僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

秘伝 ! 百人一首暗記術

2014年01月30日 | 雑記

1月も終わろうかという時にこんな話題は古いけれど、毎年のお正月のニュースで必ず見かけるのが滋賀県の近江神宮で行われる「百人一首・かるた名人位・クイーン位決定戦」ですね。今年、楠木早紀さんという大分の女性の方が初挑戦以来負け知らずの10年連続クイーンに輝いたことが、まだ記憶に新しいところです。10年連続はすごいなぁ。どんなトレーニングを積んでおられるのだろ~。


しかし、あのルールは意外にむずかしいですね。いろいろと、細かいルールが定められているようです。

http://homepage3.nifty.com/i_tog/karuta.htm


僕は和歌や俳句というものには疎いのですが、なぜか百人一首と、芭蕉が「奥の細道」で詠んだ俳句だけは丸暗記しています。いや、別にこれといった意味はなく、ま、単にひまつぶしだったんですけどね。


ここでは百人一首のことを書きますが、長年仕事で、市役所まで20分余り自転車で通っていました。毎日ボンヤリ自転車を漕ぎながら、この時間を有効に使えないものかと思っていました。そんな時「(ナントカ)の記憶術」という本を読んで興味をそそられました。そこでその「記憶術」を使って、試しに百人一首を全部覚えよう…と思ったわけです。本当に覚えられるのか?という好奇心だけでした。その記憶術というのが、自転車通勤と関わっていたのです。


まず通勤途上で目につく100の風景を決めます。具体的に言うと、わが家の前に飲み物の自動販売機があるので、それが1。広報等が貼られている掲示板が2、小さな川にかかる橋が3、大きな邸宅の裏庭が4、つぶれかけた小さなスーパーが5、毎朝僕を見て必ず吠える犬が6、以下、お米屋、信号、公園、消防団の倉庫、小さな食堂、古い時計塔、公民館、お寺、神社、歯医者、てんぷら屋、食器屋、質屋、曲がり角の看板、自動車教習所、お墓、小児科医、理髪店、文化住宅、ヤマザキパン、郵便局、池、御陵、バイク屋、ツタヤ、田んぼ、お好み焼き屋などなど…約4キロ半の道のりに、さまざまなものが目に入ります。これを自宅から順番に100ヵ所決めていきます。自転車で走りながら「ここを30番目にしよう」「これが31番目」などと考えて、終点の市役所が100番目になるよう調整をし、「のん版・通勤百景」を作って、これを完全に覚えることから始まりました。ある友達から「その風景の順番を覚えるのが大変じゃないの?」と言われましたが、それは思ったより簡単に覚えられました。毎朝、それを見て「ひとつ」「ふたつ」と数えていけば、すぐに覚えられます。やがてどこにいても、目を閉じて100の風景を思い浮かべることができるようになりました。


それで、息子が高校で使っていた「文英堂・新討小倉百人一首」という本を拝借し、歌を暗記していきます。「1」の自動販売機は「秋の田のかりほの庵の苫をあらみ…」で田んぼを連想し、「2」の広報が貼られている掲示板は「春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ(ちょう)天の香具山」なので、掲示板に天の香具山の写真を貼ってあるところを想像する…というふうな、あまり人に言えたものではありませんが、風景と歌とを突拍子もない想像やこじつけで結びつけるのです。実は僕はこういう何の実益にもならないことをやるのは、きわめて得意なのです(笑)。


たとえば…。つぶれかけの小さなスーパー(5番目の光景)の中を、鹿が歩いている。床にはもみじが散らばっている…と想像する。それで「奥山にもみぢ踏みわけ鳴く鹿の 声きくときぞ秋は悲しき」と覚える。自動車学校(33番目)が見えると、ピカっと光るのを想像し、「ひさかたのぉ」という言葉をその風景に焼き付ける。で「ひさかたの光のどけき春の日に しず心なく花の散るらむ」を覚えてしまう…というような、実にアホくさいというか、バカみたいな覚え方ですが、それがその頃、毎朝の自転車通勤時の楽しみとなり、またそのこじつけること自体も面白かったですね。


それで百の歌を全部を覚え、15番目は公民館…「君がため春の野に出でて若菜つむ…」、54番目は喫茶店…「忘れじの行く末まではかたければ…」、98番目は市役所近くの居酒屋…「風そよぐならの小川の夕暮れは…」というふうに、毎日その光景を見ながら自分流の連想術で覚えた歌を、頭の中でブツブツつぶやいていると、何番目の歌は何…と反射的に口から出てくるようになりました。ジョギングしているときも、頭の中はヒマなので百人一首を暗唱しながらトコトコ大和川堤防を走ったりしたものでした。


昔はそんなことをしていたので、毎年のお正月の百人一首のニュースを見るたびに自転車通勤していた頃のことを懐かしく思い出すのです。で、ついでに言いますと、結局そういう知識は、今の生活には何の役にも立っていませんけどね。 


まあ「人生は壮大なヒマつぶしです」と、上野千鶴子さんも書いておられますが、僕もこれまで、ずいぶんヒマつぶしをしてきたものだなぁ…と我ながら感心している次第です(笑)。

 

 

  
  長男か次男?(忘れた)が
  高校で使っていた教本です。
  これで覚えていきましたが、 
  もうボロボロになってます

 


 

 

コメント
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