とうやのひとり言

佐藤とうや ブログ

幻のもち米「女鶴」

2022年09月15日 | 日記

 在来品種もち米の「女鶴」を栽培してる方とお会いした。「女鶴」は極上のもち米として酒田市円能寺周辺の狭い地域で戦前から栽培されていた。大地主の本間家が「女鶴」を原料にした羽二重餅を老舗菓子舗「小松屋」に造らせ寒中見舞いとして毎年献上していた。献上米を栽培していた農家にその棟札が残っている。
 「女鶴」は明治初期に民間育種家が作り出したもち米で、父方が「今田もち」と言われているがそれに関する文献は見当たらない。「女鶴」は形状が鶴のくちばしの形をしているところから名付けられたと言われている。
 「女鶴」は籾の比重が軽く、餅をつくと柔らかいがこしが強く粘りがあり、煮崩れがしない。そして、奥深いかおり、と味がする。しかし、草丈が長く倒伏するので機械化に馴染まず、それに収穫量も少ない事からで栽培する人はいなくなった。酒田市では「女鶴」を残そうと研究センターで改良を加え、短丈にして「酒田女鶴」として登録されている。
 しかし、その「女鶴」を今も伝承している農家がいる。酒田市布目の堀正人さん(54)は「6アールほど栽培している。これも我が家の伝統で祖父の時代から引き継いでいる」と稲を刈り、杭掛け乾燥の作業中だった。
 幻のもち米「女鶴」はたった一人の農家で守り伝承されている。

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