電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

泉流星『僕の妻はエイリアン』を読む

2010年08月15日 06時02分11秒 | -ノンフィクション
いや~、おもしろいです!一気に読んでしまいました。泉流星著『僕の妻はエイリアン』(新潮文庫)です。もちろん、妻が本当に異星人なのではなくて、要するに高機能自閉症とかアスペルガー症候群などと呼ばれる広汎性発達障害を持っている奥さんの、かなり異質な思考や行動・感情のパターンを異星人に喩えているわけです。そして夫君は、どうやら典型的な理系のエンジニア。異星人的妻とエンジニア夫の組み合わせが、面白くないはずがない(^o^)/

わが娘がお嫁に行くとき、父親(私)は「恋は情熱だが、愛情は理解と忍耐だ」などという言葉を贈りました。その点から言えば、この夫婦の出会いと結婚は、お互いに惹かれあうものがあったからでした(「妻が妻になった理由」p.80~)。でも、その後の生活は悲惨の一語。環境の変化に弱いアスペルガー傾向の妻は、新婚生活での環境の激変に耐えられず、アルコール依存症に。救急車で運ばれ危篤状態になりますが、依存症の専門医に相談し、不安や緊張をやわらげる方途を探るうちに、高機能自閉症なのではないかと思い至ります。で、検査と診断は、まさにドンピシャリ。そこから夫婦共に異星人と地球人の異文化交流の生活が始まります。この経過は、まさに「理解と忍耐」です。異星人妻の努力もすごいし、夫君もエライ!

異星人妻には、「どこかで一度ウマイものを食べると、その味を記憶することができる」とか、地図をそっくりそのまま画像として記憶することができるとか、特異な能力もあるようです。辛抱強い夫に「なついて」いるゴロニャン猫系エイリアン妻、当事者でない限り、傍目にはけっこう良い夫婦に見えますね~(^o^)/

なお、異星人妻さんは、こちらにご自分のサイトをお持ちのようです。
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