蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

あぶない叔父さん

2018年05月17日 | 本の感想
あぶない叔父さん(麻耶雄嵩 新潮社)

主人公は、年中霧が深い海沿いの小さな町にある由緒ある寺の次男坊で高校生。
経済的には恵まれ、寺の跡を継ぐ必要もなく同級生の彼女と彼を今も好きなモトカノがいて、きっと将来もこの小さな町に住み続けて平凡な生活を送るだろうという予感をい抱いている。
寺のはなれには、主人公の叔父さんが住んでいて、主人公は(この金田一耕助みたにな風体の)叔父さんが好きで何かと相談に訪れる。
その町で不可解な殺人事件が起こるようになり・・・という話。

著者は本格推理の有力な作家のひとりですが、私はもともと本格がイマイチ苦手なこともあり、そのデビュー作「翼ある闇」を読んだときは、そのあまりに突飛な展開とトリックに驚き、「この人にはついていけない」などと思ってしまい、その通り、以後近づいてはいませんでした。

本作における叔父さんは、高学歴だが今はプータロー(便利屋をやっている)状態で、兄が営む寺院のはなれで一人暮らし。兄からは無駄飯食いと思われていて、つましい生活(暖房は炬燵のみとか)を送っているが、性格は穏やかで、甥(主人公)がやってくると決まってお茶でもてなす・・・といった設定になっているのですが、このような暮らしぶりが私の理想(とは言いすぎかも)とするところだったので、読んでみることにしました。

しかし、うーん、やっぱりついていけなかったなあ。
ロジックとかへのこだわりはわかるんだけど、なんというか、その、「頼むから普通の小説書いて」って感じでしょうか。
主人公や叔父さんのキャラや設定はとても良いのに、ストーリーがひねくれ過ぎでしょう。
麻耶さん(もしくは本格ミステリ)の作品を読み慣れたファン向けの作品のような気がします。
コメント
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