老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」 タイの奴隷漁民

2022-06-01 14:03:19 | 民主主義・人権
タイの違法漁船のドキュメンタリーです。私達にはあまり関係無さそうな…という気で観ていたら、最後に、プラスチックトレイにきれいに並べられた切り身にギョッ。私達のおなかにおさまるお魚でした。

「ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇」
https://unitedpeople.jp/ghost/scr

ミャンマー、カンボジア、ラオスなどの青年が、ブローカーの仕事紹介で全く思いもしない漁船に送り込まれたり、街で誘拐されて意識が回復したら部屋が揺れていた。知らないうちに船に積まれていた。人身売買、誘拐 そして海の上の強制労働。まさか、こんなことが!と驚きました。

「嫌なら寄港時に逃げればよいのに」と思ったら、漁をすると母船が来て魚を積み込み、食料などを積み込んで、また海の中。何年も陸を見ない。海の上でひたすら働かされるのだそうです。

1年、5年、12年…賃金さえ全く支払われず、眠いと覚せい剤、漁期は朝昼夜も働く。事故も多く手足を機械に挟んだり、首の切断、縄や網に絡まれて溺死も…死んだら海に流されて終わり。

陸が見えた時、必死で海に飛び込んで島に逃げ込み、ジャングルに隠れ住んで彷徨い続けた人も、そこで命を落とした人も。

LPNというタイの労働権利推進ネットワーク基金の女性創設者パティマ・タンプチャヤクルさん(2017年ノーベル平和賞にノミネートされた)の活動は、命の危険すら感じながら、そういう奴隷漁民を救い出す。

彼女が救い出した中には、15歳でさらわれ、20年余の漁船の暮らしという人も。でもまだ氷山の一角だとか。
https://times.seafoodlegacy.com/archives/7920

ようやく逃げて泳ぎ着いた他国の浜辺で、結婚し、家庭を持ったので、自分の国に帰り、父母に会いたくても、もう家族がいるから帰れないと話す人。

集落から離れて、ポツンポツンと住む彼らの家に、未だに漁船での奴隷労働への恐怖から逃れられない姿を見る思いがしました。

私達の食べているお魚の背景を知るために。
https://sustainableseafoodnow.com/archive/report/tsss2019/1409/

でも、このことをネットに書いたら、ヨーロッパのオリーブ農園やワイン農家でも、移民が奴隷のように働かされているという驚きの話が、ポルトガル在住の方から書き込まれました。スタインベックの『怒りの葡萄』移民版というところでしょうか。

省みれば日本でも「技能実習生」という名で呼び寄せた外国人たちに、応募した技能とは全く関係のない職場や職種で働かされたり、パスポートを取り上げられ、残業を強いられても残業代もなく、給与も部屋代だ食事代だと削られてろくに支払われ無いという話も聞きます。

もちろん、受け入れ側全員が酷いことをしているわけではないのですが、それでも受け入れ側の当たり外れがあるような制度設計や、監督状況で良いのかという問題は突き付けられているわけです。

日本の外国人、難民や在住外国人への問題はあまりにも多く、偏見や差別の根に繋がっていることを考えて行かなくてはならないと思いました。

「護憲*BBS」「 明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より

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