僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

駆け込み退職

2013年01月25日 | 議会&役所

つい最近、スポーツクラブ・コスパのサウナで、ジョギング仲間だったI君と顔を合わせた。彼はこの街の市役所に勤めており、今は体育館に勤務。普段は夜にトレーニングに来ているが、午後から勤務がある日は午前中に来るので、時々こうしてバッタリ会うことがある。彼はジム、僕はプールが中心ということで、更衣室などで会っても挨拶を交わす程度ですれ違っていたが、この日はたまたまサウナで隣同士に座ったので、久しぶりに話す機会ができた。

I君は、「この3月で…僕も定年退職になります」と、全身からタラタラ汗を流しながら僕に告げた。「へぇ~。そうですか。それはそれは…お疲れさまでした」と僕が言うと、「しかし、市役所もどんどん厳しくなってきましたね」とI君は声を絞り出すようにして、退職金の話をしはじめた。

それによると、来年度に退職する職員は、退職金が今より150万円以上減額されるそうで、その次の年度の退職者はさらに150万円以上減額され、合計400万近く減らされる勘定になる…というのである。

「僕はこの3月に退職するので影響は受けませんけど、来年以降に退職する者はそんなふうになります。これからは職員もいよいよ大変ですわ」ということだった。そして汗びっしょになった体を起こし、「では、お先に…」と会釈してサウナから出て行った。

僕は市役所を退職してもう4年目だから、そういう話にはとんとウトくなっていて、来年度とその次の年度の退職者に、段階的に400万近い退職金の減額が行われるなんてことは、むろん知らなかった。そんなときに今回、「駆け込み退職」のことが、新聞、テレビ等で大きく報じられたのである。

これは、国のほうで国家公務員の退職金を今年1月から段階的に引き下げる法律が昨年11月に改正されたことに伴い、地方自治体も国からの要請を受けて、あちらこちらで減額の条例が施行されることになったのだが、その地方自治体で「駆け込み退職(早期退職)」が急増しているということであった。

つまり、この3月末で退職すると退職金が約150万円減額されるわけだから、その条例が施行される直前に退職をする…という現象が全国各地で起きているようなのである。とくに、早期退職する警察官や教員が、何となく非難されているかの印象を受けるような報道ぶりだった。

3月末に退職する職員は、退職金減額の条例が3月から施行される自治体では2月末に辞め、2月から施行される自治体では1月末に辞め…という具合である。退職までの残り1、2ヵ月を働くことによって、もらう給料の倍ほどの退職金が減る…というのは、いくら「公僕」の立場にあると言っても、現実問題としてはきつい話であることに違いない。

ある新聞には、「自分の懐より、公務員として公共に奉仕する精神を最後まで全うしてもらいたい」と某大学院教授のカッコイイ談話が載っていたが、むろんおっしゃることに間違いはないのだけれど、それでもねぇ、ちょっと理想論に走り過ぎているのではないか?…な~んてことも思う。

警察官や教員をはじめ公務員も人の子である。家族もあり、退職後の生活設計もあるだろう。「教育や治安に影響が出ないか」と文科省や警察庁がなどが調査を始めた言われているけれど、たとえ世間からとやかく責められたにしても、やはり自分と家族の生活が大切であることに変わりはない。

まあ、長年市役所に勤めていた僕の見たところ、公務員には資産家や地主というのがわりに多く、「こいつ、別に仕事せんかって食うていけるやないか」という人間が周囲にチラホラといた。そういう余裕のある人たちは早期退職をしないかも知れない。でも、ほとんどの職員はそんな楽な生活をしていない。僕には、早期退職する職員の気持ちが、よくわかる。

それより、なぜこれらの自治体が、こういう早期退職者が出るに決まっているような時期に、これを実施したのか。なぜ4月からにしなかったのか、と疑問に思うのだ。そうすれば、冒頭のI君の話ではないが、とりあえず今年3月に退職する職員には影響は出ない。次年度からの減額だと、それなりに職員も受け入れる覚悟ができるだろう。しかしこの3月とか2月あるいは1月に実施されると、退職を目前にした人たちは、いきなりそんなことを突きつけられたら、多額の退職金をみすみす削られる痛みに耐えられず、直前に早期退職に走ることになっても不思議ではないだろう。たしかに「駆け込み」は「駆け込み」だけれど、駆け込まざるを得ない理由というものがあるのだ。

全国知事会の会長でもある京都府知事は「4月実施にすれば1年遅れることになる。駆け込むために職務を途中で引き揚げていくのは残念としかいいようがない」と述べたそうだが、知事さんなんてびっくりするほど多額のお給料や退職金をもらっていますしね。下々のことなど、知る由もなし…ではないか。

ちなみに大阪府はかなり以前から退職手当を見直しているので、この減額条例は4月1日からの実施となっている。したがって来年3月末に退職する職員からそれが適用されるので、I君の場合と同様、この3月末に退職する職員は減額されない。だから早期退職者はいない。これが普通だと思うのだが…。

警察官も、教諭も、その他の公務員も、み~んな生活がかかっているのである。公共への奉仕精神はきわめて大事なことであるが、それとこれとはまた話が別じゃないの?…ということを言いたいのだけれど、「のんさん、あんたも公務員やったんで、身びいきしているのと違う?」な~んて言われそうな気もしながら、あえて今日はこの話題を取り上げてみました。

 

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする