電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

広河隆一『福島 原発と人びと』を読む

2011年09月11日 06時04分09秒 | -ノンフィクション
岩波新書で、広河隆一著『福島 原発と人びと』を読みました。本書の構成は、次のようになっています。

第1章:地震、そして事故発生
第2章:原発作業員は何を見たか
第3章:避難した人びと
第4章:事故の隠蔽とメディア
第5章:広がる放射能被害
第6章:子どもと学校
第7章:チェルノブイリから何を学ぶか
第8章:これからのこと

福島原発事故については、様々に報道されておりますが、どうも紋切り型の言い回しが多く、自分の頭で考えようとすると、なんだか釈然としないことばかりです。これだけの大きな事故になると、全体像をとらえることは困難なことです。チェルノブイリ原発事故の取材を経験したフォト・ジャーナリストの視点からの取材は、この一連の事態の断面を見事に写し取っています。

ヒロシマの被爆二世として育った私は、チェルノブイリや福島原発の周辺で被曝せざるを得なかった人々、とりわけ子どもたちが置かれた境遇と運命に、思わず同情してしまいます。甲状腺ガンなどの病気の発症が限りなく少なくなるように、そして万が一発症してしまった場合にも適切な医療が受けられるように、効果的な施策が実現されるように願いたいと思います。

亡父の場合、ヒロシマでの救援活動による入市被曝の証明のためには、三名の戦友の証言が必要でした。その意味では、周辺地域で自主的に取り組まれているという、3.11以後の子どもたちの行動記録が、たいへん重要な意味を持つものと感じます。

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