電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第3番」を聴く

2013年11月23日 06時05分02秒 | -室内楽
今週は、通勤の音楽として、ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ第3番」変ホ長調Op.12-3 を朝夕に聴いてきました。全曲を繰り返し聴き、またトラックごとにリピートして聴くというスタイルで、いやおうなく耳に入り、頭に残るというものです。そんなことを言わずとも、ヨセフ・スーク(Vn)とヤン・パネンカ(Pf)というゴールデン・コンビによる演奏は、若いベートーヴェンの清新な音楽を見事に表現し、とくに緩徐楽章の魅力などは、するりと心に沁み入ります。

第1楽章:アレグロ・コン・スピリト、変ホ長調、4分の4拍子、ソナタ形式。ピアノの三連音によって始まり、第1主題が活き活きと提示されます。これをピアノとヴァイオリンが展開していく中で、一区切りをつけてスタッカートするヴァイオリンが第2主題を提示。ピアノでも繰り返されます。
第2楽章:アダージョ・コン・モルト・エスプレッシオーネ、ハ長調、4分の3拍子、三部形式。実に見事で魅力的な緩徐楽章です。この楽章を聴くためにこのCDを取り出すこともあるくらいです。つぶやくように始まるピアノの主旋律をなぞるように、しかし少しずつ形を変えながらヴァイオリンが奏されます。中間部は、そのヴァイオリンが主体となって、様々に転調しながらゆっくりと展開され、ピアノとヴァイオリンとが主役を交代しながらコーダへと進みます。
第3楽章:ロンド、アレグロ・モルト、変ホ長調、4分の2拍子。前の楽章から一転して、活発で生き生きとした、躍動的な楽章となります。くるりくるりと回転しながら踊っていたら、楽しいけれど目が回りそうな音楽です。途中の転調も効果的で、再び元の変ホ長調に戻るときの晴れやかで楽しそうな気分は、何とも言えず気分の良いものです。



大柄で大きな熊のような手を持つというヨセフ・スークの、自在で活発な演奏とともに、第2楽章におけるパネンカのピアノの素晴らしさに感嘆してしまう、名コンビによる1966年10月のアナログ録音。スプラフォン原盤です。

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