僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

天王寺七坂を散策 ~口縄坂・愛染坂~

2018年11月08日 | ウォーク・自転車

    
今回は松屋町筋を南下して口縄坂を東へ上り、そこから
細い道をクネクネ曲がりながら愛染坂を下るまでの話です。

 

松屋町筋を南へ歩くこと約10分。やがてそれらしきものが見えてきました。写真左のお寺の壁のそばに建っている碑です。

 

ここを左に折れると、その道が口縄坂です。

 


案内板には「坂の下から眺めると、道の起伏がくちなわ(蛇)に似ているところからこの名が付けられたという」とありました。蛇のことを「口縄」とも言うのですね。広辞苑を引いてみると確かに「くちなわ」という項目があり、「蛇の異名」と書かれていました。蛇の姿が朽ちた縄に似ているところから「くちなわ」になった、とのこと。いろいろ勉強になりますわ(笑)。


 

しかし、蛇に似ているんだったら、坂道もクネクネしているのかな、と思いますが、わりに真っすぐです。有栖川さんの小説「幻坂」では、登場人物が「石段が蛇腹みたいに見えるからやろ?」と言う場面が出てきます。そういうことなんでしょうかね~ 

 

  
口縄坂を上がると、ごく普通の街並みですが


坂を上がったところに御影石の碑が建っていました。キラキラと黒光りする表面に、織田作之助の「木の都」という小説の一節が刻まれていました。

  

「口縄坂は寒々と木が枯れて、白い風が走っていた」
という文章で始まっています。これも後から調べて知ったことですが、「夫婦善哉」などで知られ、戦前・戦中の人気作家だった織田作之助は、この界隈で生まれ育ったということです。でも、33歳という若さで他界しています。

ここから次の愛染坂へ行く道が、ちょっとややこしいのです。2年前にも同じコースを歩いたのですが、その時は道を間違って引き返したりしました。今回も少し戸惑いましたが、地図を見たりアテにならない記憶を呼び起こしたりして、狭い道を右へ曲がり、次の角を左へ曲がり、さらに次の辻を右に曲がったりしながら、どうにか愛染坂にたどり着いたのは自分として上出来でした。僕はもともと方向音痴ですので。

4つ目の坂である愛染坂は、その名のとおり、坂の下り口にある愛染堂勝鬘院(あいぜんどう しょうまんいん)から名付けられました。「愛染さん」で有名ですね。


 
右が「愛染さん」こと愛染堂勝鬘院。正面に見える鳥居が大江神社

ところで、「愛染かつら」という、昭和10年代に大流行した映画をご存知でしょうか? この「愛染かつら」という題名は、この愛染堂勝鬘院の中にかつらの木があって、それに由来した題名なのだそうです。

そして映画の主題歌も大ヒットしました。「旅の夜風」という題名ですが、「花も~嵐も~踏み越えて~♪」という歌をご存知の方も多いと思います。この歌を歌っているのは男女のデュエットなのですが、男性の方が霧島昇という当時の人気歌手でした。うちの母が熱烈な霧島昇ファンで、自分の子供にも同じ「昇」という名前をつけたほどです。その子供というのがまぁ、僕なんですけどね。これはホントの話です。ハイ。

話が脱線してしまいましたが、その愛染さんの門前を通り過ぎたところに、大江神社があります。昔、ここへ来て芭蕉の句碑を見て感激したことがありますが、この日、神社の鳥居をくぐってその碑を見ると、老朽化してきたのか字句がほとんど読めませんでした。碑には、

あかあかと 日はつれなくも 秋の風

と刻まれているはずなんですけどねぇ。
「字が薄すぎて読めな~い!」
と、ハズキルーペCMの渡辺謙さんみたいに大声で叫びたいですわ。

この辺りは高台なので、西に沈んでいく夕陽がとても美しいそうです。きっと芭蕉も「あかあかと」した夕陽に感じ入って句を詠んだのでしょう。地名も、このへんは「夕陽ヶ丘」ですしね~


 
右が大江神社で、左が愛染坂です

さてその大江神社から、愛染坂を下ります。

 
きれいな石畳が続きます。

小説「幻坂」では、たまたま愛染坂ですれ違った一組の男女の、その後の数奇な運命が描かれています。そのシーンを思い浮かべながら、「誰かとすれ違わんかなぁ」とふと思ったりしたのですが、残念ながら一人の人ともすれ違わないまま、下まで来てしまいました。

何を考えてるんでしょうね、ボクも。


 
ゴミの袋を見て、あぁここも生活の場なんだと、改めて思った次第です。


ではでは、これで4つの坂を巡りました。あと3つですが、特にこの次の清水坂は、清水寺もあり、おまけに清水の舞台もあり、大好きなスポットです。

それにしても、天王寺七坂の散策をブログに書くとなると、間違ったことは書けないので、いろいろと確認したり、調べたり、有栖川さんの「幻坂」をまた読み返したりして、時間を費やしますが、いい勉強になります。

ブログに書かないのなら「はい、行きました。はい、おしまい」ということになりますが、その点、書くとなると頭を使いますね~。やはり、読んでくださる皆さんに、少しでも自分の経験や感覚を正確にお伝えしたいと念じていますので、ありったけの知恵を絞ってやっております。

ありったけの知恵を絞って、これかいな? と言われそうですけど(ぐすん)。

 

 

 

 


 

コメント (4)
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