電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第262回定期演奏会でレスピーギ、ストラヴィンスキー、ベートーヴェンを聴く

2017年06月05日 06時06分28秒 | -オーケストラ
六月最初の日曜日は、早朝から起き出してサクランボの防除作業を行い、午前中に床屋に行って一休み。老母の畑でキュウリの支えを手伝った後に昼食を済ませ、午後からは山響こと山形交響楽団の第262回定期演奏会に出かけました。今回は「世界屈指の名匠が奏でる抒情と気品に満ちた響き」と題して、

  1. レスピーギ/リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲 P.172
  2. ストラヴィンスキー/バレエ音楽「プルチネルラ」組曲
  3. ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
     ドミトリー・シトコヴェツキー(指揮・Vn)、山形交響楽団

というプログラムです。余裕を持って行ったつもりが、14時過ぎには花笠駐車場はもう満車になっており、仕方がないので近くの駐車場に移動しました。なんとか駐められたので、ロビー・コンサートも聴くことができました。



今回のロビー・コンサートは、久良木夏海さんのチェロ、相川誠さんのコントラバスのデュオで、

G.ロッシーニ チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調

という曲です。ロッシーニらしく伸びやかな楽しさのある音楽でした。そうそう、西濱事務局長の紹介ではお二人を夫婦漫才に喩えていましたが、いえいえ、とんでもありません。むしろ、「姫と護衛騎士」のようでしたよ~(^o^)/



ホールに移動し、開演前のプレトークでは、写真のようにステージ上に西濱事務局長が登場、挨拶をした後で今回の指揮者を紹介します。いくつかの質問をしてシトコヴェツキさんが答えますが、これをソロ・コンサートマスターの高橋和貴さんが通訳をつとめます。山形には今回初めて来られたそうです。食べ物が信じられないほど美味しく、お酒の出羽桜も美味しかったそうで、山形の第一印象はだいぶ良かったようです。今回の曲目についても軽く触れて、楽員の登場。

1曲め:レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」。弦楽合奏で。楽器配置は、左から第1ヴァイオリン(8)、ヴィオラ(5)、チェロ(5)、第2ヴァイオリン(7)、その後方(右端)にはコントラバス(3)という形で、いわゆる8-7-5-5-3という編成です。分厚い響きを生み出す現代のオーケストラとしては小さな編成でしょうが、澄んだ響きを生み出すバロック時代の編成としてはちょうど良いくらいか、あるいは大きいほうかもしれません。特に、有名な第三曲「シチリアーナ」では、山響弦楽セクションの澄んだ響きを楽しみましたし、第四曲「パッサカリア」では、冒頭からの気迫が印象的で、編成の規模を忘れさせるものがありました。

2曲めのストラヴィンスキー「プルチネルラ」は、8-7-5-5-3 の弦楽セクションの正面奥に Fl(2),Ob(2)、その奥に Hrn(2),Fg(2),Tp(2),Tb(2) という編成です。おもちゃ箱をひっくり返したようなキラキラした音楽ですが、指揮のシトコヴェツキーさんは、大きな身振りではなく、コンパクトですが的確に指示を出すタイプの指揮ぶりでした。

ここで15分の休憩。ホワイエでコーヒーを飲み、シトコヴェツキーさんのCDを購入しました。

3曲目は、ベートーヴェンです。楽器編成は、8-7-5-5-3 の弦楽セクションは対向配置で、正面奥に Fl(1),Ob(2)、その奥に Cl(2),Fg(2)、さらにその奥に Hrn(2),Tp(2),Timp という配置です。ティンパニはモダン楽器みたいですが、ホルンとトランペットはナチュラルタイプを使っています。
シトコヴェツキーさんは、ゆっくりめのテンポで振り始めます。ベートーヴェンの協奏曲を演奏しながらかつ指揮をするというのは、けっこう大変なのではなかろうか。とくに大ぶりではないとはいえ、指揮をした後にヴァイオリンを奏するというのは、細かな調節などが大丈夫なのかと不安になりますが、話し方と同じく歯切れの良い演奏は、多少気になるところがあったとしても演奏の合間に調整し直してしまうほどで、実に力強く感じられます。
オーケストラは、特にナチュラルタイプのホルンとトランペットの音量が弦楽セクションと音量的によくバランスが取れるようで、ソリスト兼指揮者にとってはありがたいのではなかろうか。



熱狂的な拍手に応えて、アンコールはバッハでした。J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番ハ長調、BWV1085の第3楽章。ベートーヴェンの後のバッハというのも、実に良いものです。思わず聴き惚れてしまいました。




終演後のファン交流会では、シトコヴェツキーさんの山響の印象について、responsible だとの言葉あり。山形の聴衆へのメッセージとして、地元のオーケストラへの支援を続けてほしい、とのことでした。西濱効果もあってか、ビッグタイトルを山形に招聘するケースが続いており、ファンとしてはうれしい限りですが、この聴衆へのメッセージなどは、山響に限らず、地方オーケストラを応援している聴衆にとって、思わず心に残るものではないでしょうか。

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