昨日の夕方の5時前にテレビをつけるまで、何も知らなかった。
テレビの画面は異様な光景を映し出していた。
何気なく見ただけでは、それが何の映像か、わからなかった。
ニュースキャスターの話に耳を傾けると、原発がどうの…と言っている。
放射性物質が漏れた、というニュースなのか…?
でも、それと、いま映し出されているこの映像と、どう関係があるのか。
僕はテレビのボリュームを上げ、ニュースに集中した。
映像は、泥のようなものが広い範囲でひたひたと地面を這い進んでいる。
何だ、これは…?
下にテロップが出た。 「仙台空港」 とある。 えっ、仙台空港…?
キャスターが、「大きな津波です」 と言った。
その映像は、日本では見たことのないような光景を映し出していた。
2時46分ごろに大地震があり、津波が仙台空港に押し寄せている映像だという。
震源地は宮城県沖で、マグニチュード8・8は日本観測史上最大とのことだ。
「最大? 史上最大?」 にわかには信じられない話である。
その津波が仙台空港を呑み込んでいく映像を見ているうちに、
地震そのものの被害はどうなっているのかと思い、チャンネルを変えた。
それで、宮城県のほか岩手県や福島県などで大きな被害が出ていることを知った。
さらに、茨城、千葉、東京、横浜…と、地震は驚くべき広い範囲にわたっていた。
この地震のエネルギーは、阪神大震災の180倍に相当するというのにも驚愕した。
津波の脅威は、海外ニュースでは時々見るが、日本で見るのは初めてである。
僕がテレビを見始めた昨日の夕方は、画面右上に 「死者17名」 と出ていた。
その数字が、見る見るうちに増えていった。
行方不明者の数も出ていたが、行方不明かどうかもわからない人たちも多いはずだ。
仙台の若林区で、200人から300人の遺体が確認されたようだ、とも発表された。
時間がたつにつれて、とてつもなく大きな被害が明らかになっていく勢いだった。
報道は、仙台を中心に行われていた。
仙台駅のプラットホームが、半分潰れていた。
僕は、仙台市内に住んでおられるじゃいさんが心配になり、メールした。
横浜在住で、ご実家が宮城県にあるちひろさんにも、メールをした。
東京に住む姪にも、同じようにメールした。
いずれも、返事をもらえなかった。 ますます心配になってきた。
ニュースで、被災地では携帯電話はほとんど通じなくなっている、と伝えていた。
メールは、自粛すべきだったのかも知れない。
昨夜は少し眠っただけで、ほとんどテレビの前に釘付けになっていた。
先ほどパソコンを開けてみたら、じゃいさんから
「無事です」 と、待ちかねていた連絡のコメントが入っていた。
相次ぐ余震に生きた心地もなく、今も不安の時を過ごしておられるのだろう。
そう思うと、胸が痛む。 でも、とにかく無事でなによりだった。
きょうはブログを書く気分ではなかったが、
じゃいさんから無事のコメントをもらったのを読み、書くことにした。
被害の全容は、まだまだわからない。
何も手につかず、ただ、テレビから流れるニュースを見守るばかりである。