音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■■はじめての「ソルフェージュ(楽譜を読む能力)」■■

2007-12-24 16:23:59 | ★旧・私のアナリーゼ講座
2007/6/7(木)

★6月3日、ピアノを習い始めた小学生とそのお母さま、

ご指導されています先生方を対象に、

「ソルフェージュ」の公開講座を開きました。

無味乾燥な、既成の教材を使用せずに、

シューマン作曲「子供のためのアルバム」、バッハ作曲「インヴェンション」、

バルトーク作曲「ミクロコスモス1、2巻」を教材として、

どのように、ソルフェージュ教育に生かすか、についてお話いたしました。


★現在、「鉛筆で書く奥の細道」が静かな流行となっていますが、

音楽も、楽譜を書き写して覚えるということが、重要です。

優秀な指導者につくことはもちろんですが、子供が平仮名、カタカナを

お母さんから習うように、上記のような名曲を五線紙に

書き写すことによって、楽譜の書き方を覚えることもできます。


★当日は、シューマンの「子供のためのアルバム」の

第4番コラールの最初の8小節を、曲名を言わずにピアノで弾き、

それを皆さんに書き取っていただきました。

そして、「大譜表」の意味からお話しました。

まずは、ト音記号やヘ音記号を正しく、きれいに書くことから始めます。

平仮名の一文字を、練習帳に何度も繰り返して書いて覚えるのと同じです。

そのト音記号とヘ音記号の付された五線を、括弧で繋ぐことにより、

右手と左手で同時に奏するという「大譜表」の意味を理解します。


★この4番コラールは、ソプラノ、アルト、テノール、バスの

4声体和声によって、教会で歌われる合唱を、ピアノで模しています。

まずは、ソプラノだけを書き取っていただきました。

それを、皆さんは一緒に歌い、私が4声体全部をピアノで弾きました。

単純なソプラノのメロディーを、

いかに美しい和音が支えているか、体験できます。

これを、ピアノのレッスンの中で、

5~10分ほどとって、教えていただきます。

翌週は、アルト、翌々週は、テノール、その次はバスと

毎回、レッスンに取り入れます。

ゆっくりした歩みですが、シューマンの音楽が、

しっかりと身に付き、記憶力のいい

幼いころですと、おそらくは、コラールすべてを覚えてしまい、

一生忘れないことでしょう。


★このコラールは32小節ありますから、さらに残りの小節も、

この方法でレッスンできます。

レッスンを受けるお子さまが複数の場合、ソプラノを歌う子、アルトを歌う子、

ピアノを弾く子、というふうに分担して演奏してください。

シューマンの無限の魅力を引き出すことができます。

シューマンは、「Musical Rules For Life and the Home」で、

「小さい頃から、和声の基礎を勉強しなさい」と言っております。

是非、上記の方法で、実践してみてください。

ピアノの先生ばかりでなく、お母さまと子供が家庭で楽しみながら、

コラールを歌ったり、書いたり、弾いたりすることもできます。

シューマンは、「紙の上で、音楽を理解できるようにならなければいけません」

とも言っております。

楽譜が自由に読みこなせると、ピアノで音を確かめなくても、

楽譜を見ただけで、その音楽を想像することができます。

ソルフェージュとは、そのような素晴らしい能力を

手に入れるための訓練なのです。

音楽を学ぶ上で、最も基礎的な勉強です。



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