老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

原子力発電は地球環境にやさしいのか

2024-04-07 20:05:48 | 原発
原発が相次いで作られた時代に盛んに繰り返された、「原子力発電はクリーンな発電方法である」という主旨の言説がここにきて蘇っているようだ。SDGsの7番目の目標に掲げられた「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を意識し、原子力こそがカーボンニュートラルで持続可能な発電方法であるとして、日本政府が進めようとしている原発回帰の根拠ともなっている。

原発回帰を進めようとする人、あるいは否定しない人たちは、一見すると中立で多角的な情報源をもとに、原子力発電こそが現状では最も安定した電力供給ができ、かつ環境への負荷が少ないと訴えているようだが、実際には原子力発電に有利な情報を選んでいて、必然的にバイアスがかかった内容に見える。

NHK高校講座で開講されている理科科目のひとつである「科学と人間生活」では、生活に必要な電力をいかにして発電しているのかを説明している。原子力発電のデメリットや福島第一原発事故だけでなく東海村臨界事故にも言及し、万が一事故が起きた時に甚大な被害が出るというリスクについても説明している。しかし、あくまでも発電方法やメリット・デメリットを知るにとどまっている印象を受けたのも事実だ。

たしかに、現在の技術では再生可能エネルギーでは電力供給が不安定かもしれない。しかし、それらを克服するためにどのような研究開発が行われているのかなどを紹介してもいいのではないか。

水力発電は気候変動の影響を受けやすく、干ばつが原因で発電できなくなってしまうのであれば、まずは省エネと再エネで気候変動問題に対処することが先だろう。

さらには、原発もまた気候変動というよりも端的に温暖化の影響を受けやすいようだ。気温上昇に伴い、冷却水として用いる湖沼、河川、海水の水温も上昇し、冷却水として使用できない事例もすでに発生している。大半の原発を海岸に設置している日本でも冷却水として使えなくなる可能性がある。

また、気温の上昇による海面上昇問題も、原発に大きな影響を与えることは想像に難くない。浸水の危険性があり、高潮と暴風雨が重なった場合には水没する可能性もあるだろう。

冷却に使用された後は海水温よりも7℃近く高くなって海に戻されるのであれば、海水を冷却に使用すること自体が海水温の上昇につながり、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に反することになってしまう。

SDGsの目標16には「平和と公正をすべての人へ」とあるが、原発では労働者の被ばくが前提とされていて、事故が起きた場合には環境だけでなく人間にも甚大な被害をもたらし、10年以上経っても収束できないのが現実だ。すべての人が平和に暮らせる手段ではないことは明らかである。

自分たちがやりたいことに対しては多少のリスクもデメリットも厭わないのに、消極的な事柄についてはリスクとベネフィットを対照することもなく、デメリットを克服しようとも試みない。公平な観点から原子力発電こそがもっともクリーンエネルギーだという考えを今一度見直していただきたい。

「護憲+コラム」より
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