地下鉄道(コルソン・ホワイトヘッド 早川書房)
コーラは祖母の代にアフリカからアメリカに連れてこられた綿花農園の奴隷。母(メイベル)は、農園から逃亡しており、他の奴隷からは仲間外れにされる。
コーラは、新入りの奴隷のシーザーに誘われて、地下鉄道を使って北部への逃亡を図るが・・・という話。
地下鉄道といっても、実際の歴史ではレイルウエイという意味での鉄道があったわけではなく、南部州の奴隷たちを北部の州へ逃がす手助けをする人的・社会的ネットワークのことなのだが、本作では、地下を走る機関車や駅が登場する。
当時のテクノロジーで蒸気機関車を地下で長距離運用できるわけがなく、つまり、本作はファンタジーなのである。
ただ、「本当に地下鉄があった」という設定がストーリーにうまく活かされているとは言えないけど・・・
本作の魅力は、ハードボイルドタッチでスピード感のある文章にある。時に残虐で目をそむけたくなる場面もあるが、コーラが(いったんは安住の地かと思えた)サウスカロライナから逃亡を余儀なくされるあたりからは、ラストまで文字通り一気読みさせる迫力があった。
また、コーラを追う奴隷狩りのリッジウエイ、およびその秘書役のホーマーもキャラが立っていてよかった。
しかし、ほんのちょっと昔のアメリカって「北斗の拳」とか「マッドマックス」そのもののような社会だったんだなあ。だからこそ今でも(人種に限らず)差別に対して非常にセンシティブなんだろうなあ、と思わされた。
コーラは祖母の代にアフリカからアメリカに連れてこられた綿花農園の奴隷。母(メイベル)は、農園から逃亡しており、他の奴隷からは仲間外れにされる。
コーラは、新入りの奴隷のシーザーに誘われて、地下鉄道を使って北部への逃亡を図るが・・・という話。
地下鉄道といっても、実際の歴史ではレイルウエイという意味での鉄道があったわけではなく、南部州の奴隷たちを北部の州へ逃がす手助けをする人的・社会的ネットワークのことなのだが、本作では、地下を走る機関車や駅が登場する。
当時のテクノロジーで蒸気機関車を地下で長距離運用できるわけがなく、つまり、本作はファンタジーなのである。
ただ、「本当に地下鉄があった」という設定がストーリーにうまく活かされているとは言えないけど・・・
本作の魅力は、ハードボイルドタッチでスピード感のある文章にある。時に残虐で目をそむけたくなる場面もあるが、コーラが(いったんは安住の地かと思えた)サウスカロライナから逃亡を余儀なくされるあたりからは、ラストまで文字通り一気読みさせる迫力があった。
また、コーラを追う奴隷狩りのリッジウエイ、およびその秘書役のホーマーもキャラが立っていてよかった。
しかし、ほんのちょっと昔のアメリカって「北斗の拳」とか「マッドマックス」そのもののような社会だったんだなあ。だからこそ今でも(人種に限らず)差別に対して非常にセンシティブなんだろうなあ、と思わされた。