電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

堀内都喜子『フィンランド 豊かさのメソッド』を読む

2009年02月12日 06時38分57秒 | -ノンフィクション
書店で平積みになっていた中の1冊、集英社新書で堀内都喜子著『フィンランド 豊かさのメソッド』を読みました。帯に大きく表示された「子どもの学力調査(PISA)1位、国際競争力ランキング4年連続1位の秘密」が見えるかという、ややミーハーな興味もありましたが、昨秋、数名のフィンランドの娘さんたちをお世話した際に、同国の事情に興味を持ったという理由もあります。
本書の構成は、次のようになっています。
第1章 不思議でとても豊かな国~失業率20%から国際競争力1位へ
第2章 学力1位のフィンランド方式~できない子は作らない
第3章~税金で支えられた手厚い社会~独立心が旺盛でたくましい女性
第4章~日本と似ている?フィンランド文化~異文化コミュニケーション
内容は非常に面白く、興味深いものでした。
社会体制が違うので日本との単純比較はできないのだろうと思いますが、要するに経済復興のために取った方策が、教育の質を上げることで国民の学力レベルを上げ、徹底したIT化と省力化で人件費を削減、高い税負担は社会保障の充実と使途の透明性を確保することで理解を得ている、ということのようです。
ただし、人口は少ないのに失業率は高く、リストラによる雇用不安も存在します。高い教育需要の背景には、学歴社会と失業問題もあるようです。実際、昨秋お世話した娘さんの一人は、働き口が決り、「働くところがあって嬉しい」とメールに書いて寄越しました。
著者が現地の大学院で学んだ体験から書かれた本書は、どうしても社会の底辺や暗部は視野に入って来ていないようですが、知られざる国の教育や福祉のレポートとして、興味深いものがあります。
個人的にとてもウケた一節:

フィンランドの場合、義務教育では男女の比率は半々だが、高校になると女子が6割を占め、大学でも女子の方が男子より多い。どうして女子の方が成績が良く、向学心が強いのか。その理由はよくわからないが、友人曰く「女子は将来を考えて学校に通うが、男子は女の子のことばかり考えて学校に通うから」なのだそう。(同書p.72)

若い頃を思いだし、いささか心当たりがなくもないだけに、思わず苦笑い(^o^;)>poripori

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