電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第207回定期演奏会でベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」他を聴く

2010年08月05日 06時04分14秒 | -オーケストラ
草木も眠る丑三つ時に、アホ猫に仇を取られ(*)てしまいました(^o^;)/
なんと、よりによって山響第207回定期演奏会のその日に、2階の窓からネズ公をくわえて御帰還あそばしたアホ猫、寝ている足元でキーキー言わせて狂喜乱舞!おかげで、すっかり寝不足になってしまい、演奏会のチケットを忘れて取りに戻るわ、アポイントを危うく忘れそうになるわで、なんとも大変な一日でした。

それでも、なんとか開演直前にすべりこんだ山形テルサホールは、最前列を除きほぼ埋まっている状態です。本日のプログラムは、ベートーヴェンのカンタータ「静かな海と楽しい航海」Op.112、ブラームスの「運命の女神の歌」Op.89、最後がベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」Op.55 というものです。はじめの2曲は合唱が付いた曲で、合唱:山響アマデウス・コア、合唱音楽監督が佐々木正利、合唱指揮が渡辺修身、黒岩英臣指揮の山形交響楽団の演奏です。

ステージ後方に、合唱団がずらり並ぶと、やっぱり壮観です。オーケストラの配置は、向かって左から順に第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後方にコントラバスが並びます。正面奥、合唱団の手前に左からティンパニと管楽器が陣取ります。ちなみに、コンサートマスターは犬伏亜里さん、第2-Vnのトップにはヤンネ館野さん。黒岩さんは、白の上着に小さな蝶ネクタイというスタイルで、上品な中にも信念を感じさせ、教会の牧師さんですと紹介されてもおかしくないような感じです(^o^)/

1曲め、ベートーヴェンのカンタータ「静かな海と楽しい航海」は、合唱の出来栄えが素晴らしい。弱音から始まるにも関わらず、発音の明瞭さは特筆もので、後半は晴れやかな曲想を十全に歌いきりました。
2曲め、ブラームスでは、チューバなど低音管楽器が増強され、やっぱり訴える力があります。運命の無慈悲さを歌う歌詞は、40年前のかすかな記憶しかない当方のドイツ語の力ではほとんど理解不可能ですが、オーケストラの低音パートの強化は、必須のものと感じられます。

休憩の後、3曲目はベートーヴェンの「エロイカ」です。楽器の配置が若干変わり、ティンパニは右側に移動、ホルンは左奥へ、トランペットが右奥に座ります。第1楽章、指揮者は必ずしも速いテンポを取らず、力感のある丁寧な音楽づくりです。いわば、楷書のベートーヴェン。第2楽章の素晴らしいオーボエに魅了されます。ゆったりと遅いテンポで描かれる葬送行進曲は、厳しさと緊張感の中で奏されます。第3楽章、メガネと汗を拭いて、スケルツォ。ここも、軽みのあるスケルツォというよりは、丁寧に描ききることを重視した演奏と感じました。第4楽章、例のラプトゥスが乗り移ったような、酔っ払いが声を張り上げて歌うようなところも、陽気に発散するのではなくて、黒岩+山響は崩さず厳しく描きます。総じて、力と熱を集中した、楷書のベートーヴェンと感じました。

早々と夏休みとかで、いつもは超々多忙な知人の姿も見え、「エロイカ」を聴きに来たのだろうか、それとも合唱を含む音楽が目的であったろうかと思わず詮索してしまう、夏の夜でした。

(*):んまぁ、失礼な!~「電網郊外散歩道」2010年7月
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