老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

竹島問題は未来志向で話し合え

2008-05-20 10:43:53 | 社会問題
5月18日の読売ニュースは、文科省は中学校社会科の新学習指導要領の解説書に「竹島」を日本独自の領土であることを明記することを決定した、と報じている。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080518-OYT1T00055.htm?from=any

旧盧武鉉(ノムヒョン)大統領時代には、島根県議会の「日本の領土」とする議決に、韓国内で強い抗議行動が発生したことは記憶に新しい。今回の文科省の決定はどのような経緯でなされたのか分からぬが、昨年沖縄の集団自決問題を歪曲して歴史教科書に記述しようとした自民党の文教族が、またもや強引に決定したのではないかと疑いたくなる様な内容である。

竹島は過去の歴史を遡れば日本が実効支配していた事実もある。しかし1952年李承晩大統領が海上ラインを一方的に敷き(「李承晩ライン(ウィキペディア)」)、領有権を宣言して後、事実上の実効支配は韓国側にある。それに抗して文科省が新学習指導要領の解説書に載せたからと言って解決するような問題でもない。

韓国では今年、李明博(イ・ミョンバク)新大統領が登場し、日韓関係を未来志向で構築し直そうと言っている。現在竹島問題は、島の領土そのものの価値より排他的水域(漁業や資源)という実質的価値の問題であり、新大統領との間であれば未来志向で十分解決できる可能性が出てきたと言える。

文科省の決定は果たして日韓交渉で竹島問題を未来志向で解決できる一助となるのであろうか、また福田首相と外務省は竹島問題を未来志向で解決するのにこの文科省の決定がプラスになると見ているのであろうか、外交面から見れば疑問である。

「護憲+BBS」「行政ウォチング」より
厚顔の美少年
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クラスター爆弾禁止条約に対する日本政府の姿勢

2008-05-19 10:41:57 | 安全・外交
18日の毎日新聞の「余禄」は、セルビアから来日した不発弾処理技術者カペタノビッチさんが、クラスター爆弾にやられた経験の紹介から始まる。

多くの子爆弾が飛び散り、黄色いリボンがついた不発弾をおもちゃと勘違いして拾って命をうばわれる子供が絶えず、死傷者の98%が民間人だとか・・・。最近も確かイスラエルがレバノンに潜むテロ組織に対して(と称して)使った記憶がある。

そのクラスター爆弾の禁止条約を作ろうとする国際会議が19日、アイルランドのダブリンで始まる。昨年から続く軍縮会議「オスロ・プロセス」の大詰めだという。

日本も会議に参加するが、政府は「海岸線を守るのに必要だ」と主張して廃棄に踏み出さず、しかも例外条項をもうけるよう求めたという。

「抜け穴を探す抵抗勢力となるより、率先して強力な禁止条約を推進できないものか」と、このことを紹介して余禄子はいう。

全くそのとおりだと思う。日本に船(軍艦)でやってきて上陸し、地上戦を戦おうとする国とはどこを想定しているのか知らないが、憲法九条を持つ日本が、なぜそのような武器をもつのか?戦争をしないように外交努力をするのが政府の取るべき道ではないだろうか。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
松林
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愛国心

2008-05-19 10:25:46 | 民主主義・人権
大地震の影響もあり、大騒ぎだった「聖火リレー」の報道がすっかり息を潜めましたが、今回世界中を回った「聖火」は「中国には『チベット問題』がある」ということ、動員された留学生等の行動にみえる「愛国心」というものの底知れぬ怖さも世界中に印象づける結果となりました。

私にはどうしても「北京オリンピック」が72年前の「ベルリンオリンピック」と重なって見えてしまいます。何よりも大切なことは主催国の「国威」を世界に示すことで、おそらくオリンピックの本来の目的と思われる「スポーツを通して世界に平和を広める」などということはほとんど考えられていないのではないでしょうか?

この「国威」というときの「国」とは何を示すのでしょう?あるいは「国家」とは何でしょう?

私は、「国」のない「民」はあり得ても「民」のない「国」はあり得ないという当たり前の論理から、「国」が「民」のためにあるのであり、決して「民」が「国」のためにあるのではないという結論を得ています。だから「民」に害する「国」など存在する価値はないのです。

そう言った意味から見ると、「国威」というのは何のことでしょうね。結局その国の権力者が自らの権力の大きさを世界に示したいだけのことではないでしょうか。

「愛国心」というのも、その人ひとりひとりの「アイデンティティ」のあり方や人々の文化や生活を思いやる心であり、決して「権力」への忠誠だったり外国への対抗心や排他性ではないはずです。

オリンピックというと祖国のチームや選手を応援し、その勝敗に一喜一憂するというのが当たり前のようですが、そんなことにこだわらず純粋に様々な国の選手の素晴らしいプレーに感嘆するという楽しみだってあるんです。(パラリンピックだと素直にそういう見方をする人が多いと思いますが・・・)北京オリンピックでもスタンドが赤い国旗一色で埋められるより、様々な色で無秩序な方がずっと美しく見えるに違いありません。

サイクロンにより多くの人々が亡くなり、さらに多くの人々の生活が破壊されてしまったことに目を向けず、自らの権力と利権を守ることだけに夢中になっているビルマの権力者たちに「おまえたちに『愛国心』はないのか」と問いかけたいですね。

「護憲+コラム」より
千葉の菊
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大佛次郎セレクションより「白い姉」

2008-05-16 16:13:52 | 社会問題
先日図書館でとても珍しい本を見つけました。大佛次郎の「白い姉」です。

大佛次郎と言えば「鞍馬天狗」で有名な作家ですね。たまたま、図書館で目にした「白い姉」という本は大佛次郎セレクション中の 一冊で、大変興味深く読むことができました。
http://book.asahi.com/news/TKY200709010179.html

一見すると、1930年代のモガ、モボ、華やかなりし頃のブルジョアジー富裕階級の男女の物語なのですが、読み進む内に主人公の女性が抱える「実存の不安」だとか、当時の中産階級の没落とか、今の時代によく似ている状況を描いているのです。

特に登場人物である甲太郎という若者の

「中産階級の金はどんどん大資本に収集されてゐる。この中間的な階級は一日一日と加速的に没落して行くだけなんだから。労働者のやうに未来への希望はないし。半端で、無気力で、やりきれない存在だ」(大佛次郎「白い姉」より引用)

と言う言葉は今の日本の社会の状況と似ているなーと思いました。

http://goodfeeling.cocolog-nifty.com/camarade/2007/11/06_a21b.html

上記のアドレスにある解説を読むと、この「白い姉」が単にブルジョアの男女のモダンな生活を描いたものではないことが良く分かります。佐保子という女性の自立への強い思いと、それを実行するに至らず最後の場面を迎えてしまうことに、日本という国家が戦争へと突き進む将来を暗示しているように、私には思えたのです。

単行本で2900円というのは結構な値段ではありますが、大佛次郎という作家が、当時の日本の社会状況をどのような目でみていたのかというのも興味深いものです。お時間のある方は図書館などで一読して見られたら如何でしょうか。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
パンドラ
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閣議決定と国会決議の矛盾

2008-05-14 22:04:06 | 国会
福田内閣は本日(5/13)の午前の閣議で道路特定財源を09年度から一般財源化することを決定しながら、午後の衆議院本会議では閣議決定を打ち消すように道路特定財源を10年間継続する法案を憲法59条により強行可決してしまった。

この矛盾行為は政府与党内が道路特定財源を一般財源化する方向で纏まっていないことの現れである。しかも一般財源化の閣議決定が午前中で、10年間の道路特定財源化の国会決議が午後になっており、中身も時系列もチグハグなのである。

政府与党が本気で一般財源化を実現したいのであれば、閣議内容と法案に整合性を持たせるか、少なくとも10年の道路特定財源の国会決議の後に閣議で一般財源化を決定するのが、常道である。この2つの矛盾は、仮に福田内閣が退陣した場合、次の内閣で一般財源化を反故にしやすいようにしておくためであろう。

何れにしろ政府与党の一般財源化が名ばかりなのか、真の一般財源化であるのかは、教育・福祉への予算配分比率で分かることである。国民が納得できるおおよその予算配分比率は教育・福祉に7割、道路整備に3割ではなかろうか。これであれば名実ともに道路特定財源の一般財源化といえるが、実の伴わない一般財源化は偽装であり背信行為である。

一方野党の一般財源化の予算配分比率も乞うご期待である。またガソリン税を廃止してその分は政官業の利権にメスを入れて捻出すると言っているのであるから、政府自民党の一般財源化とは自ずと中味が違うはずである。

政府が閣議で一般財源化を意思決定したのは自助努力ではなく、野党の道路特定財源の追及に正当性があったからである。野党は、残された会期では年金公約問題・後期高齢者医療制度・イージス艦事故原因・福田首相の通常国会冒頭での「国政の五つの基本方針」等への取り組み姿勢を追及して、最後に首相・厚労大臣・防衛大臣3人の問責決議を参議院に提出して貰いたいものである。

「仮に問責が可決されたなら衆議院を解散し民意を問え」というのが、直近のNHK世論調査の結果である。
http://www3.nhk.or.jp/news/k10014529281000.html

『参議院で問責決議案が可決された場合の福田総理大臣の対応について、「衆議院の解散・総選挙に踏み切るべきだ」が60%で最も多く、次いで「決議にこだわらず、総理大臣を続けるべきだ」が19%、「総理大臣を辞任すべきだ」が12%でした。』

おそらく各メディアの世論調査も大同小異のはずである。最早国民も最新の民意を問わずに今後の国会運営は成り立たないと見ており、更に上記の世論調査は、問責決議により国会が空転しても、その責任は民意を問わない政府与党にあるとの認識を示すものである。

「護憲+BBS」「国会ウォッチング」より
厚顔の美少年
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「小泉政権の負の遺産」?治まらない高齢者の怒り

2008-05-13 16:05:55 | 自民党政治
昨晩若い友人とうなぎ屋へ行ったら、「私の少ない年金から保険料を天引きするなんて政府もひどい」と嘆く女性に、隣にいた後期高齢者と思しき男性いわく「それはね、小泉が悪いんですよ。郵政民営化なんて口当たりの良いこといって、選挙で大勝ちして好き勝手なことをやった。福田もその尻ぬぐいをやるだけで肝心なことはなにもやらない。もう自民党はだめですよ」。

年をとると変化を好まなくなるせいか、これまで高齢者はほぼ一貫して自民党を支持する人が多かった。ところが3年前の総選挙で圧倒的な勝利を収めた自民党は、2年前に後期高齢者医療制度を創設して今年4月から年金の天引きが始まりました。

味方と信じていた自民党から冷や水を浴びせられた高齢者の怒りは激しく、政府はあたふたと対応に苦慮しているようですが、変わり身の早い自民党船田元議員は宇都宮市内のあちらこちらに「格差なき社会へ」と書いたポスターを張り巡らし、「小泉政権の負の遺産の説明とお詫びに終始する政治から、新しいビジョンを示す前向きな政治に政策転換したい」と語っています。

候補者の名前だけが飛び交う空虚な選挙にさよならして、じっくりと政策論争する選挙を一日も早く見たいものです。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
宮天狗
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矛盾法案で憲法59条2/3議決を弄ぶな!

2008-05-13 06:08:54 | 国会
政府与党は12日午後の参院本会議で2008年度以降も道路特定財源を10年間維持する道路整備費財源特例法改正案が民主、共産、社民各党などの反対多数で否決されたのを受け、憲法59条の規定に基づき13日の衆院本会議で出席議員の3分の2の多数で再可決して成立させる方針のようだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080512NTE2INK0312052008.html

一方福田首相は野党の追及に窮して、やむなく09年度から道路特定財源を一般財源にすることを政府・与党内で合意し、国民へ公約せざるを得なくなったが、しかしこれは明らかに道路特定財源を10年間維持する道路整備費財源特例法改正案に矛盾している。

そしてその矛盾を解消するため、政府は13日の衆議院での2/3議決前に辻褄を合わせ「道路特定財源制度の規定は09年度から適用しない」とする方針を閣議決定し、世論の批判をかわす作戦のようであるが、「姑息な手段で憲法59条を弄ぶな」と言いたい。

そもそも道路整備費財源特例法改正案が3月13日に衆議院を通過した際には、政府与党から一般財源化の提案はされていなかったはずである。それが野党の道路特定財源廃止の追及で、法案の呼称は同じでありながら、2ヶ月後には閣議で有効期限が10年間から1年間に変更されようとしているのである。期限以外にも道路の中期計画を10年から5年に変更するなど、3月13日に衆議院を通過した法案とは似て非なるものである。

このように政府与党は最初に衆議院を通過させた期限や内容等を閣議決定で変更し、憲法59条の2/3の規定で再議決するようなことは、憲法と国権の最高機関である国会を愚弄するものであり、前代未聞の悪しき国会運営である。

まだ残された会期は6月中旬まで十分あり、衆議院議長と副議長は職権で政府与党に閣議決定内容と整合性のとれた新法案を衆議院に出し直しさせ、その法案で2/3の再議決をするよう指示すべきである。今後もねじれ国会は当分解消しそうもないことを想定すれば、今後のことも含めて憲法59条の解釈運用の在り方を示しておくべきであろう。

「護憲+BBS」「国会ウォッチング」より
厚顔の美少年
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田中耕太郎氏の足跡と日米安保(雑感)

2008-05-12 09:53:51 | 憲法
先日、「砂川裁判:(ダグラス・マッカーサー2世)米大使、最高裁長官(田中耕太郎氏)と密談 破棄判決前に」とのニュースに衝撃を受けてより、個別裁判官の従う“良心”の役割について、一層気に懸かるようになりました。他方に、(明文の)日本国憲法がありながら、という意味で…。

田中耕太郎氏は、「第二次世界大戦末期には、南原繁、高木八尺らと東京帝大の知米派教授グループによる対米終戦交渉、カトリック信者としての人脈を生かしての対外和平工作にも関与した」らしい。
 
更に、戦後憲法史から見えることは、「1950 1. 1 マッカーサー、年頭の辞で日本国憲法は自衛権を否定せずと言明」の直後、3月に最高裁判所長官に任命され(受任し)、60年安保改訂を見届けるまで約10年の長きに亘り在任した事実と、戦後政治への圧倒的な貢献度。
 
その間に、統治行為論や自由裁量論(国会優位)を持ち出しての違憲判決の転覆(その後の合憲的解釈)、そして判例としてその後の司法に大きな箍を嵌めたことなど、果たした役割は決して看過できない。このような主張・論は、日本国憲法の明文には一切ない、のにである。在任中の振舞い、裁判において彼が従ったは、良心だったのか、信条(反共主義?)だったのか、日本国憲法だったのか、疑問が残る。

戦後、新憲法(日本国憲法)が制定された時、「新しい酒を新しい皮袋に入れる」ことが出来たなら、こうした日本国憲法との乖離は無かったのではないかと、無い物ねだりと思いつつ、思われる今日この頃。
 
イラク戦争その後の(今に至る)占領統治を見るにつけ、米占領軍とシーア派、更にスンニ派(旧バース党員を含む)による混迷を見ても、その理は窺える。つまり、米占領軍(対日)は、内外情勢を斟酌し、旧支配層(戦争責任のある者を含め)と協同して、占領政策(世界政策)を進めたのだった。その根幹が、日本国憲法を裏切る、日米安保(軍事同盟)。

ところで、裁判員制度導入を控える今、個人的には早期導入には賛成できないが、裁判所(政府主導?)都合の迅速裁判(裁判員は長く拘束できない等を口実にして、或いは『米政府の年次改革要望書』を斟酌し?)のみに偏ることなく、国民のために、審議・議論を尽くし(民主主義の学校?とするなら尚更)、真実追及と適正手続きの保障を実現するよう、改めて求めたい。

そういう折も折り、出された貴重な名古屋高裁の「イラク派兵違憲判決」、そしてこの度開催された『9条世界会議』の盛会と世界的支持・賛同・拡がりは、我々の良心にも響いてきているのではあるまいか。現実(政治)への批判・不満とあいまって。

日本国憲法もあるべき姿(原点)に戻したいですね。それは、平和主義と人権保障(個人の尊重)のことです。国民主権も不十分。それには、“新しい皮袋”が必要です。

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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映画「YASUKUNI」を見て

2008-05-11 16:03:35 | 社会問題
「YASUKUNI」を見た。席は毎回満席のようで、老若男女実に様々な様子の人達が映画館のロビーにひしめいていた。

この映画を見たとき、私は何でこのドキュメンタリー映画が「偏向」とか「反日」とかのレッテルを貼られ、上映自粛まで追い詰められたのか分からなかった。それと同時にこの映画は「ある種の人達」にとってやはりあからさまに見せてはならないものを含んでいるのだろう、と思った。

「靖国刀」

私はこの映画を見るまで靖国神社の御神体が「刀」だというこを知らなかった。今でもそれをつくり続ける最後の刀匠、刈谷直治氏90歳。その静かな物腰、刀をつくる時の精錬なまなざし。李監督のインタビューに答える時のくつろいだ慈愛に満ちた瞳。

一転して8月15日靖国神社境内。

熱に浮かされたように軍服のコスプレに身を包み「我ら日本国民は、靖国神社に集結し、日本国の反映のために天皇陛下の元に一致団結し~!」と叫び行進する老人達。「お国の為に命を捧げた英霊達を思い参拝するのが何故悪い、今までの民主教育が日本の若者をダメにした」とビールを飲みタバコをくゆらしながら一時の夢に酔う老人達。

「靖国参拝」を「心の問題」とすり替えて記者会見する小泉首相(当時)。石原都知事の祝辞と共に君が代を歌う議員、その他の人々。そこへ「閣僚の参拝に反対する!」と叫んで乱入する青年。

「中国へ帰れ!」という罵声を浴びせられ頭から血を流し、パトカーに押し込まれる青年。「我が同胞は二度殺された、一度は人間の尊厳を奪われ、虐殺され、二度目は、軍国教育に洗脳され兵士として戦争の最前線に送り込まれた」だから、閉じこめられた魂を返せと、合祀取り下げを訴える台湾の人達。

戦場に赴くことを強制され、仏教者という立場でありながら、人を殺し、殺されることを余儀なくされ、戦場に散った日本人の僧侶。その父の軍服姿を寺の一室に飾り、合祀取り下げを訴える仏教者。

その、喧噪の中から遠く離れた場所にいる刀匠と李監督。しかし、機械を使わず伝統的な方法で作られてきたという美しい「靖国刀」の刃の先のあるものは、アジアの人々が流したおびただしい量の血であり、地獄の苦しみだった。カメラは「靖国刀」が戦場で果たした残酷な役割を淡々と流していく。

「あなたは、当時のことを覚えていますか?」「靖国をどう思いますか?」という李監督の質問に口ごもる老刀匠。その沈黙さえもカメラは写し、それは決して問い詰めるというのではない会話が続く。

李監督は「この映画は日本に対するラブレターだと思っています。戦争後遺症に関して、互いに見つめて考えて行くことが、本当の愛ではないでしょうか」と、映画のパンフレットの中で語っている。「靖国について考えて欲しい」というのが李監督が一番言いたかったことなのだろう。

さあ、私は「靖国」についてどう考える。一宗教法人が、国と政権与党というバックボーンを持ちここまで巨大化した事に対する理不尽さか。「英霊」というコトバを使い、本来なら怒りをぶつける相手を曖昧にし、遺族のノスタルジーにつけ込んで勲章なんか贈る姑息なやり方に対する憤りか。「お国のために‥」などという美辞麗句で行き場のない若者達のエネルギーを取り込もうとする者達(だから今【希望は戦争】などという考えが芽生え始めている)に対する怒りか。

あの美しい「靖国刀」のその先にあるものを、もう一度考えてみたい。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
パンドラ
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フセイン取調官の証言とイラク帰還兵

2008-05-09 20:25:40 | イラク戦争
「9条世界会議」ピースウォーク(広島から幕張へ)を読んで、良心のある兵士が心身症になる原因がよくわかりました。

先ほど(5/8 1:45am頃)地震があり、テレビで地震情報を確認していたら、深夜番組「CBSドキュメント」を見てしまいました。ちょうど、サダム・フセインが処刑される前にアメリカ国内で取調べを担当したFBI捜査官がインタビューを受けていました。彼はサダム・フセインから「生の声」を数多く引き出した功労者との事ですが、彼の証言で印象に残ったことは、

①アメリカが開戦理由とした大量破壊兵器は、その時にはなかった。
②アメリカ(ブッシュ大統領)は最初からフセイン後の政治を収拾する気などなく、フセインさえ排除すればイラク人が何とかすると思っていた。
③当時、パウエル国務長官が開戦に反対し、「パンドラの箱を開けることになる。戦後政治に責任を持たざるをえない状況になる」と忠告していたのに、ブッシュ大統領は無視した。
④今も続くイラクの混乱は、その結果だ。
⑤フセインはアメリカの文化(意思決定)を知らな過ぎた。彼はアメリカ映画を見て学んでいるだけだった。
⑥同様に、アメリカもイラクの文化を知らなかった。
⑦イラクでクルド人を化学兵器で虐殺した事件は、フセインが命令した。化学兵器による犠牲者の遺体写真を見せても、彼はそれを「必要だった」の一言で片付けた。とても怖い人間だと感じた。
⑧息子のウダイ氏の残虐な行為について、フセインは「仕方がない。子供は選べない」と言った。

以上です。フセイン元大統領(故人)がいかに危険人物だとしても、ブッシュ大統領は騎兵隊もどきの単細胞的な軍事介入しか頭になかったのでしょう。現在も自分のメンツとネオコン・軍需産業の機嫌取りでイラク派兵を続けているように思います。

松林さんがお書きになった「フラフラのアメリカ人」は、正義と言われて戦ったが真実を知ってしまった人、戦争の加害者かつ被害者でしょう。近い将来、日本人(自衛隊員)にも同様な事例が起こらないとは・・・。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
猫家五六助
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