音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■■ ソルフェージュについて=「ショパン」12月号 ■■

2007-12-24 15:41:10 | ★旧・私のアナリーゼ講座
■■ ソルフェージュについて=「ショパン」12月号 ■■
2006/11/17(金)

★11月20日発売の雑誌「ショパン」12月号に、「楽典、聴音、視唱、いまやっておくべきこと」

のタイトルで、音大受験直前特集の原稿を書きました。

受験生にとっては、あと数ヶ月で入試、是非頑張ってほしいものです。


★「ソルフェージュ」とは、書き取り聴音や、新曲の楽譜を見てすぐに歌ったり、リズムをとる、

ことなどを総称します。

少々分かりにくい分野で、受験生にとっても、専門の楽器以外の“おまけ”のような存在と、軽視され勝ちです。

しかし、音楽家にとって一番大事な、土台のような訓練です。

ピュイグ・ロジェ先生もソルフェージュの先生としての一面をお持ちでした。

きょうは、その中で、音部記号についてお話します。


★皆さんがご存知のト音記号、ヘ音記号のほかに、5種類のハ音記号があります。

一点ハ音を「5線の一番下の線」に指定するのを、ソプラノ記号、「二番目の線」

に指定するのを、メゾソプラノ記号。

「三番目」が、アルト記号、「四番目」がメゾソプラノ記号、「五番目」がバス記号、といいます。

ハ音を指定するので「ハ音記号」といい、一番分かりやすい例では、ヴィオラの記譜は、アルト記号です。

弦楽四重奏や、オーケストラのスコアを見ていただければ、すぐに分かると思います。

この5つの記号を、ト音記号と同じように自由に読み、使いこなせると、オーケストラスコアを楽に

読めるようになります。

また、クラリネットのような移調楽器の実音が何であるか、簡単に確かめることができます。

ピアノ科の受験生にとっても、将来、ピアノ協奏曲や、ピアノ五重奏、クラリネットソナタのような

室内楽曲を演奏する際、最も必要な技術です。


★私は、ハ音記号を読むことが出来るようになる訓練として、バッハの「コラール」を初見で弾くことを、

強くお薦めします。

ソプラノ記号、アルト記号、テノール記号、バス記号(ヘ音記号)で記譜されている楽譜を用意します。

これを、ゆっくりとピアノで弾き、歌いますと、ハ音記号が読めるようになるばかりか、

バッハの旋律の力強い美しさが、自然に体得できるようになります。

コラールは、もともと、プロテスタント教会でプロの音楽家ではない一般の信者が、

神をたたえて合唱する曲で、単純な中に、音楽の一番根源的なものを含んでいます。


★私は学生時代、リーポケットスコア(Lea Pocket Score、いまは絶版)の

≪J.S.BACH 185 FOUR-PART CHORALES≫を、一夏毎日、弾きましたら、

あ~ら不思議!

ハ音記号は読めるようになり、さらに、フーガのメロディーもきれいに作曲できるようになり、

一挙両得でした。

クリスマスも近づきました。

皆さまも、バッハのコラールを、ゆっくりで結構ですから、是非、ピアノで奏でたり、歌ったりしてください。

聴くだけでは不十分です。


★繰り返しますが、ご自分で音にすることが何より、大切なのです。

それにより、「バッハ」が自分の体に沁み込み、西洋音楽の真髄、音楽の喜びに触れることができるのです。



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