デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



明智憲三郎 著『本能寺の変431年目の真実』(文芸社文庫)読了。

個人的には「ユダの福音書」の時以来の衝撃に近かった。少なくとも日本人の大半が知っている本能寺の変にまつわる物語よりは、なぜ本能寺の変が起ったのか蓋然性に満ちた説を展開しているといっていいように思った。時代の権勢を誇った者、天下を取った者が歴史を書き残すことを前提にした上で、この本の内容について、歴史研究者からの反論をぜひ読みたいところだ。
明智憲三郎氏の唱えるいくつかの説に対し矛盾を指摘したり、再検証を促すことは可能であろうが、できればそういったことはこれまでの歴史学の権威にしていただきたいものである。同時に『明智軍記』や『明智光秀』についてもだ。でないと、なんだか吉川英治や司馬遼太郎の作品がひどく残念なものに劣化し、両作者がなんだかかわいそうに思えてしまう。小説は史実ではないとはいえ、通説をつくりあげてしまうことは可能なのだし、その通説が作家の力量の及ばない所で覆ってしまうかもしれない、というのは今となっては異議を申し立てられない作家に対してあまりにも酷なように思うのである。

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