蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

生きるための経済学

2008年09月02日 | 本の感想
生きるための経済学(安冨歩 NHKブックス)

選択の自由(=選択肢が多いこと)が、むしろ社会の閉塞状況を作りだしている。この状況を打破するには身体から生まれる創発を信じる必要がある。創発とは生命のもつダイナミズムのことで、これを信じないで意識の中の合理的計算に頼ろうとすると、外部からの価値観の押し付けにあい、人は不安に陥り、それを補おうとして限りなき虚栄、欲望にかられることなる。

と、いうのが本書の主張だと思う。一言でいうと「考えるんじゃない、感じるんだ!」(「燃えよドラゴン」の中のブルース・リーのセリフ。本書で引用されている)ということらしい。

ちょっと宗教がかっているが、この主張は少し前に読んだ「バカの壁」の、頭でっかちにならずに身体で受け止めろよ、というテーマとほぼいっしょのような気がする。

こうした主題とは(あまり)関係ないが、次の点が面白かった。
・築地市場や為替相場の例をひいて「シジョウ」と「イチバ」の違いを論じたところ。
・著者の研究へののめりこみぶりがアルコール依存症の症状とそっくりだったというところ。
・著者の結婚生活に対するぼやき。
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