ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシのコーヒー自動販売機 1

2013-02-02 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 日本ではいたるところに設置されている自動販売機。しかしベラルーシではまだとても少ないです。日本人が慣れ親しんでいる缶入りの飲料が出てくる自動販売機はまだありません。(私が知っている限り)
 そんな中でベラルーシで最も多いのがコーヒーの自動販売機です。と言っても缶コーヒーが出てくるタイプではなく、紙コップに入って出てくるタイプです。
 さて、このベラルーシの自動販売機で、貴重な経験ができましたので、ここでお知らせします。

 まずベラルーシの自動販売機の注意点ですが、何と言っても「お釣りが出ない」ことに気をつけてください。商品の金額より多いお金を入れても、お釣りは出ません。
 さらに「(今のところ)ベラルーシには紙幣しかなく、硬貨はない」ことも注意点の一つでしょうか。
 また「使用できる紙幣が限られているので注意」してください。使える紙幣についてはロシア語と数字で自販機に表示してあります。
 そして「ベラルーシに設置されている自販機はベラルーシ製ではない」のも問題です。
 そのため自販機は外国から輸入されているため、表示がその外国の言葉のままになっていることがあります。
 またその外国では硬貨が使用されていたり、お釣りが出るシステムがあるので、硬貨投入口があったりお釣りの受け取り口があいていたりしますが、ベラルーシではただの穴ぼこです。

 私の体験談というのは、1月23日水曜日夜8時ごろ、私の娘は新体操を習っているのですが、その練習が終わりました。
 運動をした後、のどが渇いたと言うと、冬場は練習場の1階にあるコーヒーの自動販売機で「ココア 5000ベラルーシルーブル」を買って飲ませるようにしています。(そうです、ココアにはカリウムが含まれています。)
 私自身はこの自動販売機でコーヒーを買って飲んだことはありません。コーヒーの値段は高い物は7000ルーブル、安いものは4000ルーブルです。どうせ紙コップにインスタントコーヒーや砂糖がさらさらと投入され、そこへお湯がどぼっと入るだけのコーヒーですから、飲まないことにしています。
 でもココアなら家でもお湯で溶かして飲んでいるのだから、いいだろうということで、自販機のココアを子どもに買っているわけです。

 問題なのはお釣りが出ないことなので、きっちり5000ルーブルを紙幣の投入口に入れました。ちなみに自販機が故障などしている場合は、投入口のランプが赤になり、お金が入れられないようになっています。
 そのときは青いランプがついていて、お金もすっと飲み込んでくれたのですが、「ココア」のボタンをいくら押しても何も出てこない・・・
 同じ5000ルーブルの商品や4000ルーブルの商品のボタンを押しても何も出てこない・・・。
 そしてベラルーシの自販機には取り消しボタンもない。お釣りが出てくるシステムにもなっていないから当然か・・・。
 自販機の前面には小さい液晶画面があり、そこにはこのように表示されていました。
「nestalo kofe」
 ・・・ロシア語でも英語でもないし、これは何語? とにかく意味が分かりません。

 こうしてお金は吸い込まれたものの何も出てこない自販機に困ってしまいましたが、自販機の前面にこのような表示がありました。
「商品の品質についてのお問い合わせは8-029-669-29-69までお電話ください。」

 ベラルーシに住んでいる人はすぐ分かるのですが、これは携帯電話の番号。
 不安に思いながらも電話してみると男性がもしもし、と出てきました。事情を説明すると
「そこに液晶画面があると思いますが、何と書いてありますか?」
「nestalo kofe・・・とありますが。」
「それはコーヒーが売り切れた、という意味です。」
 しかしこの自販機を叩いてもお金は出てこないのだから、どうしたらいいのか・・・というより、こういう場合ベラルーシではどのように対処するのかのほうに興味がわいてきました。
 男性が言うには
「5000ルーブルですが、かけてきたこの携帯電話の番号に電話料金として入金しておきます。返金は来週の水曜日(30日)になります。」
と男性は説明し、電話での会話はここで終わりました。

 つまりベラルーシではコーヒーの自動販売機の返金を苦情を言ってきた携帯電話の料金として返す、という方法なのです。

 ここで問題なのは、ベラルーシに住んでいてベラルーシの携帯電話の会社と契約して携帯電話を使っている人ならいいけれど、日本人の旅行者などそうでない場合はどうやってお金を返してもらえるのか? ということです。
 それに苦情も全部ロシア語で言わないと行けません。

 ココアをあきらめて帰宅した後、夫にこの話をすると
「どうして1週間も待たないといけないのか?」
と言い出しました。そこで夫が私の携帯電話からその男性のところへ電話をしました。
 男性は
「うちの会社では毎週水曜日に経理の者が自販機の売り上げを調べるので、水曜日しか返金できない。」
と説明しました。しかし夫は納得せず
「どうして次の日に調べることはできないのか。金額の問題じゃない。」
と尋ねると男性は
「水曜日までに返金してほしい場合はうちの会社の事務所に来て、申請書類を作成し、サインをして経理に提出してください。」
と言いました。

 5000ベラルーシルーブルと言うのは、日本円にすると50円ぐらいなのです。しかし金額はともかくお金はお金、という考えもありますし、50円ぐらい自販機にとられたからって、嘆くほどのこともない、という考えもあります。
 しかし50円のためにどこにあるのか分からない会社の事務所を探して尋ねるだけで、時間の浪費、そして交通費のほうが50円以上になってしまいます。
 こんなことを言われて、返金の申請書類を作りに行く人は、まあいないでしょう。つまり返金なんかしたくない、と言う心が表れているわけですよ。
 さらに男性は「もう夜遅くて眠いのに・・・。」とぶつぶつ言い始めました。
 夫が
「そんなのおかしいでしょう。消費者の権利を守る協会に連絡してもいいんですか。」
と言い終わらないうちに男性は一方的に電話を切りました・・・。

 消費者の権利を守る協会というのはベラルーシにもできた消費者からの苦情を受け付けるセンターのことです。
 このように電話での会話が終わってしまったので、とりあえず30日に本当に電話料金という形で返金されるのかどうか、ようすを見よう、ということになりました。

 ここでまた問題です。
 例えば日本人が私と同じような目に合って、何とか苦情が言えたとしても、経理が電話料金として返金してくれるまでの間に帰国(ベラルーシを出国)する場合は、やはりお金は返ってこないということです。
 ベラルーシルーブルを他の外貨に両替して、なんて親切なことはしてくれないでしょう。

 次の新体操の練習日に例の自販機のところへ行ってみると、コーヒーが追加されたようで、ちゃんと販売をしていました。
 よく観察すると、自販機の側面にシールが貼ってありました。
 それによるとベラルーシの自販機は、全てベラルーシ共和国税務省の中にある自動販売機システム課によって、一台一台登録されており、この自販機の登録番号がシールに記入されていました。
 さらに何か問題がある場合はベラルーシ共和国税務省内自動販売機システム課に連絡できるようになっており、そこの電話番号とメールアドレスも表示されていました。(ちなみに自販機を設置した会社の名称は自販機のどこにも表示されていませんでした。)
 私はそれらの情報を全てメモし、30日を待ちました。
 そして30日、電話料金の残金をチェックしましたが、入金はされていませんでした。
 つまりお金を約束どおり返さなかったということです。

 いくらなんでも経理の人が仕事を終えているであろう夜7時に私はまた例の男性に電話をしましたが、誰も出ませんでした。
 仕方ないので、30日の夜ベラルーシ共和国税務省内自動販売機システム課にメールを送りました。
 自動販売機システム課のHPをみると、文書でも電話でもメールでもFAXでも陳情書を受け付けるが、その場合企業の名称や営業者氏名を明記すること、とありました。
 しかし自販機に設置した企業の名称はどこにも書いていないし、電話に出た男性は名乗らなかったので、陳情書は書けません。
 金額も大したことないので、返金を要求する陳情書を書きたいというつもりもなく、「こういうことがありましたけど、いいですか?」という感じでメールを送ったのです。

 送った後も、ベラルーシの役人も忙しいから、たった5000ルーブルのコーヒー代が返ってこなかった、というような話、ちゃんと対応してくれないだろうと、期待していませんでした。
 ところが! 翌日31日には急展開があったのです。
 
 現場を見たわけではないので、私の予想もまじっていますが・・・31日朝、私のメールを読んだベラルーシ共和国税務省内自動販売機システム課の担当者は、電話番号と自販機の登録番号から、この自販機を設置した企業を特定。
 それはユル・アン・グループという個人経営の企業でした。私と夫がかけた電話番号(自販機前面に記載されていた「お客様お問い合わせ番号」)の持ち主はこの企業の社長だったのです!
 社長の名前とミドルネームの頭文字をくっつけてこの企業名にしていました。

 ベラルーシでは自販機のお客様お問い合わせ電話番号が、社長の携帯電話の番号なんですね!

 自動販売機システム課担当者は社長に電話をして、これこれのメールがきていますが、どういうことですか? と質問したことでしょう。
 結果を先に言うと、「社長は私と主人が苦情電話をかけた翌日の1月24日、自ら銀行の振込み手続きをして、私の携帯電話番号に5000ルーブルを入金(返金)していた」のです。
 しかし、このことを私には全く連絡していなかったのです。
 馬鹿ですねー。
 24日に私に電話をして、返金しましたよ、と連絡さえしておけば、私も30日に税務省にメールなんか送らないし、31日に税務署から社長に電話がかかってくることもなかったでしょう。

 しかし問題はお金のことではないのです。
 次に起こったことは、(これも私の予想だけど)税務省に苦情メールが来た、ということを知った社長がそれに対して自ら返事をしたいと言い出し、担当者が私のメールを(送り主の私の許可なく)無断で社長に転送したことです。
 
 31日私がメールチェックをすると、自動販売機システム課からではなく、社長から返信がきていました。
 それについては次の投稿をご覧ください。

(画像は問題の自販機です。この自販機には「GPE VENDORS」と企業名らしきロゴが入っていますが、これは設置した企業名ではなく、自販機を製造した企業の名称です。)

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