸原常務が調整に応じたか尋ねていた。真野建設の業績が悪化しているという話が今や業界では公然の秘密で、長岡が見せる形相はその深刻さを浮き彫りにしていた。

 競合各社に対して三橋が提示しているのは、城山が見繕った向こう数年間に発生する大口の公共工事だが、村田組には東北の橋梁工事であった。しかし、瀬戸内海の橋梁工事より見劣りがするので、そちらのほうにも参加させてくれというのである。

 ある日、一松組の平太を呼んでいた。長岡もいる部屋で、平太に、瀬戸内海の橋梁工事の調整条件の変更を頼みたいのだ、一松組に村田組をJVで参加させてやってくれないかと言うのである。平太は村田組に回している東北の橋梁工事のほうはどうなるのかと問うと、それはそれで村田組だけが行なうと言う。平太は、持ち帰って検討させてもらうが期待しないでほしいと答えた。

 帰社してミーティングで報告すると、西田は弱すぎて競争の相手にならないような会社であれば、地下鉄工事入札調整の対象外にしたらどうかと言う。兼松が三橋さんは村田組に昔の借りがあるのだと言う。尾形は、結論が出ないようですと無視しておけ、そのうちに、また条件を変えてくるだろうと言う。

(2) 略

(3)

 一松組は、まだ社内で検討中らしいと、平太との電話を終えた三橋が、長岡に告げる。その後、予定価格が判ったと知らせた。1750億円だが、真野建設はいくらで見込んでいたかと問うと、長岡は1900億円ですと答えたので、三橋は、赤字でもよいから調整の秘密が判らないように、数%+αまで減額して入札額を決めてくれと言う。

(4)

 尾形が長岡や三橋からの電話に出ないので、平太の処にかかってくる。しかし、平太は検討中でしょうと言うしかなく困っていた。

 西田が得た情報では、松田社長は尾形に一任してしまっているらしいし、 「兼松も入札まで2週間となっているので、尾形の胸の内をどうしても知りたいと思って、常務室に入って行った。

 兼松は、皆が外部からの対応に苦慮しています。調整を断るつもりかと尋ねると、尾形は、調整に参加するつもりでいると答えた。兼松は、重ねて、つもりとはと聞くと、潜る(約束を破り公正な入札をする)との答えが返ってきた。兼松は驚いて、潜った業者は以後干されるのが不文律だと進言した。そして、断るなら事前に申し入れをなさってはどうですか、業界の信義則に反するように思いますと言う。尾形から、しばらく時間を置いて、信義則などはないと答えられた。」

(5・6) 略

(7)

 地下鉄工事入札を一週間後に控えて日に、尾形は、一松組に出入りの大手建設材料メーカーの笠井営業部長の誘いで日本料理店に出向いた。そこに、笠井君に一肌脱いでもらったと三橋が入ってきた。

 三橋が、検討が長すぎる、ネックは何かと問いながら、もし、村田組を次の橋梁工事に入れることが気に入らなかったら、その心配はいらない、村田組も最初の条件でいいと元の条件で承諾したと言う。尾形は、戻って社長に報告して返事すると言って別れた。

(8・9) 略

 

                          次章に続く

 

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池井戸潤著「鉄の骨」を読み終えて! -4/6-

2014-02-19 15:16:28 | 読書

「第三章 地下鉄工事」

(1)

 西田と平太を連れて尾形常務の部屋に上がる兼松の頬は紅潮していて、公団から地下鉄山手線工事の工事概要書を入手したことと、後日、指名業者に当確したことの発表があることを尾形に報告した。

 「尾形から、ウチは単独でやる。平太は思わず顔を上げた。まさか ! この2000億円もの大型工事を、中堅ゼネコンが単独で受注するというのか。尾形の意気込みに気圧された。平太は生まれて初めて身体の底から湧き上がるような武者震いを感じた。不安顔の兼松に、地下鉄の一松だぞ、課長。恐れることは何もない。尾形は、戦場の指揮官のように、早速に見積もりにかかれと指示した。」

 平太が最後に常務の部屋を出るときに、次の日曜、東京競馬場に付き合え、どうだと言われ、構いませんと返事した。

(2・3) 略

(4)

 尾形に連れられて平太は競馬場の来賓室に入った。

 一刻して若い男を連れて50代半ばの陽に焼けた男が入ってきた。ヤクザとその舎弟という雰囲気だった。

 平太が尾形の馬券を買ってきたら、ヤクザ風の男に、これはウチの若い者で、馬の産地出身だから誘ってきたと平太を紹介した。男からの、出身はという問いかけに、長野で母の実家は佐久と言うと、男は同郷で母の実家の屋号まで知っていた。平太は会社では平太と呼ばれていますと言うと、俺も平太と呼ぶかなと男は冗談めかす。尾形が、ウチの業務課に配属しましたから面倒見てやってくださいと頭を下げ、今度の工事よろしくお願いします、単独で行きますからと言うと、男は、俺の出番はない、そんなことよりと、平太に三橋萬蔵という肩書のない名刺を出して、遊びにウチにいらっしゃいと言う。平太は名刺を見て吃驚した。西田から教えてもらった天皇ではないか。

(尾形は偶然を装って、平太を三橋に合わせたが、地下鉄工事落札の策略の一つとして、業務課に連れて来た時から考えていたことだ。)

(5)

 翌日の月曜、平太は、西田からどうだったと聞かれ、母方の家のすぐ近くの出身で、泥臭い感じの、でも凄味のある人で、ヤクザををやっている親戚のオジサンといった感じだかなと返事した。西田が、尾形のオッサンがなんでお前の人事に口を挟んだのかということが地下鉄工事と関係があるとすれば、なんとなく話が見えてきたと言う。

(6)

 尾形から、今回の地下鉄工事を受注するために、営業部と土木技術部、調達部も含めたプロジェクトチームを発足することにして、業務課がその旗振りをやって貰う。そのため、業務課は暫くこのためにだけ集中してほしいと指示があり、兼松から部課長会議で決定したチームの役割分担について補足の説明があった。

 西田はバベルの塔でも作るような気分だと見積工程管理票を作りだした。談合課といわれている官公庁の大口工事受注を専門とするこの課は、一松組の生命線だ。それを受け持つ仕事をこなしていく西田の実力に平太は感心した。

(7) 略

(8)

 「平太は、業務課の重要性と自分の力量から、自分が業務課に異動になった理由は、三橋萬蔵との対応だけなんでしょうかと、西田に尋ねる。西田は、営業部で鍛えられてもここでの仕事は満足にこなせないのだ。他社のいろいろな御仁と付き合いながら、入札という仕組みの中で、どうやって数字を作り積み立てていくかという難しい仕事ができる、このチャンスを生かせと、平太の心の奥底を突いた。」

(9・10)

 翌朝8時、出社したばかりの平太に、三橋から明後日の茶会への誘いがあった。尾形に報告してお邪魔することにした。

 客は、真野建設の長岡営業部長と同じく大手ゼネコン村田組の岸原常務、後、JVを組む中堅ゼネコンの役員3人と平太の6人だった。

 長岡たちは、平太に、尾形さんは来ないのか、一松組は諦めたのか、顧問に失礼でないかとか、場をわきまえたほうが良いのではないかと、色々と馬鹿にした話をしかけてきた。

 「5人が帰った後、三橋があの連中をどう思ったと言う。平太が、あまり気持ちのいい人たちでないと言うと、人間というのはな、目上の前では性格を隠す。だが、年が若い者を前にすると、ついつい人柄を出してしまう。奴らのようになるなよと言う。」

 平太は一つだけ質問した。 「今日の茶会はどういう趣旨かと聞いた。もてなしだ。俺は山崎組の顧問に過ぎない。必要とされない限り表に出ることはない。俺のほうからしゃしゃり出ることはなく、もう、調整とか談合とかという時代にはピリオッドを打つべきだと思っていると言う。談合ばかりしていては、この国は良くならない。でも、談合はなくならない、仕組みが悪いからだ。自由競争といったって現実にはダンピング合戦をしろと言っているようなもんだ。技術力が同じならどれだけ儲けを削るしかない。それをしていたら株主の収益期待に応えることはできない。矛盾した話だと言う。」

(11) 略

「第四章 アクアマリン(宝石名)」

(1) 略

(2)

 平太が、何故、あのいいオジサンの三橋さんがフィクサーになれたのか不思議だと言うと、西田が教えてくれた。

 民政党の大物政治家城山和彦の妹が三橋さんの奥さんなのだ。城山和彦は旧建設省のドンから政治家に転身した道路族の大物で、与党の城山のもとには、様々な利権と情報が集まる。その情報はゼネコンにとって喉から手が出るほど欲しい情報なので、城山を拝んでいるのさ。三橋が天皇なら、城山は上皇だと西山は茶化した。

(3・4・5・6) 略

(7)

 平田は母の見舞いで信州へ行き、その帰りに母の言いつけで、三橋宅に土産を持って寄った。

 お酒を戴く中で、あまりも直截的であったが、三橋さんが必要されるのはどんな時なんでしょうかと訊ねた。三橋は、競争の底が割れるときさと答えた。

 「底が割れるということについて、三橋は、皆が材料メーカーや下請けとコストダウンのために交渉しているだろう。しかし、その利益の削り合いにも限度があり、企業には決して譲れない最終ラインがある。だが、こうした競争には往々にして、その最終ラインを脅かすことになる。それが底が割れると言うのだ。」 「君らはまだコストダウンの可能性を捨ててはいまい。コストを下げ、正当な競争を勝ち抜いても、なお利益が取れるなら調整など全く必要ない。いけるところまでやってみることだ。そのまま競争を勝ち抜くことができたらそれに勝るものはないと言う。」

(8)

 平太は母の見舞いから帰ってきて、受け持った材料メーカー相手にコスト削減に努力しているが思うようにならず、コストダウンの目標設定は担当役員らが中心になって作り上げたものだが、昔の条件を根拠に引き出したものであり、また、大手ゼネコンとは調達力の差が総コストの差になるので太刀打ちができないいった状況だった。

(9・10)

 次回のプロジェクト会議でようやく間に合ったオーバルシール工法、さらにターンソイル技術という二大技術革新による技法でコスト計算をやり直すことになった。西田の推定では総コストが20%削減できると言い会議室に驚きの声が上がった。

 「次席に戻った西田は、平太に、どんな仕事でも同じだが、がむしゃらにコストダウン交渉しても、目標に追いつかないときがある。そのときに疑うべきことが二つある。一つは自分の交渉力もう一つは計画自体だ。たいてい計画のほうが悪いと思うようにしていると言う。」

 数日して、一松組の画期的工法によるコストダウンのことが真野建設の長岡の耳に入り、三橋へその情報を知らせた。

 

                            次章に続く

 

 

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