蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

時の娘

2019年07月18日 | 本の感想
時の娘(ジョセフィン・ティ ハヤカワ文庫)

イギリス:プランタジネット朝最後の王:リチャード3世は策謀を巡らせて王位に就き、その後も(将来王位を狙うことを怖れて)幼い甥2人を殺害したとして悪名高い王。骨折して入院中の刑事は、リチャード3世の肖像画を見て、その容貌から、伝えられるような悪辣な人物とは思えず、入院中のヒマにあかせて歴史書などを調べ、リチャード3世を悪者に仕立て上げたのは、対立するランカスター家の生き残りで、リチャード3世を破って王となったヘンリー7世だったと結論付ける・・・という話。

私が読んだハヤカワ文庫は、今から30年以上前に買った本で、未読のまま押し入れの中で眠っていました。たまたま、日経の夕刊で中野京子さんが本作を取り上げていて、初めてリチャード3世とヘンリー7世の肖像画をカラーで見て(カラーで見たのは初めて。文庫の表紙にはリチャード3世の肖像画が掲載されているが白黒)「確かに肖像画で見るとヘンリー7世の方が悪賢そう」と思え、やっとこさ本書を読んでみることにしました。

アームチェアディテクティブの名作として世界的に有名な本書ですが、中身はかなり真面目な歴史検証になっているように思えました。ただ、わかりやすく周辺の人物や事件を解説しているので、イギリス史に全く疎い私でもある程度は面白く読めます。

多分、イギリスの人にとってはリチャード3世とかヘンリー7世は日本人にとっての織田信長とか徳川家康並みの有名人で、意外な真相のインパクトは大きく、とても面白い読み物になっていたのだと想像します。(例えると、明智光秀=名君説みたいな感じ??)

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