ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2023年5月22日。ウクライナ侵攻から453日目

2023-05-22 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2023年5月22日。
 ベラルーシはようやく晴れの日が続いています。

 健康不安説が流れているベラルーシ大統領ですが、明後日、ベラルーシ大統領がモスクワへ行き、ロシア大統領と対面会談することが公表されました。体調がよくなったことの表れだと思います。
 体調が悪くてもロシア大統領に呼び出されたから絶対行かないといけないのではないかと思う人もいるでしょうが、その場合、ニュース映像のようすで、顔色や声、歩き方などが見て取れるのではないでしょうか。


 2021年5月に起きたライアンエアー緊急着陸事件で逮捕・禁錮8年の有罪判決が出ていた反体制派メディア「NEXTA」の元編集者ロマン・プロタセビッチ氏に今日、恩赦が出ました。
 本人がびっくりしながら報告しています。
 何だか意外な感じもしますけど、本人が深く反省・悔い改めたとして、それを認めるという雰囲気ですね。

 あくまで私見ですが、同氏は「見本」にされているように思えます。
 つまり、反体制派の人物は飛んでいる飛行機を無理やり着陸させてでも捕まえるぞ。(ここで、ベラルーシ政府は、「我々は厳しい。逮捕する能力も長けている。」ということを世界中にアピールできました。)
 そして裁判。(その前にプロタセヴィチ氏の場合は、国営テレビのトーク番組に出演させられました。思わず涙を流す同氏。この涙も政府にとってはプラスになったでしょう。)
 出た判決は重いもの。(「はい、ベラルーシ政府は厳しいんです。」と改めてPR。「他の反体制派の人たち、よく見なさい。悪いことをしたらこうなりますよ。前例を見せときますよ」。)
 プロタセヴィチ氏は動揺。当然、上訴。恩赦を求めるサインをします。(担当弁護士も同氏が自分で決めたのではなく、国があてがったもの。上手に被告人にアドバイスをします。)
 そこへあっさり(前から決まっていたかのように)恩赦が下る。(「十分反省したようだし。ベラルーシ政府は本当は心が広いのですよ、反体制派の人たち、反省すればいいのですよ。」と内外にアピールできました。)
 喜ぶプロタセヴィチ氏。これからは政府のために働き、恩返しをするでしょう。
 政府にとってはプラスです。
 同氏はメディアの人間。しかも行動、言動、経歴、目立っています。有名人です。
 同じ反体制派の容疑者や被告でも地味な人物だったら、恩赦は出なかったかもしれません。


 亡命したロシア人2人がドイツで毒物による中毒の症状を示し、暗殺かと報道されています。
 2人は先月29-30日、ロシアの反政府活動家ミハイル・ホドルコフスキー氏がドイツのベルリンで主催したある会議に出席していました。
 1人は先日ロシアを出たばかりのジャーナリストで、会議の前から症状が出ていた可能性があると語っています。
 もう1人は米国を拠点とする自由ロシア財団(FRF)理事。この財団はロシアの市民社会を支援する国際機関です。
 理事はアメリカ在住ですが、ドイツで体調を崩した際、時差で疲労がたまったとフェイスブックに投稿していました。その後プラハに移動し、その時にホテルの部屋が開いた状態だったといいます。何者かがホテルの部屋に忍び込んで薬物を仕込んだのでしょうか。ひどい痛みや経験したことのない症状が出たのはホテルの部屋に入ってからだそうです。


 今日、出勤したら公務員は必ずこれを読んでおきなさいという文書が回覧で回ってきました。最近、こういうことが多いです。
 今回は78年前に独ソ不可侵条約を破ってナチスドイツがベラルーシに電撃攻撃を受けたことについて、今を生きるベラルーシ人は思い出さないとけません、忘れてはいけないですよ、という内容の文書でした。
 それによると、ベラルーシが受けた被害は、死亡者数は約300万人。
 損害額は当時の国家予算35年分。
 6177の学校が全壊。2648の学校が半壊。40の大学が破壊。
 1377の病院、医療施設が破壊。
 劇場など4756の文化施設が破壊。
 200箇所の図書館が破壊。
 8500頭の家畜がドイツへ運び去られた。
 とさまざまな記録が書いてありました。つくづく戦争が嫌になります。そしてまた同じようなことが繰り返されています。時代こそ違え、戦争の本質は似たようなものです。
 旧ソ連の国々で、戦争前の水準に人口が戻ったのはベラルーシが最後でした。
 戦争で失われた人口が元どおりになるのに、長い時間がかかったということです。