蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

山井投手の交代について

2007年11月02日 | 野球
今日、週末の居酒屋ではお父さん達が、日本シリーズ第5戦について熱く語りあっていそうです。中日の(突然変異的な)強さについてでも、ダルビッシュのピッチングについてでもなく、9回の投手交代について。

落合監督は、パーフェクトピッチングを8回まで続けた山井を9回の、それも頭から交代させました。
中日はここまで3勝1敗、エース川上、好調の中田を温存しており、このゲームはもともと捨てるつもりだったであろうにもかかわらず、です。

これを知った時の私の最初の感想は「落合監督の度胸はすごいな」でした。9回に投げる岩瀬へのプレッシャーはものすごいものになるはずで、万一、逆転でもされようものなら、一気にシリーズの流れが変わってしまうかもしれない。
8回が終わった時点で凡人なら「このゲーム、山井が打たれて負けてもダメージはほとんどない」と考えてしまうところです。そういう意味では慎重な采配というより、むしろ勝負をかけた積極的な決断であったとも思います。

この交代についての一般的に想定される評価を最もうまく表現していたのは、日経新聞の浜田さんの記事でしょう。「(この交代は)“野球的”には正しい。しかし、“エンタテインメント的”にはどうだろうか」
もともと落合監督は興行面を軽視して勝負にこだわる監督です。だから「黄金時代」といえるほどの成績を続けながらフロントにはいい感情をもたれていないようです。(もっともどちらかというと投手交代は遅めで、時には温情的な続投もあったように思うのですが)

私が気になったのは、山井投手のこれからです。
彼は交代を命じられて素直にそれに従ったようです。
プライドあるプロ選手なら、あの場面で「交代だ」といわれたら、「冗談じゃない」と激怒して続投を訴えるのが普通なのではないでしょうか。
そうしなかった選手は、天狗になるほどの意気と度胸が必要なエースになることはできないような気がします。

もし、これが、若い時の星野(仙)投手や(現役なら)工藤投手だったら・・・いや、落合監督自身が同じようなシチュエーションに選手として立たされたら・・・彼らは監督やコーチの制止を振り切ってでもマウンドにあがろうとするに違いないでしょう。

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