電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

手作りの逸品と大量生産の工業製品

2017年08月29日 06時01分53秒 | Weblog
時々感じることですが、「手作りの逸品」と「大量生産の工業製品」と、それぞれの意味合いはだいぶ違うようです。特に社会的な役割という点で、後者の意味はとても大きいのではなかろうか。

名工による手作りの逸品はたしかに素晴らしいけれど、数が作れないために値段が吊り上がり、庶民にはとても手が出ないことが多いものです。一方、大量生産の工業製品は、歴史的にはその普及が庶民の生活レベルの向上に役立ってきたものが多いでしょう。それら多数の製品の中にはずいぶん良質なものがあり、ていねいに企画・製造されていることが感じられます。そういう製品は、粗製乱造のものに比べてちょっとだけ割高な傾向はありますが、概して庶民にも手が届くリーズナブルなお値段のことが多いようです。

希少性を評価する文化財的な視点からは、名工の手作りの逸品こそが重要でしょうが、庶民の生活の上では良質な工業製品の方がはるかに重要で、生活を便利にあるいは豊かにしてくれます。ワタクシ的には、こうした良質な工業製品に着目していきたいと感じるところです。

天然記念物と普通の生態系とどちらが大事かというような話になりますが、希少な天然記念物を評価するのは大事だけれど、普通の自然の生態系を軽んじるのは大きな誤りだと思います。この件、「疾風と勁草」のエピソード(*1)にも通じるなあ。

(*1):疾風と勁草と松林〜「電網郊外散歩道」2015年3月
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