goo blog サービス終了のお知らせ 

蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ジョジョ・ラビット

2020年09月22日 | 映画の感想
ジョジョ・ラビット

10歳のジョジョ(ヨハネス・ベッツラー/ローマン・グリフィス・デイビス)は、ナチ党の熱心なシンパ。ドイツにとってすでに戦局は傾いていたが、ジョジョはクレンツェドルフ大尉(退役軍人/サム・ロックウエル)が始動するユーゲントのキャンプに行ったりする。そこで兎を殺せと命じられたジョジョは、それに従うことができずいじめられる。
ジョジョの母ロージーは、ナチに忠実な表向きと裏腹に屋敷にユダヤ人の少女(エルサ/トーマシン・マッケンジー)を匿っていた・・・という話。

監督(タイカ・ワイティティ)自身がジョジョの幻想?の中で登場するコミカルなヒトラー役を演じたり、終盤連合軍がジョジョの住む街に攻め込んでくるシーンでもあまり深刻さを感じさせない映像になっているのだが、それがかえってナチに支配された国家の悲惨さを強調しているように思えた。

ロージーが反戦主義者であることが明らかになり、国家警察がジョジョの屋敷の家宅捜索にやってくる。エルサはジョジョの姉のフリをするのだが、このシーンが本作のクライマックス。ここでただの酔っぱらいにでしかなかったクレンツェドルフ大尉が重要な役割を果たす。
いつも酔っぱらって醒めた目で世間を見ていたクレンツェドルフ大尉は、最後のどん詰まりで連合軍に派手な軍装?で突撃していくのもカッコよかった。

決算!忠臣蔵

2020年09月22日 | 映画の感想
決算!忠臣蔵

大石内蔵助(堤真一)は浅野内匠頭の正室(瑤泉院・石原さとみ)から預かった資金を元にお家再興工作を行い、それがうまく進まないと討ち入りの軍資金として活用する。討ち入りの直前に大石は収支をしたためた「決算書」を瑤泉院に届ける・・・という話。

吉良上野介は登場せず、討ち入りシーンもないという珍しい忠臣蔵。
さらに主役以外のほとんどのキャストがお笑い芸人で、おちゃらけた内容が想像されるが、意外にも?学術的な原作に(多分)忠実で、結果がわかっているのに「これらからどうなる?」という興味が尽きない面白さがあった。

一方で笑わせる場面もいくつかあった。大石が赤穂の屋敷などの資産を処分した時、妻の理玖(竹内結子)が大石の側室3人用に手切れ金を用意するのだが、大石が「もう一つええか?」とお願いするシーンが特に笑えた。

大石と藩の経理担当の矢頭長助(岡本隆史)は社長と経理課長くらいの関係性のはずなのだが、幼い頃からの知り合いで、ほとんどタメ口。しかし大石の年収が(現代の貨幣価値で)6000万円くらいなのに矢頭は180万円くらいでしかないというのが、身分社会の厳しさと同時に現代のサラリーマンの出世競争の哀感みたいなのを感じさせてくれた。

大石が瑤泉院から預かった資金は1億円くらいらしいのだが、それでお家再興の工作費(賄賂)や50人くらいの江戸滞在費、さらには武具の準備まで行うというのはちょっと無理がありそう。赤穂藩は塩田開発などで豊かで、累代の家老で、藩主に次ぐくらいの資産を持っていたはずの大石の懐からかなり持ち出していたんだろうなあ、と思えた(映画では大石は茶屋遊びなどで自身の財産は使い果たしたことになっていた)。