老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

東日本大震災から13年、自衛隊の果たす役割は?

2024-03-11 11:59:36 | 災害
今日は3月11日。2011年の東日本大震災発生から13年が経ちました。

地震、津波、火災等により2万人を超える死者、行方不明者を出し、原発事故を引き起こした未曾有の大規模災害に、当時私たちは衝撃を受け、被災地はどうしたら立ち直れるのか、自分に何かできることはあるのか、政治は被災者救済と被災地復興に迅速適切に動けるのかと、息をこらしながら見つめる日々が続きました。

そんな当時の状況で、今も強く印象に残っていることのひとつが、自衛隊による献身的な救助活動でした。

震災発生後ほどなくして現地に入った自衛隊は、福島第一原発周辺のがれきの撤去やインフラ整備、被災者への食糧支援や風呂の提供、更には泥にまみれたアルバムの回収や、床の拭き掃除、仏壇の整備等々、被災者の心に寄り添う多岐に亘る支援を行い、その利他的献身と、訓練・組織力に裏打ちされた救援能力に、私たちは強い信頼と共感を抱くようになりました。

こうした国民の間に広がった自衛隊に対する信頼、肯定的評価は、3.11東日本大震災の貴重なプラスの置き土産だったと、今でも思います。

しかし、その一方で、震災後の政治の動きを見ると、野田民主党政権、それに続く安倍自民党政権、共に、安全保障政策の強化に傾斜。「積極的平和主義」と称して、自衛隊の海外派遣を断行するに至りました。

そんな状況下の2016年1月に、「自衛隊は戦場に行くの?」という毎日新聞社主催のシンポジウムがあり、そのシンポジウムのレジュメに、(見習い期間さんのコラム「積極的平和の意味するもの」とも通じる)瀧野隆浩さん(現毎日新聞編集委員)の以下のような印象深い言葉がありました。

「自衛隊には①いわゆる「普通の軍隊」になろうとする新しい流れと②60年かけて培ってきた「軍隊らしくない」「利他性組織」としての本流』がある。『相反する二つの流れをよく理解し、なんとか生かしていけば、安倍首相がいうのとは別の「積極的平和主義」の道が築いていける。』
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/0971579a34329e2702d43bbb99375ceb

現在の岸田政権は、安倍政権の路線を踏襲し、「厳しい安全保障環境」を強調し、「防衛能力」「反撃能力」の強化を全面に打ち出しています。

その一方で、今年1月に起きた能登半島地震に際しては、(3月4日の参議院予算委員会で山本太郎氏が指摘したように、)災害救助に自衛隊を投入することには極端に消極的な姿勢を示しています。

岸田政権の対応から、政府は東日本大震災時に示された自衛隊の「国民の命を救う」能力を活用するのではなく、「敵を殺す軍隊」の強化を重視していく方針だとしか思えません。

ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ攻撃、喧伝される中国や北朝鮮の脅威、等々、世界中に戦争の火種が存在し緊張が高まる中、「平和的生存権」を掲げる「日本国憲法」を持つ私たちは、自衛隊の「災害救助隊」としての機能を強化し、「国際災害救助隊」として世界に貢献することこそが、「真の平和構築」に繋がることを、今一度思い起こす必要があるのではないでしょうか。

「護憲+コラム」より
笹井明子

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