電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

諸田玲子『灼恋』を読む

2009年12月11日 06時14分35秒 | 読書
新潮文庫で、諸田玲子著『灼恋』を読みました。いやはやなんとも、こういう物語を構想すること自体が、当方のような理系の石頭にはすでに理解の範囲を超えております(^o^)/

京の公家・橘正兼の娘・染子が、父を亡くし、江戸の徳川綱吉のもとに仕える経緯は、まあ理解できますが、後半の、柳沢吉保を加えた三つ巴の愛憎劇は、思わず笑ってしまいました。作者が真剣であればあるほど、珍妙さが浮き彫りになるようです。観念の中で作られたドラマは、昼メロのうそくささに似て、どうも中年おじんの感受性には不向きのようです。

『お鳥見女房』シリーズ、『末世炎上』など、作者の忠実な読者らしからぬ不届きな物言いは、酒席の後の酩酊の中で読み終えたためでしょうか、再読後はまた別の感想もありうることでしょう。

ただし、収穫もありました。Wikipedia で徳川綱吉を調べてみたら、「犬公方」と嘲笑される暗君説はどうも後年の作られたイメージのようで、実際はだいぶ違っていたらしいとか。山室恭子『黄門さまと犬公方』(中公新書)なる本があるらしい。興味関心は、かくのごとく派生して広がります。

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