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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

定年物語

2025年04月04日 | 本の感想
定年物語(新井素子 中央公論新社)

小説家の大島陽子の夫の雅彦は、広告代理店を定年退職する。これまで全く家事をしてこなかった雅彦に、陽子は、洗濯と掃除を担ってもらうことを依頼する。雅彦は試行錯誤しながら家事が上達?し始める。プレバトを見て俳句を趣味にすることにした雅彦は熱心に勉強して句会にも参加するようになるが・・・という話。

あとがきによると、ほとんどが著者の家庭の実話とのこと。夫の方は、まあ、普通の元サラリーマンらしい生態?なのだが、妻(著者)の方は相当に浮世離れしている。
スマホは月に何度かくらいの頻度しか使わない。1日に2冊くらいの本を読破する。テレビは(夫が見ているのをチラ見する以外は)見ない。毎日本屋をハシゴする。蔵書は数万冊。
大学卒業以来40年くらいコンビニ弁当や冷凍ものを食べたことがない。等々

何より、スゴいな・・・と(私が)思えたのは、大学時代から付き合って、結婚して約40年も夫婦をやっているのに、いまだに週に数回は二人いっしょにスポーツジムに行ったり、買い物に出かけたりすることだ。(いや、普通でしょ、それ・・・と言える人もいるかもしれんが、私にとっては異次元だ)

著者が(星新一とかの大家から高く評価されて)デビューした頃は、女子高校生が小説家になるということ自体が非常に珍しくて、当時同じような年頃でSFファンだった私には特に衝撃的だった。ただ、グリーン・レクイエムシリーズより後の作品はややSF離れしている感じになって読まなくなってしまっていたが、何十年ぶりかに(著者同様にトシをとってきた私も定年間近ということもあって)読んでみた。独特の文体は昔のままで、とても懐かしい感じがした。

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