電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

東洋経済新報社の「住みよさランキング」2020年版の変更点

2020年07月06日 06時01分36秒 | Weblog
東洋経済新報社が各種公的指標をもとに作成し発表する「住みよさランキング」は、様々な都市の「住みよさ」を数値化しようという試みのようですが、これまではどうも北陸や東北地方の日本海側など、豪雪地帯の都市が住みよい街にリストアップされるという傾向があり、生活実感との乖離が感じられて、なんだかなあとあまり感心しませんでした。担当したのは東洋経済「都市データパック」編集部の濵野沙耶(はまの・さや)さんという千葉県生まれの方のようで、やっぱり「雪国でない人の発想」だろうという予想(*1)はズバリ的中(^o^)/

それはそうと、「生活実感との乖離」の原因として考えられるのは、

  • 積雪量など自然環境要因が考慮されていない
  • 持ち家で1人あたり居住面積が高いと高得点になるため、人口減少地域ほど有利になる

あたりではないかと思っていました。

2020年版では、このあたりが改善され、「持ち家率」などの指標が削除されたほか、「最深積雪量」や「人口当たり法人市民税」が加わったようで、これまでの順位とはだいぶ変わっています。例えば山形県内では、

第57位 東根市
第63位 天童市
第157位 新庄市
第248位 山形市
第277位 寒河江市

などという結果(*2)です。これは、人により評価は様々でしょうが、まあ、大きく見ればある程度は納得できる面があります。とくに県内トップの東根市は、県内では最深積雪が少ない地域であり、全国有数のサクランボ等の果樹生産高や県内で二番目に多い工業製品出荷高などから「人口あたり法人市民税」が多いことなど、新たに追加された指標が影響したのであろうと思われます。

ただし、「1人あたり」から「1住宅あたり」に居住面積の指標が変更されましたが、人口が減少し独居老人が増加し続けている地域が「豊かで快適である」とカウントされる傾向は変わっていません(*3)。大都市部で居住面積が重要なプラスの指標であることはそのとおりでしょうが、人口減少地域では独居老人が増加し続けていることを思えば、必ずしも居住面積がプラスの指標とは言えないと思います。むしろ、「居住面積×高齢化率を反映する数値」のような指標にしたほうが、より現実に近づくのではなかろうか。
まあ、素人の勝手な判断ですので、当てになるかどうかは疑問ですが(^o^)/

(*1):東洋経済新報社の「住みよさランキング」は雪国でない人の発想では〜「電網郊外散歩道」2016年6月
(*2):東根市、住みよさ県内一 20年全国ランキング57位〜山形新聞オンライン6月30日付け
(*3):「住みよさランキング2020」全国総合トップ50〜東洋経済オンライン

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2 コメント

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Unknown (おなら出ちゃっ太)
2020-07-07 18:22:01
確かに、「住みよさ」という感覚的なものをどうやって定量化するのか。
そもそもランキングする意味があるとも思えませんが、まあ雑誌のネタなのでしょう。
「公平性」とか「正確さ」を担保するために、様々なデータから分析するからなのか、並べると北陸と東京が入り混じっていて、結局のところ何が住みよさなのかわかりにくい。
最終的には感覚ですからねえ。

今後はテレワークが一層浸透して、東京の会社に在籍していても働くのは住まいのある山形、なんていうことも増えてくるでしょう。そうなった時には、それなりのランキングが作られるのでしょうか?
(^o^)/
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おなら出ちゃっ太 さん、 (narkejp)
2020-07-07 21:02:20
コメントありがとうございます。便利な都会は人が多く集まり、コロナ禍の現在はストレスが大きいけれど、不便な田舎は人が少なく、車移動ですから通勤時のマスクもいらない。住みよさも基準がだいぶ変わりますね。
会社のテレワークの件、モノと情報、ヒトと情報の関係は単純ではなく、情報技術だけ「進歩」してもうまくいかないのが通例です。モノやヒトと一緒に、並行して変わっていかないとダメだと思いますね。会社は東京で働くのは山形なんてことは、階級格差の再生産・固定化を生むと思います。本社はアメリカ、労働者はインド、なんてことはすでに実現されてますから。
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