電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管でチャイコフスキー「交響曲第5番」を聴く

2011年11月20日 06時04分44秒 | -オーケストラ
ボロディンの交響曲第2番、第3楽章で登場するホルン・ソロの旋律に触発されて、チャイコフスキーの交響曲第5番を聴きたくなりました。記事としては、すでに掲載(*1)しておりますが、今度はすでに公共の財産となっている、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による凛とした演奏です。



録音は、最新のものと比べればさすがに時代を感じますが、響きは濁らず透明で、演奏は素晴らしいものです。第1楽章、冒頭のクラリネットによる暗い序奏もブラボーですが、その後に展開される音楽の素晴らしいこと。第2楽章の例のホルン・ソロも、ここぞとばかり吹くのではなくて、全体の中でバランスのとれた、控えめですが格調高いものです。チャイコフスキーに嫋々たる風情や泣き節を求める場合は、この演奏はふさわしいとは言えないかもしれません。でも、変な言い方ですが、「気品あるチャイコフスキー」と感じます。精妙なリズムとアンサンブルは、第3楽章のワルツなど速い箇所でも驚くほどにそろっていて、思わず舌を巻くうまさです。そして終楽章、盛り上がっていったクライマックスの爆発に、隠し味のようにシンバルが加わります。これは、もちろんオリジナルの楽器編成にはないわけです。ジョージ・セルとクリーヴランド管弦楽団の演奏を愛する人にはすでに承知のことかもしれませんが、いったいどういう経緯でセルがここにシンバルを加えることにしたのか、興味深いところです。

これについて、「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label」の主宰者「ユング君」さんは、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団との関連を推理(*2)しています。ケンペン指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の1951年の録音に、シンバルが派手に加えられているほか、1939年のメンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のライブ録音や、1940年のベルリンフィルとの正規録音でもシンバルが加えられていることから、セルとヨーロッパの伝統とのつながりを指摘しています。ああ、なるほど、と納得しました。コンセルトヘボウ管弦楽団のスコア・ライブラリには、そういった蓄積がたくさんあるのでしょうね。

参考までに、演奏および録音データを記します。
■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管
I=14'38" II=13'07" III=6'03" IV=11'48" total=45'36"

1959年10月23日、米国オハイオ州クリーヴランド、セヴェランス・ホールにて録音されたステレオ録音で、オリジナル・プロデューサーはハワード・スコットとクレジットされています。通勤の車内で聴いているのは、リミックス版で SONY-BMG の 82876-78744-2 という型番のCDです。

(*1):チャイコフスキー「交響曲第5番」を聴く~「電網郊外散歩道」2010年10月
(*2):ジョージ・セル指揮 チャイコフスキーの5番~「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label」

【追記】
1970年の CBS-SONY クラシックLPカタログから、チャイコフスキーのこの録音の写真を追加しました。はじめて気がつきましたが、どうやら『レコード芸術』誌の推薦盤になっていたようです。へぇ~、意外です。


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