電撃戦(レン・デイトン ハヤカワ文庫)
10年以上前に買った本を今頃になって読んだ。
レン・デイトンというとスパイミステリの巨匠というイメージしかないが、戦記ノンフィクションもたくさん書いているらしく、作家が余技で書いたようなものではなくて、しっかり調査・取材された作品だった。
私はドイツ軍の「電撃戦」というとソ連に侵攻したバルバロッサ作戦が真骨頂だと思っていたが、著者の意見ではその前のフランス侵攻(ダンケルクに英仏軍を追い詰めるまで)が戦史上唯一の電撃戦であり、それもフランス軍の鈍い動きがあってはじめて成功したものであるとする。
確かにこの本を読むとドイツ軍の機動部隊の突出ぶりは異常で、伸びきった戦線の途中をフランス軍が確実に攻撃すれば、史実のような鮮やかな成功は実現しなかっただろうな、と思わせた。
当時のドイツ軍の幸運があれば、同じように連合軍のふいをついてアルデンヌを森を突破しかけるところまで行った、1944年冬のドイツ軍の西部戦線での攻勢(いわゆるバルジ戦)も成功していたかもと思った。
もっとも、フランス侵攻成功の最大の要因はドイツ空軍の陸戦支援(急降下爆撃)が想像をはるかに上回って有効だったことのようで、連合軍空軍を防ぐすべは悪天候だけだった1944年冬とは大きな違いがあるが。
ドイツ軍が、フランス侵攻当時まだあまり実際的でないと考えられていた空軍による支援が有効であると考えるようになった原因についての著者の指摘が面白い。
それは「シュトルヒ」というグライダーに毛がはえたくらいの軽飛行機が連絡・偵察用に各司令部に配属されていて司令官自身がこれを頻繁に利用していたため、という。新技術の普及には上からのアプローチが有効だということだろうか。
フランス戦以降、(陸戦にかぎらないが)大軍同士の戦いでは制空圏確保が勝利の絶対条件になった。それは現代の米イラク戦においても同じだ。空軍はおそろしくコストが高く、経済力がないと維持できない。
経済力がない者が戦争をするには、軍隊がまともにぶつかる方法は採れないこととなり、ゲリラ的・テロリスト的な手法をとらざるをえなくなった。
10年以上前に買った本を今頃になって読んだ。
レン・デイトンというとスパイミステリの巨匠というイメージしかないが、戦記ノンフィクションもたくさん書いているらしく、作家が余技で書いたようなものではなくて、しっかり調査・取材された作品だった。
私はドイツ軍の「電撃戦」というとソ連に侵攻したバルバロッサ作戦が真骨頂だと思っていたが、著者の意見ではその前のフランス侵攻(ダンケルクに英仏軍を追い詰めるまで)が戦史上唯一の電撃戦であり、それもフランス軍の鈍い動きがあってはじめて成功したものであるとする。
確かにこの本を読むとドイツ軍の機動部隊の突出ぶりは異常で、伸びきった戦線の途中をフランス軍が確実に攻撃すれば、史実のような鮮やかな成功は実現しなかっただろうな、と思わせた。
当時のドイツ軍の幸運があれば、同じように連合軍のふいをついてアルデンヌを森を突破しかけるところまで行った、1944年冬のドイツ軍の西部戦線での攻勢(いわゆるバルジ戦)も成功していたかもと思った。
もっとも、フランス侵攻成功の最大の要因はドイツ空軍の陸戦支援(急降下爆撃)が想像をはるかに上回って有効だったことのようで、連合軍空軍を防ぐすべは悪天候だけだった1944年冬とは大きな違いがあるが。
ドイツ軍が、フランス侵攻当時まだあまり実際的でないと考えられていた空軍による支援が有効であると考えるようになった原因についての著者の指摘が面白い。
それは「シュトルヒ」というグライダーに毛がはえたくらいの軽飛行機が連絡・偵察用に各司令部に配属されていて司令官自身がこれを頻繁に利用していたため、という。新技術の普及には上からのアプローチが有効だということだろうか。
フランス戦以降、(陸戦にかぎらないが)大軍同士の戦いでは制空圏確保が勝利の絶対条件になった。それは現代の米イラク戦においても同じだ。空軍はおそろしくコストが高く、経済力がないと維持できない。
経済力がない者が戦争をするには、軍隊がまともにぶつかる方法は採れないこととなり、ゲリラ的・テロリスト的な手法をとらざるをえなくなった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます