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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

キリエのうた

2025年02月18日 | 映画の感想
キリエのうた(映画)

キリエと名乗ってストリートで歌っていた少女(アイナ・ジ・エンド)は、歌唱以外ではほとんど喋ることができなかった。結婚詐欺師のイッコ(広瀬すず)は彼女を気に入ってプロデューサー役になり、次第に人気がでてくる。イッコはキリエが高校時代の知り合いだと気付く。キリエの本名は路花(ルカ)で、キリエは路花の姉の本名。その姉と交際していたのがイッコの家庭教師をしていた夏彦(松村北斗)だった・・・という話。

キリエ(本名の方)とルカがアイナ・ジ・エンドさんの二役で、時系列も場所もかなり変化するので、なかなか筋がつかめませんでした。
彼女は、岩井監督の好み?のハスキーボイス(「スワロウテイル」のCHARAに似てる)で、カバー曲でも個性満点。本作で発掘されたのかと思ったら、私が知らないだけで既に有名な歌手らしいですね。

結婚詐欺役のシーンで登場する広瀬さんは、派手な色のカツラを付けてトンボメガネをしているのですが、これがとても似合っていて魅力的でした。多分、普通のカッコウをしている彼女は見飽きるほどいろいろなシーンで見ているためでしょう。

最近、やたらと出演作を見ているような気がする松村さんが、アイドルグループの歌手というのも最近知りました(と言ったら家人が「今どきそれを知らない日本人がいたなんて」と驚いていました)が、とてもそうとは思えない、落ち着いた演技ができる俳優さんだと思っています。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX

2025年02月12日 | 映画の感想
機動戦士Gundam GQuuuuuuX

****作品の内容に触れています。見ていない方は読まないでください****


新しいテレビシリーズのダイジェスト版だと聞いて、映画館で見る気はなかったのだが、スタジオカラー&サンライズ制作で、かつ、世評がとても高いので、見に行ってみた。

宇宙世紀0079年サイドセブン、つまり最初のテレビシリーズ(以下、ファースト)と同じ場面から始まる。登場するのも赤いザクと普通のザク2機。この部分はビギニングという新シリーズの前日談という位置づけなのだが、それを知らなかったので、新シリーズの舞台も0079年なのかと思っていた。
実際には、シャア率いるザク部隊がサイドセブンに侵入するところもファーストと同じなのだが、ザクの膝関節の動きは新しくなっていて、これが如何にも、というもっともらしさで感心していたら、ここで早くも本作最大の見せ場とサプライズが訪れる。シャアが横たわるガンダムに乗り込んでガンダムを大地に立ち上がらせるのである!
いやあ、驚いた。
と思っているうちに、シャアはホワイトベースも乗っ取ってしまう。そしてガンダムは赤く塗り替えられ、サイコミュを装備したビットを搭載する。それに乗るシャアは、ルナ2を陥落させられ苦境に陥った連邦の最後のあがきのソロモン落としも阻止したが行方不明になってしまう。
つまり、ビギニングはファーストに対する「高い城の男」=ジオンが1年戦争で勝つまでの経緯を描いている。キャラはすべて安彦デザイン(ドレンとかキシリアとか本当に生き写し?なのであるが、なぜかシャアの仮面はオリジナルとは雰囲気が違うような気がした。わざとだろうか)。メカの方は多少改変されている。前述のザクの関節もその一つだが、ガンダムの顔面が心無しかエヴァ初号機に似ているような・・・というか初号機の顔面がガンダムのオマージュだったんだろうなあ。特にマウスに当たる部分が。

肝心の本体部分は、まあ、可もなく不可もなくというか、プロローグ部分だけなので何ともいえない。サイド6の日常生活描写(地下鉄?が走っていたり、お風呂が20世紀の日本風だったりする)のは庵野風だった。
キャラの絵面がアニメアニメしていてビギニング部分が実写だったかのような錯覚に陥った。シャリア・ブルが主役級のキャラというのは富野さん(というかサンライズ)の罪滅ぼしだろうか。ファーストでシャリア・ブルは重要キャラだったのに、人気不振で1クール削られたためにチョイ役になっていしまった・・・という裏話を聞いたような気がする(うろ覚え)。

ま、とにかくビギニング部分には、毎週ドキドキワクワクさせられたファースト初見の45年前を思い出させてくれた。45年前のドキドキには「今週の作画はマトモだろうか?」(回によって動画の質の差がものすごくあった)というのもあったが・・・
ビギニング部分のシリーズを是非つくってもらいたい。シリーズが無理なら「グラナダを救え!ソロモン落としを阻止せよ」でもいいけど。

エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス

2025年02月04日 | 映画の感想
エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス

アジア系移民2世?のエヴリン(ミシェル・ヨー)はアメリカでコインランドリーを営む。頑固な父と気弱な夫と反抗的でレズビアンの娘に挟まれて日夜悪戦苦闘。IRSで女性の担当官にツメられたのを契機?に多元宇宙に生きて悪の首領?ジョブ・トゥパキ(見た目は自分の娘)と戦う立場に覚醒?する・・・という話(なのか?)

「考えるな、感じろ」という感じの映画。
なのだが、わけがわからなくなる前あたりまでの話(エブリンがコインランドリー経営に孤軍奮闘し、頼りにならない父と夫を引き連れてIRSの役人と対峙するあたりまで)をそのまま続けていっても面白い映画になりそうだった。

数え切れないほどのマルチバース世界と、そこにそれぞれ異なったコスチュームでエヴリンが登場するので、撮影順序やスケジュールの調整や編集がとても大変そう。それを破綻なく??まとめたあたりがコンペでは評価されたのかも??

夫役のキー・ホイ・クァンは、ココリコ田中に見た目や雰囲気がとてもよく似ていた。なんと同い年らしい。

春に散る(映画)

2025年02月04日 | 映画の感想
春に散る(映画)

ボクサーとして輝かしい経歴を持つ広岡(佐藤浩市)は、年老いて心臓病を抱えていた。かつてのジムの仲間だった佐瀬(片岡鶴太郎)と同じ家で暮らし始める。不可解な判定で試合に負けた現役ボクサーの黒木(横浜流星)は広岡にトレーナーになってほしいと頼み込むが・・・という話。

原作は沢木耕太郎。ノンフィクションやエッセイはどれもほぼ例外なく傑作なのだけど、どうも小説は私の肌?にあわず、本作も小説は読まないまま映画を見た。

黒木とチャンピオンの中西(窪田正孝)の試合シーンはよくできている(横浜流星と比べると窪田の動きが見劣りしてしまうのは仕方ないが)ものの、必殺技?がクロスカウンターというのは、ちょっと古めかし過ぎるかも・・・

広岡は、どう見てもトレーナーには見えない。一方、佐瀬の方は仕草とか試合中の声掛けとかが本物っぽい。まあ鶴太郎は本物の経験者だからなあ(今となってはその過去を知る人もすくなそうだが)。しかし、いっそ片岡鶴太郎が広岡役の方がよかったかも・・・

碁盤斬り

2025年01月22日 | 映画の感想
碁盤斬り

彦根藩士の柳田格之進(草彅剛)は、藩主秘蔵の絵巻を紛失した罪を着せられ、妻も失い、今は江戸の長屋で娘と暮らす。囲碁が趣味?で、碁会所で商人の源兵衛(國村隼)と知り合い、その店で対戦を重ねる。ある時、その店で五十両がなくなり、格之進が疑われるが・・・という話。

副題が「柳田格之進異聞」。柳田格之進と聞くと、志ん生がこのネタを演ったとき、柳田格之進という固有名詞を忘れてしまって「何とかというお侍さんがあ・・・」などと始めたのだが、お客さんはあきれるどころか(いつものように)大爆笑だったというエピソードを思い出す(もちろんすでに名人として認識されていた時代の話だが。その当時は深酒して高座で居眠りしていてもお客さんが「寝させておいてやれ」というくらいだったとか)。

落語とはちがって、チャンバラシーンを入れるため??に同じ彦根藩士だった柴田兵庫(斎藤工)が登場する。アクションとかセリフ回しとか明らかに斎藤工の方が上手なのだが、格之進と比べてどちらがより侍らしく見えるかというと草彅剛の方なんだよなあ〜不思議な役者さんだと思う。

遊郭の女主人役の小泉今日子も好演なのだが、まさかあのキョンキョンがこういう役が似合う齢になってしまったのかと思うと、なにか虚しさを感じてしまうのであった。