前回の続きです。
…って、どれが前回なのかわかりませんけど(笑)
若き日の石原裕次郎の酒の飲みっぷりがどれほどスゴかったか…
兄の石原慎太郎が「老いてこそ人生」という本で書いている。
裕次郎は日本酒を一人で4升飲んでしまう人だったそうです。
4升ですよ。1升瓶が4本! それを一度に飲むという…(絶句)
ロケ地の宿では、監督やスタッフ、共演者らに酒の一気飲みを強制し、
皆がゲェゲェ吐いているというのに、それでも「飲め!」と迫る。
むろん自分も人に強制しただけの大量の酒を飲んでいるのだ。
たまたま兄慎太郎宅の近くだったので、電話がかかってきた。
「弟さんが泥酔して、もう我々の手に負えないです」と。
現地に駆けつけた慎太郎が見た光景は…
床の間にあった生け花の水盤の花と剣山を取って捨て、
それになみなみと酒を注いでスタッフに「飲め」と言っている。
裕次郎自身は、それを一息に飲んで縁側へ行ってドバ~ッと吐き、
お茶でうがいして、新しい酒を注ぎ、また一息で飲み干す。
その後、またそこに酒を入れてスタッフに強制する…という具合。
それを見て慎太郎が「馬鹿者っ、もうさっさと寝ろ」と一喝すると、
裕次郎はうなずいて手枕でイビキをかいて寝てしまったそうである。
焼酎の「純」というのをメーカーがケースで差し入れしたところ、
それを一度に12本、裕次郎ひとりであけた話も書かれていた。
「純」というのは一時流行して、僕も好きだったけれど、
僕は1本あけるのに4~5日はかかった。
それでも家族に「飲みすぎ」と言われそうだった。
それが一度に12本あけるというのだから、いやまぁ、何とも(ア然)。
日頃からやや飲み過ぎかな~と反省している僕だけれど、
こんな話を読んだりすると僕なんかまだ可愛いもんや、と思うのだ。
なんでも上には上があるもので、しかも、それも雲の上の人である。
ところで、この石原慎太郎の「老いてこそ人生」を読む前に、
中島らもの「心が雨漏りする日には」という本を読んだ。
11年前に刊行された告白的エッセイ集である。
この人も、アルコールに関して「雲の上の人」である。
おまけにお酒だけでなく、躁うつ病の「薬」の中毒でもあった。
さらに、晩年近く、大麻取締法違反で逮捕もされている。
酒に溺れ、薬に依存し、廃人一歩手前まで行った、
…と、中島らもはこのエッセイの中で書いている。
数えきれないほどの安定剤や抗うつ剤を服用していたけれど、
それらの薬をウイスキーで流し込む、という具合だった。
お酒を飲むと記憶がなくなる…というのは僕にもよくあることだが、
中島らもは酔ったあげく東京のどこかのホテルの地下のバーへ行き、
「少しだけ飲んで」自分の泊まっているホテルへ帰ったそうである。
それが、翌朝目覚めてポケットに入っていたレシートを見てみると、
ウイスキーを20杯飲んでいた…ということであった。
この話に、僕はギャ~っと叫びたい気持ちだった。
まあ、僕はそんな大酒豪ではないのでスケールは小さいですが、
レシートといえば、最近こんなことがあったのです。
先月のウダウダ会で昼間から酒を飲み、夕方くらいから記憶が消えた。
…が、午後9時頃、知っている女性が最近始めたばかりの近所の
居酒屋へ一人で寄って、カウンターでビールを飲みながら、
その女性と談笑したことだけはよく覚えているのである。
ところが翌朝、ポケットに入っていたレシートを見てびっくりした。
カラオケボックスのレシートである。「2名様」とある。
レシートの時間を見ると、その居酒屋へ行く前だった。
しかも2名様とは…
いったいその時刻に、誰とカラオケボックスへ行ったのか?
思い出そうとしても、さっぱりわからないのだ。
それ以来、記憶がなくなるほど飲むことはやめています。ハイ。
中島らもの「心が雨漏りする日には」は彼の50歳の時に書かれた。
本の中で、彼の酒に関する「武勇伝」は、数多く語られているが、
酔って階段を踏み外して転んで大怪我をしたことも書かれていた。
「よく命があったものだ」という経験を、何度もしていたようだ。
そして、この本を書いた2年後…
本当に酒に酔って階段から落ちて、脳挫傷で死んでしまった。
2004年のことである。この時、中島らもは52歳だった。
石原裕次郎も52歳で亡くなった。
2人とも、お酒の飲み過ぎが命取りとなった。
この人たちよりすでに10歳以上も長生きしている僕は、
それだけでもラッキーだと思わなければならない。
(まあ、長生きすりゃいいというものでもありませんが)
僕も飲んだあと、2階の店の階段から落ちたことがある。
たぶん40代の頃だったと思うが、転げて地面に落ちる瞬間、
柔道の受身のようにふわ~っと落ちて、うま~く転んだ…
と、見ていた友人が、あきれたように言ったことを思い出す。
まだ若かったんだなぁ、あの頃は…としみじみ思うわけで…。
今だったら、とんでもないことになっていたに違いない。
ともあれ最近読んだこの2冊の本で、
お酒の怖さに改めて身震いしました。
みなさん、お酒はほどほどにしておきましょう。
(誰に言っているつもりなんでしょうね…?)