電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

永六輔『職人』を読む

2013年11月07日 06時03分12秒 | 読書
岩波新書で、永六輔著『職人』を読みました。奥付を見ると、1996年10月21日の第1刷とあります。ほぼ7年ぶりの再読ですが、やはりしみじみと面白い(^o^;)>poripori

I 語る 「生き方には貴賤がありますねェ」
II 怒る・叱る 「怒ってなきゃダメだよ、年寄りは」
III つきあう 「必要なものは高くても買うのが買い物です」
IV 訪ねる 「使い込んでこそ美しい」
V 受け継ぐ 「職人大学生諸君!」

全巻これ職人の心意気と知恵がつまっていますが、とくにおもしろいと思ったものをいくつか拾ってみると:

「人間、ヒマになると悪口を言うようになります。
悪口を言わない程度の忙しさは大事です」(p.8)
「いいかい、
仕事は金脈じゃない、人脈だぞ。
人脈の中から金脈を探せよ。
金脈の中から人脈を探すなよ」(p.9)
「何かに感動するってことは、知らないことを初めて知って
感動するってもんじゃございませんねェ。
どこかで自分も知ってたり考えていたことと、思わぬところで出くわすと、
ドキンとするんでさァね」(p.13)
「他人と比較してはいけません。
その人が持っている能力と、その人がやったことを比較しなきゃいけません。
そうすれば褒めることができます」(p.36)
「批評家が偉そうに良し悪しをいいますけど、
あれは良し悪しじゃなくて、
単なる好き嫌いを言っているだけです」(p.66)
「若い仕事は若いだけじゃダメなんだ。
若いのに老巧でなければ、
若いことの意味がないんだよ」(p.68)

うーむ、おもしろいですね~。言葉の切れ味が、まさに職人のものです。こういう味は、年の功で年寄りにはわかるのでしょうが、若い人にはわかるのか?当時ベストセラーとなっていたこの本の部数を見ると、たぶん、若い人も面白がって読んだのではないかと思います。

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