2006/10/25(水)
★シューマン「子供の情景」の最後の曲は、第13番「詩人のお話」です。
冒頭の6小節は、コラールのように4声体で書かれています。
ソプラノ、アルト、テノール、バスの4声です。
ところが、6小節目の一番最後のテノールの音が、
ぽっかりと欠けています。
そこは、イ短調の「導音ソ♯」が、「主音のラ」へと進行する所です。
肝心の一番大事な「主音ラ」が、穴が開いたように欠けているのです。
その「ラ」がないために、耳は、「ラ」を期待していたので、
心の中に、あたかも「ラ」を聴いたかのような強い印象が、残ります。
生の音を聴く以上に、強い効果が生まれます。
この効果は、シューマンの“大発明”であると、思います。
さすがのクララも、このシューマンの意図を理解したのでしょう。
その「ラ」は、クララ版でも、原典どおり、欠けたままにしてあります。
★ところが、大作曲家フォーレは、“ラ”を作曲してしまいました。
6小節目と同じ音型が、18小節目にも再現されますが、
原典にはない「ラ」を、ここでも、フォーレは、書き込んでいます。
私の大好きな作曲家フォーレ!!!
本当にフォーレが、「ラ」を望んで書き入れたのか、
出版社の暴走なのか、それ以外の事情なのか・・・・・・
よく分りません。
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