頼むからそれだけは訊かないでくれ、という質問がある。
それは…
「退職して家で毎日、何をしてはりますねん?」
…と、訊かれることだ。
これが僕にとっては一番困ってしまう質問なのだ。
それなのに、なぜかそういうことをよく訊かれる。
毎日何をしてるって…?
「息してるねん」
半世紀前の中学生のギャグじゃないんだから、
そんなアホな返事もできませんしねぇ。
といって、これ一筋に打ち込んでいる、
…と胸を張って言えるような趣味もない。
日常の細かな生活内容をいちいち説明もできないし。
要するに、そういうことは一口で言えないのである。
僕の友人に「ゴルフ、ゴルフで忙しいねん」
な~んてほざく奴がいるけれど、
僕はそんな身分でもないしね~
しかたなく…
案外と忙しいもんですねん。
いろいろとやってますねん。
孫のオモリをしてますねん。
毎日ブラブラしてますねん。
な~んにもしてまへんねん。
相手を見ながら、そんな答えを使い分け、
早くその話題が途切れることを待つ僕なのである。
仕事を持たないということは、その意味ではやや不便である。
でも、不便だけれど、じゃぁ仕事に戻りたいかと言うと、
それはもう、ゼッタイにイヤです(笑)。
やはり、仕事に拘束されない今の自由の身が一番いい。
だから、毎日何をしてはりますねん? …と聞かれたら、
「自由を楽しんでいます」…と言いたいところだけれど、
こういう抽象的な答えはその場をシラけさせるだけなので、
むにゃむにゃむにゃ…と適当にごまかすしかないのである。
やれやれ…
いい答えがあれば教えてほしいです。