今日は珍しく書物の話題です(別に本を読まないわけではナイ)。
お題はスペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットが、
20世紀初頭に書いた名著「大衆の反逆」です。
こちらはツイッター友だち、練馬のもんじゃ屋「わらべ」さんから聞いて興味を持ったものですが、
文字通り、大衆の反逆ということが、一連のフジテレビ騒動をはじめとする
今の日本を象徴しているというのです。
はたして読んでみると、”なるほど”と膝を打つ一方で、
意外だったのは、タイトルからして”大衆の反逆”を奨励する内容かと思いきや、
オルテガ本人は、そのことを憂いているのですね。
つまり、この著書の中でオルテガは、
「愚かな大衆があまりに発言権を持つようになったのは実に由々しきこと」と述べています。
愚かな大衆・・・。
けっこう過激な言葉ではありますが、これは戦後の民主主義を当然のように享受し、
民主主義、多数決は絶対・・・そんな風に教えられてきた
(↑ 両者は厳密にいうと、だいぶ違いますが)
私のような人間にはわかっていても驚きでした。
昔からスペイン人というのは、「命令には従う、実行はしない」という言葉があるように、
御していくのがひじょうに難しい人たちです。
イスラムに700年支配されても、完全にイスラム化することはなく、
逆に戻ったあとは熱狂的なカトリックに転じているという、ガンコきわまりない連中ですな。
神社に初詣に行き、お寺で葬式をあげ、クリスマス商戦に熱心な、わが国の人たちとはエラい違いです。
そんな、日本人の国民性とはだいぶ違う国の哲学者(スペインの哲学者・・・あまり聞かないなあ)が、
しかも20世紀初頭にこの本を書いたというのが驚きです。
もっとも、人間という生き物は、もともと自己中心的(生物すべてがそうですが)にできていて、
それを抑えるものがなくなると、とんでもない主張をするようになるわけで、
スペインという国は、真っ先にそういった傾向が出る風土があったのかもしれません。
オルテガは、数多くのスペイン語圏の国が独立していった様子を、
「わがスペインとは同一になることはできなかった」と言ってますが、
まさに世界一の言語圏を広げた国だからこそ、大衆の反逆を目の当たりみできたのかもしれません。
見方を変えてみれば、加害者を保護しすぎる現行の法制度や、
差別と呼ばれることを恐れるあまり、弱者に過剰な特権が与えられる風潮もまた、
大衆の反逆の一環であるといえます。
そこでオルテガは、カエサルがローマ民主主義を衆愚政治として、
帝政に戻したことを取り上げています。
人間社会を統括するには、トップダウンのシステムが必要という意味でしょうね。
しかしながら今の日本のみならず、アラブ諸国の独立の動きを見ても、
世界的に「大衆の反逆」の流れは止まることはないでしょうが、問題はその後の混乱です。
主権在民は民主主義の基本ですが、すべてを満足させる方法などこの世にありません。
世の中はどんな方向に行こうとしているのか。
ちょっとそんなことを考えさせられる書物でした。
(けっこう読みにくく難しい内容なので、お読みになる方はそれなりのお覚悟を!)
写真は昨日撮影した中秋の名月。
私は勝手に「ムンクの月」と呼んでいます。
お題はスペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットが、
20世紀初頭に書いた名著「大衆の反逆」です。
こちらはツイッター友だち、練馬のもんじゃ屋「わらべ」さんから聞いて興味を持ったものですが、
文字通り、大衆の反逆ということが、一連のフジテレビ騒動をはじめとする
今の日本を象徴しているというのです。
はたして読んでみると、”なるほど”と膝を打つ一方で、
意外だったのは、タイトルからして”大衆の反逆”を奨励する内容かと思いきや、
オルテガ本人は、そのことを憂いているのですね。
つまり、この著書の中でオルテガは、
「愚かな大衆があまりに発言権を持つようになったのは実に由々しきこと」と述べています。
愚かな大衆・・・。
けっこう過激な言葉ではありますが、これは戦後の民主主義を当然のように享受し、
民主主義、多数決は絶対・・・そんな風に教えられてきた
(↑ 両者は厳密にいうと、だいぶ違いますが)
私のような人間にはわかっていても驚きでした。
昔からスペイン人というのは、「命令には従う、実行はしない」という言葉があるように、
御していくのがひじょうに難しい人たちです。
イスラムに700年支配されても、完全にイスラム化することはなく、
逆に戻ったあとは熱狂的なカトリックに転じているという、ガンコきわまりない連中ですな。
神社に初詣に行き、お寺で葬式をあげ、クリスマス商戦に熱心な、わが国の人たちとはエラい違いです。
そんな、日本人の国民性とはだいぶ違う国の哲学者(スペインの哲学者・・・あまり聞かないなあ)が、
しかも20世紀初頭にこの本を書いたというのが驚きです。
もっとも、人間という生き物は、もともと自己中心的(生物すべてがそうですが)にできていて、
それを抑えるものがなくなると、とんでもない主張をするようになるわけで、
スペインという国は、真っ先にそういった傾向が出る風土があったのかもしれません。
オルテガは、数多くのスペイン語圏の国が独立していった様子を、
「わがスペインとは同一になることはできなかった」と言ってますが、
まさに世界一の言語圏を広げた国だからこそ、大衆の反逆を目の当たりみできたのかもしれません。
見方を変えてみれば、加害者を保護しすぎる現行の法制度や、
差別と呼ばれることを恐れるあまり、弱者に過剰な特権が与えられる風潮もまた、
大衆の反逆の一環であるといえます。
そこでオルテガは、カエサルがローマ民主主義を衆愚政治として、
帝政に戻したことを取り上げています。
人間社会を統括するには、トップダウンのシステムが必要という意味でしょうね。
しかしながら今の日本のみならず、アラブ諸国の独立の動きを見ても、
世界的に「大衆の反逆」の流れは止まることはないでしょうが、問題はその後の混乱です。
主権在民は民主主義の基本ですが、すべてを満足させる方法などこの世にありません。
世の中はどんな方向に行こうとしているのか。
ちょっとそんなことを考えさせられる書物でした。
(けっこう読みにくく難しい内容なので、お読みになる方はそれなりのお覚悟を!)
写真は昨日撮影した中秋の名月。
私は勝手に「ムンクの月」と呼んでいます。