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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

叫びと祈り

2016年06月12日 | 本の感想
叫びと祈り(梓崎優 東京創元社)

斉木というジャーナリストがサハラ砂漠、スペイン、ロシア、アマゾンなどに取材で訪れる先々で殺人事件に巻き込まれ、その解決を迫られる・・・という連作集。

デビュー作らしい砂漠を舞台にした「砂漠を走る船の道」は動機の意外さ二重構造の謎解きで面白かった。

ロシアの正教会の不朽体(腐敗しない死体)の聖人化認定をめぐる「凍れるルーシー」は、「いくらなんでもトリックに無理があるなあ」と思っていたら、ミステリじゃなくてホラーだったというオチだったが、それはそれで楽しめた。

「凍れるルーシー」の(ややトンデモ系の)ラストが叫びと祈りの場面で締めくくられていて、(連作集の)次の一編のタイトルが「叫び」で次が「祈り」だったので、「ホラーと見せかけた「凍れるルーシー」の真相(ホントのトリック)が次の2編で明かされるのかと思ったら全くそうではなかったし、「祈り」は(本書全体を)夢オチさせるみたいな内容だった(?)のは、いただけなかった。