蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

時をかけるゆとり

2016年04月10日 | 本の感想
時をかけるゆとり(朝井リョウ 文春文庫)

本書の見開きにある著者紹介(おそらく著者自身が書いたものと思われます)が代表的なんですが、読者を何とか面白がらせようと奮闘しようとしているものの、そのやり方がかなり素人くさいんですよね。
もしかして意識してやっているのでしょうか?
というのは、本書は元の本と文庫と合わせて相当な数売れているらしいので、若い世代にはこういうのがウケるのかもしれないですね。

このように、失礼ながら私としては語り口は気に入らないものの、体をはった?体験談はかなり面白かったです。
100キロハイキングとか500キロバイクのキツさはよく伝わってきましたし、「便意に司られる」という表現は、私もよく体験することもあり、切実さを共有できました。
「母がいろいろと間違う」も、よくある話なんですが、とても笑えました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロビイング入門

2016年04月10日 | 本の感想
ロビイング入門(明智カイト 光文社新書)

ロビイストと聞くと、アメリカの大手企業や銀行から大金をもらって議員に影響力をおよぼし、黒いものも白くしてしまうワルモノ、というイメージしかなかった。

本書では、自殺・いじめ予防やひとり親、性的マイノリティといった社会的弱者といえる人々が日本の議員に働きかけて自らの目的のために政策を実現させようとするロビイストを描いており、「ロビイング」という言葉の印象が大きく変わった。
特に児童扶養手当削減を防ごうとした赤石千衣子さんの活動は、世間の大勢(小泉首相の骨太方針など)に逆らうような目的を地道かつ粘り強い活動でほぼ達成させていて感心した。

本書によると、ロビイングで大切なのは、資金力や影響力よりも、議員を納得させ、かつ、そのまま議員が使えるようなわかりやすい理屈(もしくは実証データ)であるという。また与党に働きかけるだけではダメで、国会で成立させるために野党に対する活動も重要だそうである。また、中心になって進めてくれる議員をいかに確保するかがキーであるとのこと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする