電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

西村淳『面白南極料理人』を読む

2014年05月28日 06時03分29秒 | -ノンフィクション
新潮文庫で、西村淳著『面白南極料理人』を読みました。抱腹絶倒の面白さです。

1996年から1998年、足掛け2年、実質1年の第38次南極観測隊に料理人として参加した海上保安庁職員・西村淳さんが描く、標高3,800m、年平均気温-57℃、最低気温は実に-80℃という極寒の地、ドームふじ観測拠点での男九人だけの生活ぶりが描かれます。いやはや、すさまじいものです。でもそれが、なんとなくユーモラスで可笑しい(^o^)/

越冬期間の楽しみは、「宴会」。これはよくわかります。実に様々な宴会とそのメニューが披露されますが、その中に音楽に触れた箇所がありました。金戸基地長の誕生会の設営と準備作業のBGMとして、選曲を依頼したのが佐藤隊員。この人、どうも少々ピントがずれているエンジニアのようで、その選曲の合わなさ加減が可笑しい(^o^)/

尾崎豊「卒業」 これは世代的にも相性的にも合わないでしょう。
吉幾三「酔歌」 たしかに、一升瓶を立てて仕事など放り出したくなるかも。

結局、落ち着いて料理の準備に取り組むことができたのは、モーツァルトの音楽だった(p.132)とのこと。うーむ、モーツァルトは南極でも強かったか(^o^)/

食材のダンボールが、貯蔵庫の落盤のために野外に山積みになっており、冬のブリザードで全部が埋まってしまう前になんとか貯蔵しなければなりません。その対処法が、切り出した雪でイグルー型の倉庫を建設してしまうというアイデアです。なーるほど、天然の野外冷凍庫ですね。しかも、業務用の二段コンプレッサーの-40℃も真っ青、-60℃とか-70℃とかいう、超高性能(^o^)/
日本では初夏の時期が、南極では太陽がのぼらない厳冬期に入ろうというところでしょうか。南極の某マーチン基地(*)の様子はこんなふうです。

もう一つ、当方のツボにはまった内容が、各隊員がうんちくをかたむけるドーム大学で著者が披露した、「楽しいキャンプ道具の話」(p.248~259)でした。家族を喜ばせる野外キャンプ講座に大笑いしながら、そうだそのとおりだと膝を打ちました(^o^)/

映画「南極料理人」の原作の一つになっているそうですが、残念ながらこの映画は未見です。できれば、DVD等で観てみたいものです。

(*):冬ならばペンギンが見られます~今年も健在・南極マーチン基地のライブカメラで見るペンギンたち~「電網郊外散歩道」2014年1月


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2 コメント

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林 侘助。 さん、 (narkejp)
2014-05-28 20:16:56
コメントありがとうございます。映画では主人公は体育系でなく色男系ですか(^o^)/
「じわじわ抱腹絶倒」というのも興味深いですね。網走郊外でロケを行ったという映画を、一度ぜひ観てみたいものです。
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映画「南極料理人」 (林 侘助。)
2014-05-28 08:29:00
 映画はキャラクターの印象は少々異なるけど、やはりじわじわ抱腹絶倒です。ロケは網走郊外の冬だったそう。

 本=実話では料理人というのは体育会系だけど、映画では色男なんですよ。家族への思いなど、じょうずに描いておりました。
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