福島第一原発の事故にともない、各地で放射線量が観測され、その結果が発表されています。新聞等には、東日本の地図上に値をプロットしたものが掲載(*1)されています。ところで、この数値はどう考えれば良いのだろうか。先の「放射能と山形?」記事に続き、例によって当方のわかる範囲で、整理してみました。
試しに、新聞に発表された、各地で観測された放射線量の地図上に、天気図の等圧線を描く要領で、10μSv/h, 1.0μSv/h, 0.10μSv/h の3本の線を描き入れてみました。元にしたデータは、3月18日午後3時現在のものと、3月20日午後3時現在のものです。
(1) 18日の10μSv/hの線を見ると、浪江町(150)や飯舘村(22.3)、福島市(11.2)を含むように、福島第一原発から北西に細長く広がっているように見えます。これはたぶん、日中の陸風とは逆に、朝晩に吹く海風によるものかと思います。20日には福島市(8.67)がこの範囲から外れ、範囲が狭まっているようです。
(2) 18日の1.0μSv/hの線を見ると、北茨城(1.0)、那須(1.00)、郡山(2.40)、白石(1.08)を含むようです。これは、北東~南西の風の影響なのでしょうか。これが20日には、北茨城(0.783)、那須(0.76)、白石(0.81)がこの範囲から外れ、やはり範囲が狭まっているようです。
(3) 18日の0.10μSv/hの線を見ると、小山(0.11)、日光(0.84)、会津若松(0.42)、米沢(0.101)、仙台(0.24)を含む範囲となるようです。20日の線を見ると、米沢(0.088)が外れた以外はほとんど変化がありません。また、0.20μSv/hで線を引いてみても同様です。ということは、この近辺あたりになると、むしろ自然放射線量のレベルなのでは、という気がします。
Wikipedia(*2)によれば、1年間に自然環境から人が受ける放射線の世界平均は2.4mSvだそうです。ただし、この中には食物由来のものも約0.35mSvが含まれる(*3)そうですので、それ以外はおおむね2.1mSvとみなすこととすれば、1mSV(ミリシーベルト)は1000μSv(マイクロシーベルト)ですので、1年間に2100μSvとなります。1年は365日、1日は24時間(h)より、1年は365×24=8760時間ですので、1時間あたりの放射線量は、
ということに。
さらに、つくば市における通常の放射線量は0.07~0.09μSv/hくらい(*4)だそうです。このサイトでは、福島第一原発から165km離れたつくば市における、屋内にいる場合と屋外の放射線量の違い(*5)も示されており、たいへん参考になります。0.20~0.10μSv/hという値は、おそらく自然放射線の範囲に入っているために、その範囲があまり変化しないのだろうと、納得いたしました。間に奥羽山脈が横たわるという違いはありますが、山形市とほぼ同様の直線距離です。その意味からも、参考になります。
逆に、測定値(μSv/h)を8760倍して1000で割れば1年間の放射線量(mSv)になりますが、もしも現在の値のままずっと続いたらと考えると、数値の高い地域の方々には、さぞ不安なものがあることでしょう。なんとか対策が功を奏し、早期に終息に向かってほしいものです。
(*1):放射線量、なお3県で平常時より高い値~3/20-asahi.comの地図画像, 放射線量、茨城、栃木、群馬で平常時より高い値~3/19-asahi.comの地図画像
(*2):被曝~Wikipediaの説明
(*3):自然放射線の量~つくば市・高エネルギー加速器研究機構・放射線科学センターのPDFファイルより
(*4):つくば市・高エネルギー研究機構(KEK)・放射線科学センターの放射線量
(*5):屋外と屋内の放射線量は具体的にどのように違うのか~つくば市・高エネルギー研究機構(KEK)・放射線科学センターのサイトより
試しに、新聞に発表された、各地で観測された放射線量の地図上に、天気図の等圧線を描く要領で、10μSv/h, 1.0μSv/h, 0.10μSv/h の3本の線を描き入れてみました。元にしたデータは、3月18日午後3時現在のものと、3月20日午後3時現在のものです。
(1) 18日の10μSv/hの線を見ると、浪江町(150)や飯舘村(22.3)、福島市(11.2)を含むように、福島第一原発から北西に細長く広がっているように見えます。これはたぶん、日中の陸風とは逆に、朝晩に吹く海風によるものかと思います。20日には福島市(8.67)がこの範囲から外れ、範囲が狭まっているようです。
(2) 18日の1.0μSv/hの線を見ると、北茨城(1.0)、那須(1.00)、郡山(2.40)、白石(1.08)を含むようです。これは、北東~南西の風の影響なのでしょうか。これが20日には、北茨城(0.783)、那須(0.76)、白石(0.81)がこの範囲から外れ、やはり範囲が狭まっているようです。
(3) 18日の0.10μSv/hの線を見ると、小山(0.11)、日光(0.84)、会津若松(0.42)、米沢(0.101)、仙台(0.24)を含む範囲となるようです。20日の線を見ると、米沢(0.088)が外れた以外はほとんど変化がありません。また、0.20μSv/hで線を引いてみても同様です。ということは、この近辺あたりになると、むしろ自然放射線量のレベルなのでは、という気がします。
Wikipedia(*2)によれば、1年間に自然環境から人が受ける放射線の世界平均は2.4mSvだそうです。ただし、この中には食物由来のものも約0.35mSvが含まれる(*3)そうですので、それ以外はおおむね2.1mSvとみなすこととすれば、1mSV(ミリシーベルト)は1000μSv(マイクロシーベルト)ですので、1年間に2100μSvとなります。1年は365日、1日は24時間(h)より、1年は365×24=8760時間ですので、1時間あたりの放射線量は、
2100(μSv)÷8760(h)=0.24(μSv/h)
ということに。
さらに、つくば市における通常の放射線量は0.07~0.09μSv/hくらい(*4)だそうです。このサイトでは、福島第一原発から165km離れたつくば市における、屋内にいる場合と屋外の放射線量の違い(*5)も示されており、たいへん参考になります。0.20~0.10μSv/hという値は、おそらく自然放射線の範囲に入っているために、その範囲があまり変化しないのだろうと、納得いたしました。間に奥羽山脈が横たわるという違いはありますが、山形市とほぼ同様の直線距離です。その意味からも、参考になります。
逆に、測定値(μSv/h)を8760倍して1000で割れば1年間の放射線量(mSv)になりますが、もしも現在の値のままずっと続いたらと考えると、数値の高い地域の方々には、さぞ不安なものがあることでしょう。なんとか対策が功を奏し、早期に終息に向かってほしいものです。
(*1):放射線量、なお3県で平常時より高い値~3/20-asahi.comの地図画像, 放射線量、茨城、栃木、群馬で平常時より高い値~3/19-asahi.comの地図画像
(*2):被曝~Wikipediaの説明
(*3):自然放射線の量~つくば市・高エネルギー加速器研究機構・放射線科学センターのPDFファイルより
(*4):つくば市・高エネルギー研究機構(KEK)・放射線科学センターの放射線量
(*5):屋外と屋内の放射線量は具体的にどのように違うのか~つくば市・高エネルギー研究機構(KEK)・放射線科学センターのサイトより