T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

「ロスジェネの逆襲」を読み終えて! -5/5-

2013-09-30 17:06:26 | 読書

(第9章「ロスジェネの逆襲」)

(1・2) 誤った稟議書からは誤った結論しか出てこないと、支援は却下される。

 取締役会の追加支援議題の席上、内藤部長から、電脳による東京スパイラル買収が世間に評価されるか疑問があるので、異例だが半沢に断片させることを巨おしていただきたいと、頭取の許可を貰う。

 半沢が説明をし出した。「買収成功ありきのもとに、電脳に2000億円もの無闇な支援を稟議しておられるが、常識なバンカーが行う妥当な支援といえるでしょうか。同社の財務状況に関する分析をおろそかにしたまま、ただ買収の成功ありきという態度は、収益機会を得るどころか逆に、御行の信用に傷をつけ巨額の損失をもたらす原因になりかねない。誤った稟議書をもとに議論しても誤った結論しか導き出すことはできないでしょう。ゴミ箱からはゴミしか出てきません」と言い切った。

 副頭取は、稟議書も見ないで何故そんなことが言えると、ひやりと冷たい刃のような目を向けて来た。怒りに燃える伊佐山は稟議書を半沢の前に叩きつける。

 半沢は、内容をざっと見て、これだけですか、この稟議書には、電脳へのゼネラル電設からの営業譲渡と資金還流について一言も触れられていない。何故ですかと言い。お解りになっておられないようなので説明させていただきますと、東京中央銀行宛てになっている資料を配布した。

 2年前、電脳は、電脳電設と言う新会社を設立し、ゼネラル産業のゼネラル電設から社員もろとも営業譲渡を受けています。資料によると、評価総額100億強のゼネラル電設を300億円で購入して子会社を設立したのです。しかも、その後、2年に亘って決算を粉飾しています。電脳が東京スパイラル買収に固執するのは、業績の順調な東京スパイラルと一緒になることで、本業の窮状を知られることなく、粉飾の事実を闇に葬るための隠れ蓑として必要だったからです。これが平山社長の真の目的ですと説明した。

 中野渡頭取が裏は取れているのかの問いに、電脳の元財務担当役員の玉置氏から昨日、商法違反まで秘匿する必要はないはずだとの指摘から真相を語ってもらったと回答した。

 中野渡は、追加支援は見送りにする、よろしいですかと言って会議室を出た。

(3) 半沢は伊佐山の側の諸田に「倍返し」をした。

 三笠副頭取の言葉は抑えられない怒りのため震えていた。「早急に本件について、顛末を纏めたレポートを上げてほしい。」との叱声に、伊佐山の背筋を冷たいものが流れた。それは、全ての責任を被れと言われているに等しいからだ。

 頭取を目指した男・三笠の野望がまさに今、終焉を迎えようとしていた。

 伊佐山の背後を歩く諸田とすれ違った半沢は、「諸田」と声をかけ呼び止めた。「おれたちに、何か言うことがあるんじゃないか。 仲間を裏切っておきながら謝罪もなければ反省もない。それでいて、電脳の真相に迫ることもできず、中途半端な仕事ぶりで迷惑をかける。君にとって仕事ってなんだ。」との鋭い声に、諸田の顔面から血の気が引いて行った。

 伊佐山は、諸田に、電脳へ行く、アポを入れろと命じた。

(4) 東京中央銀行は電脳への支援を打ち切る。

 伊佐山は平山に500億円の支援は通りませんでした。申し訳ありませんと言いながら、実は反対意見を述べた者からこういう資料が出てきました。事実なんですか?社長と言うと、平山は、会計士に任せているとか、ゼネラル産業との取引資料を見せてくれと言うと、信用できないならアドバイザーから降りても貰うと返答した。

 伊佐山は、銀行として、今後本件を含めて支援することはできないし、これまでの支援分は、いつ返済していただけますでしょうかと、銀行として最期の言葉が出た。

(5~7) 森山から問われて、半沢は仕事に対する信念を告げる。

 電脳が東京スパイラル買収断念を発表した。 アドバイザー業務で親会社が子会社に敗北したことも併せて報道された。

 岡社長主催の祝勝会の後、別行動の二次会での居酒屋で、半沢は森山から仕事に対する信念を教えてくれと言われた。

 「簡単な事さ。正しいことを正しいと言えること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただ、それだけのことさ。」と答える。

 しかし、ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価される、そんな当たり前のことさえ、今の組織はできていない事があるが、「それは自分のために仕事をしているからだ。仕事は客のためにするものだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れた時、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は、内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組が腐っていく。組織が腐れば世の中も腐る。」と言う。

(8) 電脳再建のための後任人事が決まる。

 人事の話で、中野渡頭取は人事部長を連れて、三笠と伊佐山を待たせている中華料理店に入った。

 頭取は君たちにも言い分があるだろうと思ってねと、二人の言い分を求めた。

 伊佐山は、ゼネラル産業グループは営業本部の管轄で、半沢は前職時代に知悉していたが、証券本部としてはそこまでの情報に接する機会が無かったと言い、三笠も証券部門は優秀な人材が揃っていますと助言した。頭取は、「そう、証券本部は頭でっかちの集団だ。君たちは問題と答案用紙が配られたら、誰にも負けない点数を取るだろう。だが、今回の試験は、先ず解くべき問題を探してくるというところから始まっていたようなものだ。その結果、君たちは間違った問題を解き、間違った答えを出した。東京セントラル証券は正しい問題を把握し、導くべき結論を導き出した。と伊佐山に答えを告げた。

 三笠が、電脳を再建させ、債権回収の万全を図るために、電脳の内容に詳しい半沢を取締役財務部長で調整したらどうかと言う。頭取は、それに答えて、「もし支援を決裁していたら、我々は電脳の粉飾に手を貸したことになり、あなたも引責を免れなかっただろうから、副頭取などといった肩書をぶら下げていられるのは誰のお蔭か。そのあたりをのことを考えたらどうか。」と答え、電脳の財務部長には問題を良く把握したであろう伊佐山を、平山社長の退任は既定路線だろうから後任を三笠君に頼みたいと言う。三笠が私が出向くほどと言うと、規模は問題でない、全責任を取るからスキームを含めて一任してほしいと言ったのは君だろうと一蹴した。

(9・10) 半沢は、頭取から辞令を受け取り、たった半年で、元の営業第二部次長に戻った。

 瀬名が財務を頼みたいと言うが、森山は証券会社の一社員として力にならして欲しいと瀬名に頭を下げる。瀬名も仕方ないが、コペルニクスの事業展開もあるので助けてほしい、そして、半沢部長にも計画書を見てもらってくれと頼むわと言う。

 半沢の再出向の人事異動が独り歩きしていたが、その予定の日に、人事部長が半沢を頭取室に連れて行った。出向中の行員を呼び出し、頭取から営業第二部第一グループ次長を命ずると辞令を読み上げられた。前例のないことだ。そして、「出戻りだ。今回の件良くやった。皆が待っているぞ。早く顔を出してやれ。」と言われた。

                                        

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「ロスジェネの逆襲」を読み終えて! -4/5-

2013-09-29 18:31:22 | 読書

(第6章「電脳人間の憂鬱」)

(1) フォックスに対する銀行と電脳の考え方の違い。

 伊佐山は平山社長に、フォックスを利用したスキームは断念さぜるを得なくオーソドックなやり方で東京スパイラルの公開買い付けという形で進めて頂くと言うことになる。そして、ここで、東京スパイラルと競合するが、フォックスを支援することに最初に手を上げられた電脳としては、フォックスを買い付けられたらどうだろうと話を向けた。

 平山は、今は状況が違う、東京スパイラル買収スキームに利用できるのであればまだしも、フォックスの買収には慎重にならざるを得ないと返答した。

 東京中央銀行は、東京スパイラルの買収支援も、フォックスの救済という前提があってのものであることに対して、電脳は、東京スパイラルのスキームに利用できるという銀行の説明に魅力を感じたからで、それ以外の何物でもなかった。

 両者の会話の途中で、平山は、こちらから特にお願いしたのでないから、アドバイザーを降りて頂いてもよいとまで言ったが、銀行側にとっては、銀行の世間的評価にも、ひいては自分ら担当バンカーの罰点にもなるので、伊佐山は、この案件だけでなくトータルで考えて頂き、これから先、東京スパイラルが傘下に入れば運転資金が必要になるでしょうと、脅かしとも取れる言葉を使って、平山社長に耳を傾けさせ、電脳として検討するになった。

(2) 親会社と系列子会社との戦の開始。

 東京セントラル証券社長の岡のもとに、東京中央銀行副頭取の三笠から、至急、話をしたいとの呼び出しがあり、半沢がお供した。

 三笠は、君たちの営業はグループ全体の利益にかなうことが前提ではないかと言う。半沢は、確かにその通りですが、我々の証券はまだ若く実績もないので、目先の利益を追っていては駄目で、長期的視野でグループの全体の利益に寄与したいと考えています。

 また、頭取のスローガンは顧客第一主義ですので、顧客がベストと信ずる相手にアドバイザーになってくれと依頼してきたのです。それに応ずるのが我々の使命で、グループの論理を優先して顧客のニーズに応えないのは頭取の考えに反すると思いますと答えた。

(3) 郷田は、救いの手を最初に差しのべた平山に筋を通して救済してもらたいと言う。

 半沢と森山は、フォックス買収に際して、郷田社長に面談の申し入れをしたいと、瀬名社長にも同席してもらいたいと同意を得て、郷田社長のアポを取った。

 瀬名は詐欺まがいの行為をした経済やくざだと怒るが、郷田は謝罪ばかりで自分が弱かったのだと言うばかりだった。

 話を変えて、半沢が、東京スパイラルは公開買い付けでフォックス買収を決定したので可能であれば賛同してくださいと言う。郷田は平山社長が最初に救いの手を差し伸べてくれたので、筋を通したいと言う。

 半沢は、さらに、平山は情で救済の申し出を受け入れたのではなく、東京スパイラル買収の道具立てに過ぎず、今となっては電脳側には何もメリットが無く電脳にあるのはそろばん勘定だけだと言うが、郷田は平山さんを信用していると言う。

(4・5) 郷田は平山から足蹴にされ、瀬名のもとに出向く。

 郷田は平山社長に、御社にお世話になろうと社内調整を済ませていますので、具体的スケジュールの相談をさせてほしいと申し出た。平山は、今となっては、東京スパイラルに御社買収の意思があるのであれば、それで進めてください。申し訳ないが、現時点では、うちが御社に投資するだけのメリットは無いと思っていると言う。

 郷田は行き先を変えて東京中央銀行に向かった。平山社長との関係を絶たれた事を告げるために。

 数日後、郷田は瀬名に電話して、あなたの買収提案をお受けしたいと連絡した。瀬名の返事が聞こえるまで郷田は自らの心臓の鼓動を聞いていた。

(6・7) 伊佐山は怒りと焦りで最大の危機を感じた。

 諸田は伊佐山の執務室にて、郷田が来行し、電脳の平山から援助を断れたことと、その事で諸田自身が平山を訪ねて当行の立場を説明し説得を試みたが経済合理性のない判断は下しかねると断られ、これは最終判断だと部長に伝えてほしいと言われたことを報告した。

 伊佐山は証券営業部長に就任して以来、最大の危機だと思った。

(第7章「ガチンコ対決」)

(1・2) 瀬名は、郷田に初心に帰った経営信念が欲しいと叱咤する。

 郷田は東京スパイラル本社に瀬名を訪ねた。瀬名と半沢、森山が待っていた。

 郷田は先日、平田社長に会ったが、半沢が言った通りで残された唯一の方法は御社の話を受けることしかないと瀬名たちに謝罪した。

 瀬名は、郷田に「他に選択肢が無いから買収に賛同するなんて、そんな言いぐさがあるんですか。 いったい、郷田さんの心情は積極経営でなかったのか。俺はフォックスを買収すれば、うちのポータルサイトとの強力なシナジーが必ず生まれると信じている、買収によって両者が新たな成長を遂げることができる、だから買収に踏み切ったので損得勘定で動いているのは平山社長と同じだと思っている。消去法で仕方なく買収に合意するぐらいなら、いっそ合意してくれない方がましだ。」と言い切った。

 本当に申し訳なかった。フォックスの社長として、うちのどこが御社にとって魅力的なのか教えてもらいたいと瀬名社長に言う。瀬名は、NDA(秘密保持契約)でと契約書を持ってこさせた。

 迷わずサインした郷田に、瀬名は「サンフランシスコにある御社の子会社のコペルニクスだ」と言う。

 郷田が、学生が遣っているような米国での小さな通販会社だがと言うと、瀬名は、我が社のポータルサイトでの販売のノウハウを加えて連携することでアメリカ市場への足掛かりになると見込んでいると言う。

 そして、瀬名は、すでに、35%相当の御社株式を取得しているので賛同いただければ、この動きを加速させたいと言う。

 郷田は、早速に数日後に書面で、東京スパイラルの傘下に入ることを株主に公開した。

(3・4) 東京スパイラルの買収防衛策のPR。

 半沢は「週刊プラチナ」の敏腕記者の田中を呼んでいた。コペルニクスと東京スパイラルが新たに展開する事業計画書を見せた。絵空事ともとられないこの計画に信憑性を与えるのは、世界最大のソフト会社のマイクロデバイスによる3億ドルの出資、提携だ。 半沢は田中を瀬名にも紹介した。スクープだと喜び編集長と来週発売号の紙面を差し替えることにして、瀬名とのアポを取って、半沢とのトークについてICレコーダをテーブルの上に置いた。

(5・6) 略 

(7~11) 電脳の東京スバイラル買収のための支援資金の稟議。

 週刊プラチナが発売された日の東京スパイラルの株価が気配高で値がつかず、最終1000円高となった。

 伊佐山は、最初に予定していた買い付け価格24000円を大幅に引き上げて27000円に再設定することを電脳に提案したいと思うので、副頭取に200億円の追加支援の稟議をお願いしたいと言う。

 半沢は週刊プラチナのスクープに続いて、主要証券会社のアナリスト50人を招いて買収説明会を仕掛けた。会場にはマスコミ各社の経済担当記者も多数詰め掛けた。東京スパイラルの株価は、一気に1万円以上、上げた。

 三木の半沢への情報によると、スクープ当初の200億円の稟議の準備する間もなく現実に呑み込まれ形になり、500億円の稟議が証券営業部から出されようとしているとのことだった。

(第8章「伏兵の一撃」)

(1) 無理な追加支援の根回し。

 追加支援の根回しのために伊佐山は営業第二部長の内藤寛に「500億円の追加資金と言っても、実際にはフォックス買収でその分の付加価値画が向上しているわけだから高い買い物とは言えない。そこを理解してほしいんだよ。」と説明するが、内藤は、その金額の追加資金があったら買収が成功すると思っている理由は、もし株価が上がったらまた追加支援するのかとか、次々に質問する。

 伊佐山は、友人の資金債券部長の乾の処に回ったところで、内藤は何を考えているのかと溜息と愚痴をこぼした。

(2) 電脳の財務の陰と電脳に見られないビジネスプラン。

 瀬名と開いた買収防衛の打ち合わせの席で、追加支援が決裁されたら厳しいなと、森山が表情を曇らせた時に、郷田が、電脳の財務のことをよく知っている人を紹介したいと言う。瀬名も半沢も是非にと言うので、郷田は、電脳の元財務担当役員の玉置に連絡を取った。

 半沢は銀行の支援は電脳にとって打出の小槌ではなく、株主に納得してもらうためには知恵だと思う。 電脳は、具体的ビジネスプランを東京スパイラルの株主に提示できていないと言う。

(3・4) 瀬名と半沢が謎にしていたことが、玉置によって解かれる。

 玉置に瀬名が質問した。加納と清田のあの二人と電脳をつないだのは誰ですか。蘇それは企業セミナの講師として冬季用中央銀行の野崎さんと一緒に講演したことが縁だと聞いていますと言う。

 半沢は玉置に質問した。平山社長は東京中央銀行でなく、筋の通らない弊社に何故話を持ってきたのですか。玉置は、内部情報が絡むのですが、銀行と御社の電脳に関する情報の差だと言う。御社にはその情報が無かったからですと答えた。

 森山と半沢は早速調査し、やっと、その資料を見つけたのは午前0時を過ぎていた。東京中央銀行御中と言う宛名があり、対外厳秘と赤字が入っている「新しい子会社(電脳電設)を設立した詳細が記述された資料」のコピーを二年前に森山が電脳の三杉係長から貰ったものである。

 ページの最後に、ゼネラル産業の子会社のゼネラル電設の営業権を買って設立した子会社となっていた。

 電脳電設の設立費用は300億円となっているが、元のゼネラル電設の資産価値は100数十億円といったところに、何か秘密があると感じた。

(5・6) 電脳の財務の粉飾を半沢の元上司で理解のある銀行の部長に説明する。

 午後8時、半沢はアポなしで内藤部長を訪問した。半沢は、明日の取締役会で、御行は困ったことになると思いがけないことを言った。先程、伊佐山さんにお話ししようとしたが追い返されたと言ったところで、内藤から説明を求められた。

 

                                        続く

 

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「ロスジェネの逆襲」を読み終えて! -3/5-

2013-09-28 20:21:47 | 読書

(第4章「舞台裏の道化師たち」)

(1~3) フォックスの情報が少し手に入る。

 インテリジェント・ビルのエントランスにフォックスの郷田社長が入ってきて、それを数人の電脳社員が迎えてエレベータに乗り、電脳が入っている7階の階数表示が点示したことを森山は偶然見かけた。

 森山はどうも気になり、帰社してフォックスを調べてみた。フォックスと電脳の組み合わせや関係について調べてみたが、電脳の取引先にフォックスの名は無く、敵対的買収を仕掛けている相手のホワイトナイトになる男が、何故、敵を訪問するのか不思議で、同僚に聞くと共通点があった。メーンバンクが東京中央銀行だった。

 森山は、東京中央銀行からの出向者の半沢に、「部長の話を受けて瀬名と再会したこと」「大洋証券が、東京スパイラルの買収防衛策として新株を発行しフォックスがホワイトナイトになることを提案していること、半沢部長に買収防衛策の件を話したうえ参考になる意見があれば連絡する旨を告げたこと、昨日、そのフォックスの郷田社長が電脳を訪ねたことを見かけたこと」を話しした。

 半沢は、東京中央銀行の友人の渡真利に連絡して、フォックスの与信部門は法人営業部で、近々、1000億単位の経営安定化テコ入れ資金の支援が決定されることが分かり、森山に知らせた。

 半沢は瀬名社長にぜひ伝えたいことがあるので、面会予約を森山に頼んだ。

(4) 郷田は東京スパイラルの新株予約権の購入資金を事実と違う銀行から準備したと言う。

 大洋証券の広重の仲介で、瀬名は郷田と会って新株予約権の購入に1000億円の資金が必要になるが、その準備がお出来になったことを聞いたうえで発表したいが、どちらからの支援ですかと問うと、郷田は白水銀行だと返答した。

(5) ホワイトナイトのフォックスの舞台裏を知る。

 半沢は瀬名と名刺交換して、郷田社長は新株予約権の購入代金はどこから準備すると言っていたかと半沢が問うと、白水銀行だと言っていたと瀬名が返答したので、それは間違いで、東京中央銀行のようです。それと、フォックスとの契約は済まされましたかと問うと、まだですと瀬名は答えた。半沢はうなづき、それに、本件の法務リスクを認識していますかと問うた。瀬名が法務リスクと聞き返したので、森山が、大洋証券のスキームだと、商法違反になるかもしれないと詳しく説明した。

 帰路、半沢と森山は渡真利と会って、フォックス関連の情報を聞いた。フォックスの業績が低迷し、身売りの噂があるとのことで、身売りする会社に銀行が株式取得の支援をするわけがないと、半沢は、これが東京中央銀行のスキームだと思った。

(6) 半沢は三木に銀行の買収スキーム情報の調査を依頼する。

 半沢は電脳のことを知るため、森山を伴って東京中央銀行に戻りながらも不遇をかこっている三木を呼び出して、三木の人事への不審を材料に電脳のアドバイザーを三木がリークしたのではと問い詰める。

 三木は諸田がリーク元であることを明かした(諸田の机上の私物のPCで伊佐山部長へ通知したEメールを見た)。三木は諸田の情報リークを黙する代わりに、証券営業部への異動となったのだ。

 半沢は三木に、銀行の買収スキームとフォックスに関する情報を調べてくれと依頼する。

(7) 諸田はリークを褒美に銀行に戻る。

 諸田に銀行に戻る異動がでて、今度の買収担当次長になった。

 半沢のとこに挨拶に来た時、半沢は「三木は謝罪したぞ。君もみんなに謝るべきではないか。君が遣ったことは絶対に許せないし、必ず借りは返して貰う。」と言うが、諸田は何時までも本部の次長気分でいると痛い目に会うのはあなたのほうだと言い返す。

(8) 世代論に対する半沢の信念。 郷田は電脳が放った刺客だと半沢は瀬名に告げる。

 半沢は森山は三木を八重洲の裏通りのバーで待ち合わせた。

 三木を待つ間、諸田の情報漏洩から人間不信について世代論が話題になった。

 半沢は、俺たちは団塊の世代がうっとしくてたまらないわけだ。だけど、団塊世代の社員だからといって全ての人間が信用できないかというと、そんなことはない。逆に就職氷河期の社員だからといって、全て優秀かといえば、それも違う。結局、世代論なんてのは根拠が無いってことさ。上が悪いからと腹を立てたところで、惨めになるのは自分だけだ。

 森山からの組織や会社をどう考えているかという問いには、組織と戦うということは要するに目に見える人間と戦うということなんだよ。間違っていると思うことは、とことん間違っていると言ってきたし、何度も議論で相手を打ち負かしてきた。どんな世代でも、会社という組織に胡坐をかいている奴は敵だ。内向きの発想で人事にうつつを抜かし、往々にして本来の目的を見失う。そういう奴らが会社を腐らせる。諸田のように。

 三木は資料を差し出し、電脳がフォックスを買収する話がすでに出来上がっているようですと話してくれ、東京スパイラル買収スキームの一環としてフォックスが利用されていることを知った。大洋証券はアドバイザーだけでなく最終的にさまざまな協力手数料が入るようだ。

 それとフォックスの業績について興味深い話を聞いたと話してくれた。

 遅い時間だが、急ぎ瀬名社長に会った。フォックスはホワイトナイトじゃなく、電脳が放った刺客ですと知らし、東京セントラル証券が東京スパイラルのアドバイザーに就くことを求めた。

(第5章「コンゲーム」(信用詐欺))

(1) 正式に親会社と敵対関係に入る。

 東京セントラル証券の経営会議の席上、半沢は、稟議書は無いが、敵対的買収を仕掛けられている某企業から買収防衛策のアドバイザーになってくれとのオファーがあったので、報告かたがたご相談させていただきたいと発表した。

 社長から会社名を問われ、「東京スパイラル」と答えた。出席者全員吃驚し、司会の営業部長は、銀行に敵対するのは不味いと言う。社長は専務に相談しOKを出した。

(2・3) 東京スパイラルはフォックスを逆買収する作戦に出る。

 東京スパイラルの社長室の応接セットには、今、締結したばかりの東京セントラル証券がアドバイザーになる契約書が載っていた。

 半沢と森山は、弊社がアドバイザーになったことは、まだ、どこへも伏せておいてくださいと言って、具体的な提案をさせてもらう前に、敵対的買収について一般論をレクチャーさせてもらいたいと森山が小一時間説明した。

 その後、半沢が、「提案したいのは逆買収です。我々が狙うのはフォックスです」と森山と共に練った作戦を口にした。

(4) 東京中央銀行は東京スパイラルの買収を急ぐため郷田社長に積極性行動を求めた。

 珍しく伊佐山は郷田社長を誘って、東京スパイラルの買収状況のことを尋ねた。

 郷田は、瀬名社長から取締役会で新株予約権の発行を決議したところまで聞いていて、先方へは、資金調達のめどは立っているので、いつでもよいと申し入れているところですと返事した。

 8か月前、郷田は財務担当から大量のファンド運用の失敗による巨額損失が出る可能性があると報告を受け、自主再建の道は閉ざされたときに、相談していた東京中央銀行から救済相手として電脳を紹介されたのだ。

 伊佐山の共をしてきた野崎も、平山さんも随分気にされていて、早く結論を出したいと言っておられるし、郷田さんが今抱えている問題もそう長く世の中に隠しておける類のものでもない。また、大洋証券は猿回しの猿でリードすることはなく、郷田さんからぜひプッシュしてくださいと言われた。

(5) 電脳の財務部長の玉置が東京スパイラルの買収に反対して辞める。

 電脳の財務部長の玉置は、同僚の戸村営業部長を誘って、新宿の寿司屋で会社の経営方針について話をしたのは、11月半ばであった。

 戸村は東京スパイラルを買収する必然性が見当たらず、既存事業との位置づけからしてシナジー(相乗効果)を期待しにくいと言い、玉置は平山社長のワンマン行為で、いまは東京中央銀行の事業支援の資金面でがんじがらめになっていて自分が出る幕が無いので辞めるつもりだと言う。

(6) 郷田社長は大洋証券の広重らを誘って、瀬名社長に新株発行の督促をした。

 大洋証券の広重と二村を伴い、瀬名社長を訪問した。

 広重が、社内の調整はと問うと、瀬名は、商法の法律面でのチェックで異論が出ている。商法に、支配権の維持を目的とした新株発行は認められないという条項があるので、電脳から新株発行の予約券を差し止められる可能性がある。それでは、うちの防衛策として不十分ということになると言う。

 そして、郷田社長に、うちを助ける前に郷田さんにはもっとやるべきことがあるのではないかと思います。本業の調子が良くないのではと、付け足した。

 広重がいつごろまでに決定されますかと尋ねると、瀬名は、その時が来たら連絡するとだけの返事をした。

 翌日、二村から広重に、フォックスのファンドの巨額損失を東京経済新聞がスクープしたと連絡した。

 郷田社長には連絡が取れず、瀬名社長にはアポが取れた。

(7・8) 東京中央銀行のスキームが崩壊した瞬間であった。

 広重から瀬名社長に、郷田社長は資金は調達済みで計画通りに実行するとおっしゃっていると言う。

 そこへ半沢と森山が入ってきて、瀬名からセカンドオピニオンと紹介された。

 半沢は、広重らが説明するスキームはデタラメだと、東京中央銀行作成の東京スパイラル買収計画の書類を見せて、これについて説明してもらおうかと言う。

 半沢は、我々は弁護士と相談してはいないが、詐欺で被害届を出すことも検討をしていると言う。

 それは東京中央銀行のスキームが崩壊した瞬間であった。

 広重は野崎に報告した。伊佐山は、このスキームはこれで手じまいにしようと言い、平山社長には諸田に話させようと言う。

(9・10) 諸田が東京スパイラルがフォックスを買収計画を持っていると副頭取に報告する。

 伊佐山は三笠副頭取に謝罪説明した。その時、諸田が副頭取室に入ってきて、東京スパイラルがフォックスの買収を決め、東京セントラル証券がアドバイザーで公開買い付けを実施するようですと情報を持ち込んだ。

 伊佐山は副頭取の部屋を出て、郷田と平山に会うために外に出た。

 

                                       続く

 

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「ロスジェネの逆襲」を読み終えて! -2/5-

2013-09-27 20:49:22 | 読書

「あらすじ」

 半沢直樹が部下の人に述べた自分の「生き様・信念」の部分に下線を入れました。

(第1章「椅子取りゲーム」)

(1) 電脳雑技集団から企業買収アドバイザーの依頼が東京セントラル証券に持ち込まれた。

 2004年10月のとある月曜、東京中央銀行の系列子会社東京セントラル証券の営業企画部長として、2か月前に出向した半沢直樹(以下、半沢と略)は、電脳雑技集団(以下、電脳と略)の平山社長と妻の副社長の訪問を受ける。

 電脳は平山社長が35歳の時に総合商社を辞して創業したITベンチャー企業で、どちらかといえば商品はハードよりで、インターネット関連ソフトに強い同格の東京スパイラルを買収したいのでアドバイザーになっていただきたいという用件だった。証券側の関係者は内心えっと驚いた。

 電脳のメーンバンクは東京中央銀行だが、東京セントラル証券との取引実績は今までにこれといったものは無く、担当の森山調査役も、日頃は電脳の担当に門前払いを食わされている実態だった。

 東京セントラル証券も業歴は浅く、今まで扱ってきた大口の案件はすべて親会社の銀行から回されたものばかりで、企業買収の実績はあまり無く、まして、敵対的買収は荷が重く、アドバイザーとしてのノウハウが十分あるわけでなく、半沢は、正直、心許なかった。

 半沢は、平山社長の話にも疑念を持ち、諸田次長(以下、諸田と略)におそらく敵対的買収になるが、ノウハウはあるのかと心配するが、諸田は、この案件で会社を飛躍させる素晴らしい取引になること間違いないと乗り気になって話を勧めようとする。プロパー社員の森山調査役(以下、森山と略)は、上手くいきますかねと心配する。

(2) 何故か、担当の森山は、諸田の意向でアドバイザーチームから外される。

 翌日、夕方からミーチングに入る。森山は資金面や自社の体力面から心配するが、諸田は精神論から引き受けることを前提に話を進め、我が社がアドバイザーに就くうえで障害になる事実はあるのかと議論は平行線をたどり、最後に、引き受ける方向で返答をしたいと、半沢の了承を求める諸田に、半沢は、条件面を十分詰めたうえで、至急、進めてほしいと了解した。

 銀行至上主義の諸田は、森山の意向など忖度せず、通常業務でないことを理由に、森山を外してアドバイザーチームを編成する。チームリーダーに任命したのは、諸田と入行同期で銀行時代は情報開発部にいて企業買収の経験は全くなく、今は森山と同じ調査役で諸田の腹心になっていた三木重行を当てた。

 東京セントラル証券は社歴の浅いこともあって、プロパーの役員は存在せず、主要ポストは銀行からの出向者が占めているのが実態であって、業務成績の良い森山も、今年、調査役に昇進したばかりである。

(3・4) 企業買収業務に疎いせいで、罰則契約が無くてあっさり契約を解約された。

 東京セントラル証券社長の岡は、東京中央銀行の専務から出世競争に敗れ、現職に就いたのは一年前で、口癖は「銀行に負けるな」であった。

 アドバイザー契約の事前報告に、岡社長は半沢の話を聞いて、事前に諸田の提案を受け入れて自分の意向とした手数料収入が高い成功報酬(失敗したら全くの無報酬)で行くことに機嫌は上々だった。

 それから一週間ほどしても具体的なスキーム(手順付き計画)が諸田からも半沢の許に出てこなかった。半沢が三木から検討経過を聞くと、買収路線を既定方針として検討されていたので、買収案件の是非について掘り下げるところから始めろと、やり直しを命じた。

 そのためもあって提案は遅れに遅れ提案書を平山社長の処に持ち込んだのは二週間も過ぎていた。その間、三木は先方に一度もコンタクトを取っていなかった。平山社長から、その遅さに見切りをつけられ、先日のアドバイザー契約は無かったことにさせてくださいと言って応接室を出て行った。

 契約書には、成功報酬といえ中途解約の罰則規定も入れていなかった。半沢は呆れながらも、岡社長に報告すると、提案書のやり直しを命じたらしいな、君に、この責任は取ってもらうぞと言われた。

 半沢は、やり直しを命じたことを岡社長が知っているのは、諸田が上申したのだろうと思ったが、口には出さなかった。

 諸田が辞去した後、渡真利から電話があり、証券営業部が電脳とアドバイザー契約を結ぼうとしているらしいと告げられた。

 東京セントラル証券が、電脳から受けた案件の提案書を検討していたときには、既に、その裏では、親会社である東京中央銀行の証券営業部が暗躍していたのだ。何者かによって電脳の買収案件を聞きつけた東京中央銀行は密かにメーンバンクの地位をちらつかせ、東京セントラル証券からアドバイザーの役割を取り上げたのだ。

(5) 半沢は内心、諸田が銀行に戻りたいために、リークしたと確信していた。

 半沢は関係者を集めて誰がリークしたのか詰めたが、その場では明らかにできなかった。

 席上、怒りに震える半沢は東京中央銀行への報復を誓って、「この借りは必ず返す。やられたら、倍返しだ。」と言った。

(第2章「奇襲攻撃」)

(1) 不思議なことに、三木に銀行に戻る辞令が出た。

 そんな中、三木が東京中央銀行の証券営業部に調査役として戻ることになった。栄転ともみられたが、実態は、総務グループの中の閑職に回されていた。

(2) 電脳と東京中央銀行の企業買収アドバイザー契約が決裁された。

 東京中央銀行の証券営業部長の伊佐山と次長の野崎が、電脳に平山夫妻を訪ねていた。

 昨年、東京中央銀行は、電脳が中国に進出するための運転資金を支援していた。

 伊佐山の指示で、野崎が、東京スパイラル買収スキームの第一段階だと言って、先ず、700億円をかけ、東京スパイラル発行株式の約30%弱を市場外取引で取得すると概要を説明した。

 これに先立って、伊佐山は電脳の中国進出資金の支援実績、今後の運転資金の支援をちらつかせて東京セントラル証券との契約解除を迫っていたのである。

 平山社長は、半沢さんから、銀行からの圧力がかかったのではないかと文句を言ってきたが否定しておいたと言い、伊佐山からの当行との決裁は何時になるのかの問いに、今、この場で決裁させてもらうと言う。

(3・4) 電脳が市場外取引で東京スパイラルの株式の30%を買い占めたと渡真利から電話。

 「電脳に対する買収支援が承認されたらしい。1500億円だ。三笠副頭取と証券営業部に一任で承認されたらしい。そして明日、銀行内で証券営業部が記者会見するとのことだ。」と渡真利から半沢に電話があった。 

 しかし、翌日、東京スパイラルの株価の動きは無かった。

 渡真利から半沢に、さきほど会見で東京スパイラル株の3割弱を市場外取引で買い占めたと発表があった。今後は公開買い付けとのことだとの連絡が入った。

(第3章「ホワイトナイト」)

(1) 東京スパイラルの瀬名社長は買収防衛策を取ると発表、大洋証券が支援にすり寄る。

 ニュースによると、東京スパイラルの瀬名社長が記者会見を開き、買収には断固として対抗措置を取るという強い調子でコメントを発表したと報じていた。

 瀬名社長は、創業メンバーで極端な拡大路線を主張する財務担当の清田と戦略担当の加納と経営方針を巡って対立し、先月袂を分かったばかりであった。市場外取引の対象となった株はこの二人のものだった。

 そのようなときに、瀬名社長に秘書が大洋証券の担当者の二村の来訪を告げた。大洋証券は清田が紹介した会社だった。

 瀬名社長に、買収対抗策をお持ちでないなら、アドバイザーにしてもらえないかとすり寄ってきた。瀬名は明日までに提案してくれと言う。

(2・3) 半沢は瀬名が中高時代の親友だったと言う森山に、ぜひ近況を知らせろと言う。

 半沢は部下の森山と尾西を誘って飲みに行き、話は東京スパイラルの敵対的買収のことになり、半沢から、東京スパイラルの付合い証券は中堅の大洋証券だったと思うが、買収に関するノウハウが豊富とは言いかねるが、一方の東京中央銀行の野崎次長は、ロンドンで企業買収を手掛けたことがあって、その分野では国内屈指のバンカーだと話す。

 そんな話から、瀬名社長は森山の中高時代の親友だったが、途中転向したので音信不通になっていたことを半沢は知り、森山に、ぜひ、余計な人を考えずに、旧友として近況を知らせてやれ、多分、喜ぶぞと言う。

(4) 瀬名は大洋証券の提案に即答を避ける。その後の森山の電話にあだ名で会話。

 大洋証券の二村が上司の営業部長の広重多加夫を連れて約束の翌日夕方、瀬名社長を訪ねた。

 ペラ一枚の提案書を差し出して、電脳側の買収に対してどんな条件であれ防衛すると言うことで、防衛策を提案させていただいたと言う。

 決して過半数が取れないだけの株式を新たに発行し、その新株発行分を特定の会社に引き受けてもらうのです。 いわゆる、ホワイトナイトを引受先として提案させていただきますと言う。そして、提案書にはホワイトナイト名の部分は空白にしてあった。 アドバイザー契約をいただければと契約書を見せて、契約金3000万円、成功報酬5億円で如何ですかと広重は説明した。

 瀬名は、自分が納得するホワイトナイトが見つかれば3000万円、報酬は3億円であれば契約するが、その場合でも、貴社のアドバイス能力を信じていないので、有効なアドバイスが得られない場合は、途中で契約を破棄することもあるので罰則規定は設けないでほしいと言う。

 広重は色々と言い訳したが、最後に瀬名の申し出を呑んだ。そして、ホワイトナイトはフォックスだと言う。

 フォックスは、PCとその周辺機器販売大手の会社で瀬名も郷田社長は尊敬している社長だったし、二村はこのスキーム自体のデメリットもリスクもないと言うが、瀬名の経営感覚がそうさせるのか、どこか引っ掛る気がしたので、検討して返事すると即答を避けた。

 広重たちが帰った直後に、森山から瀬名社長に電話がかかってきた。 瀬名の受話器の向こうから少し緊張した硬い声がした。 何秒も経たない時間のうちに、中学時代の昔が突如甦り、意識が15年前に戻った。瀬名の「マサ?」に応えて森山は「ヨースケ?」と呼んだ。

(5) 森山は瀬名のセカンドオピニオンになることを約束した。

 有楽町の居酒屋で、瀬名と森山は久しぶりに酒を酌み交わし、森山が東京セントラル証券の社員であることを知り、二人は電脳と東京スパイラルの敵対的買収、最初は東京セントラル証券が電脳のアドバイザーであったこと、大洋証券が東京スパイラルのアドバイザーになりたくて、ホワイトナイトをフォックスに新株発行を提案していることなどについて話をした。

 森山は種々意見を述べ、瀬名はセカンドオピニオンになってくれと言った。

(6) 半沢は入行同期の友人から新株発行も場合により商法違反になることを教わる。

 半沢は、入行同期で長く据え置かれていた関西法務部から本部に転勤になった苅田の歓迎会の席上、買収防衛策で新株発行して信用できる第三者に株を持ってもらうことは商法違反になることがあることを教えてもらった。

 

                                      続く

 

 

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「ロスジェネの逆襲」を読み終えて! -1/5-

2013-09-26 20:50:15 | 読書

 TBSドラマ「半沢直樹」の原作、直井賞受賞作家・池井戸潤著の「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」シリーズの第三弾。子会社東京セントラル証券に出向した半沢が出戻りするまでの物語。いずれ、ドラマ化されるだろう?

「概要」

裏表紙より……胸のすくエンタテイメント小説!

 「銀行の系列子会社東京セントラル証券の鳴かず飛ばず。 そこにIT企業の雄、電脳雑技集団社長から、ライバルの東京スパイラルを買収したいと相談を受ける。

 アドバイザーの座に就けば、巨額の手数料が転がり込んでくるビッグチャンスだ。

 ところが、そこに、親会社である東京中央銀行から理不尽な横槍が入る。 責任を問われて窮地に陥った主人公の半沢直樹は、部下の森山雅弘と共に、周囲をあっと言わせる秘策に出た……。」

Googleサイトより

 「池井戸さんによると日本のビジネスマンには次の三つの特徴的な世代があるという。

団塊世代: 1947~1949年に生まれた第一次ベビーブーマー世代。バブル生みの親?

バブル世代: 1980後半~1990年代初めに大量採用された人々。お荷物世代とも言われる。

ロスジェネ世代: バブル崩壊後、1994~2004年の就職氷河期に社会に出た人たち。

 この本では、バブル世代に銀行に入社した半沢直樹が、合併・統合を経てメガバンクとなった東京中央銀行の系列子会社の東京セントラル証券に、部長として出向し、IT業界の買収劇に巻き込まれるというストーリーだ。

 ロスジェネとは、買収劇に巻き込まれた東京スパイラルの瀬名社長と、半沢の部下の東京セントラル証券のプロパー社員・森山のことだ。

 瀬名と森山は私立中高一貫校で一緒だったが、バブルがはじけて株価暴落のために瀬名の父親が破産して自殺したため、瀬名は私立高校を辞め、高卒でIT関連会社に就職した。

 就職先が倒産した後、瀬名は自分のプログラム技術を生かして友人を誘って起業し、今や、IT企業の社長として注目される人物となっていた。

 対する森山は、就職氷河期にぶち当たり、何とか東京セントラル証券に就職できたが、親会社の銀行からの出向者の上士にこき使われ、理不尽を感じている毎日だった。

 瀬名の東京スパイラルは経営陣の内紛から、敵対企業買収が仕掛けられる。

 東京セントラル証券は、当初その買収計画のアドバイザー契約を獲得する予定だったが、思わぬ展開で蚊帳の外に追いやられる。 そんな時に、森山は旧友の瀬名に突然電話をかける。

 やられたら倍返しという半沢直樹のモットーとおりの展開が心地よい。 楽しめる企業小説である。」

ある人?のサイトより

 第2弾「オレたち花のバブル組」で、大和田常務らの"悪"に打ち勝ったものの、"銀行の論理"で子会社に左遷されてしまった半沢。 

 今回の「ロスジェネの逆襲」では、東京セントラル証券を腰掛けの場と考え、一日も早く東京中央銀行に戻ろうとする銀行からの出向組と、そんな出向組に嫌悪感を抱くプロパー組という対立構図が、先ず在る。

 そしてもう一つの対立構図は、パブル世代とロスジェネ世代。 就職氷河期にぶち当たり、ようやく就職できても、社内では無能力なバブル組が上に居て年齢だけで昇進していく。 我々は割を食ってばかりだというのが、ロスジェネの怨嗟の声だと言えよう。

 半沢はバブル世代だが、彼には、「たとえ、上から強い圧力がかかろうとも、自分が正しいと信じることを押し通すという強さ。」がある。 上にも下にもおもねる事無く、己が信念を貫き通すことで損することも少なくない。

 ロスジェネ世代の森山は、半沢と戦う中で、恨んでばかりの人生が、自らの成長を阻む要因だったことに気付かされる。

「登場主要人物紹介」

半沢直樹 :バブル世代。東京中央銀行(営業第二部次長)から

       系列子会社の東京セントラル証券に営業企画部長として左遷出向。

森山雅弘 :ロスジェネ世代。業務成績優秀なプロパー社員で最近、調査役に昇進。

       半沢の部下として勤務。半沢以外の出向組を良く思っていなく、

       会社組織の在り方に疑問を持っている。

諸田祥一 :バブル世代。東京中央銀行からの出向組(入行年次は半沢より一年先輩)。

       半沢の部下として営業企画部次長として勤務。

       保身のため、情報をリークし銀行に戻り、企業買収担当次長として、半沢らと敵対。

三木重行 :バブル世代。東京中央銀行からの出向組。営業企画部調査役として勤務。

        諸田からそそのかされて証券営業部に戻り、閑職に回される。

渡真利忍 :半沢と入行同期で、いつもの通り情報通として半沢を助ける。

三笠洋一郎 :東京銀行の副頭取。証券部門の出身で今回の買収劇のボス的存在。

         半沢に敵対心を抱いて居ている。

伊佐山泰二 :東京中央銀行の証券営業部長。三笠の手先となり、企業買収を担当する。

平山夫妻 :電脳雑技集団の社長と副社長でワンマン経営者。

玉置克夫 :電脳雑技集団の財務担当役員。 優秀な人材だがワンマン社長に見切りをつける。

瀬名洋介 :ロスジェネ世代。東京スパイラル社長で森山の親友。

       創業時の部下と経営方針で衝突し、その部下に裏切られる。

郷田行成 :一代で築き上げたフォックス・PCと周辺機器の会社社長。

       業績悪化に様々な商品投資に失敗。 今回の買収劇に関わることとなる。

広重多加夫 :東京スパイラルと一年前から取引のある大洋証券の営業部長。

         電脳雑技集団の買収対抗策を東京スパイラルに提案するが、それは表向き。

「相関図」

 

Rosujene02


                                         続く

 

 

 

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