電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第232回定期演奏会でバッハ、ストラヴィンスキー、ベートーヴェンを聴く

2013年11月17日 21時36分47秒 | -オーケストラ
晩秋11月の土曜の夜、山形交響楽団の第232回定期演奏会で、バッハとストラヴィンスキー、ベートーヴェンの作品を聴きました。今回の指揮者は、マックス・ポンマーさん。プレ・コンサート・トークは、ホルンの八木さんがつとめてくれました。リューネブルクに生まれたJ.S.バッハの簡単な経歴を説明し、フランスから嫁いだ姫がオーケストラを連れてきたことが、後の「音楽の父」を生んだことを紹介、現代の日本でバッハが演奏されていることを喜び、有意義な時間を共有しましょうと語ります。まるで大学で歴史の老先生の特別講義を聴くような、そんな気分になりました。

さて、「技法を超越する美学」と題する本日の曲目は、

(1) J.S.バッハ:管弦楽組曲 第2番 ロ短調 BWV1067
(2) ストラヴィンスキー:弦楽のための協奏曲 二調 
(3) ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 「運命」作品67

というものです。

第1曲、バッハの管弦楽組曲第2番は、山響フルート奏者の足達祥治さんがソロをつとめます。ステージ正面左から、第1ヴァイオリン(4)、第2ヴァイオリン(4)、ヴィオラ(3)は立って演奏します。イスに座って演奏するのは、チェロ(2)、ファゴットとコントラバス、チェンバロ各1 です。ポンマーさんは指揮棒なしで、室内アンサンブルを指揮します。フルートと弦楽トップだけのアンサンブルや、フルート、ファゴット、チェンバロだけの響きが素晴らしい。組み合わせの妙というべきでしょう。そうか、この曲はフルート協奏曲だったのか(^o^)/
そして足達さんのアンコール「花は咲く」には、思わず涙が出ました。実は、開演前に『ラジオ福島の300日』を読んでいたものですから(^o^;)>poripori

第2曲は、ストラヴィンスキーの「弦楽のための協奏曲」です。楽器編成は、8-8-6-4-4 の弦楽5部で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラと並ぶ通常の配置です。ポンマーさんは指揮棒を持って指揮します。リズムと音色、編拍子や特殊奏法などを用いて、弦楽合奏だけでほんとうに多彩な変化を聴かせます。
第1楽章は速い音楽でしたが、第2楽章は柔らかな緩徐楽章で、急ー緩ー急の構成は変わらないようです。第3楽章は、再び不安気な速いテンポの音楽で、ヴィオラなどは細かな動きがずっと続きます。

15分の休憩の後、後半はベートーヴェンの交響曲第5番。
楽器編成は、Fl(3)、Ob(2)、Cl(2)、Fg(2)にコントラファゴット、Hrn(2)、Tp(2)、Tb(3)、ティンパニ、そして 8-8-6-6-4 と通常配置の弦楽5部です。
すっかり聴き慣れたつもりの音楽ですが、堂々たるテンポの中に、新鮮な響きが聞こえます。とりわけ素晴らしかったのが、第2楽章。伸びやかな音楽の歩みに、この曲の持つ魅力の一つをあらためて感じました。第3楽章から第4楽章へはアタッカで演奏されますが、ピッコロやコントラファゴット、バストロンボーンも加わって、華やかに緊張を解放します。堂々としてして、ヘンな言い方ですが、安心感のある「運命」交響曲でした。
もう一つ、ベートーヴェンはファゴットの使い方がうまいなあと感じました。

バッハに始まり、ベートーヴェンからストラヴィンスキーに至る曲目の構成でしたが、マックス・ポンマーさんの、自信に裏付けられたゆるぎない音楽を堪能しました。それにしても、ベートーヴェンの第2楽章が良かった~!

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