厳選!ビジネス書 今年の200冊

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2012年87冊目『ただのノートが100万冊売れた理由』

2012-06-27 13:32:24 | おすすめビジネス書

評価  (3点/5点満点)

本書で紹介されている会社は、キングジムという文具メーカーで、今やオフィスでは大定番の「キングファイル」や「テプラ」、最近では「ポメラ」をはじめとする電子文具や雑貨などを生み出しています。ご存知の方も多いでしょう。

同社の商品で今、最も話題となっているヒット商品が「ショットノート」。一見するとただのノートやメモパッドですが、ちょっとした機能が付加されており、一般的なノートの倍以上の価格にも関わらず、発売から1年で、累計販売冊数が100万冊を突破しています。

では〝ただのノート〟が、100万冊も飛ぶように売れたのは、いったいなぜなのか?それが本書のタイトルです。

キングジムが今まで世に送り出した、代表的なヒット商品を例にとりながら、商品開発の裏側やこだわりについて開発者に話を聞き、実際に各商品を使い込むことで、その理由を導き出します。同時に、次々とヒット商品を生むための秘訣、言い換えればキングジムの〝ヒット脳〟を解き明かします。

著者は、2009年刊行のベストセラー『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』の美崎栄一郎さん。当時はまだ花王に勤務されていましたが、現在は独立して商品開発コンサルタントとして活躍中です。

美崎さんがキングジムについて取り上げようと思ったのはなぜか。それは、ほかの文具メーカーとか異なり、〝電子文具〟という電源を必要とする文房具と「キングファイル」に代表される、ごく普通の文房具の両方で、ヒット商品を出していること。また、ヒットを〝連発している〟ことです。

ヒットを連発するということは、そこに確かな仕組みがあるはずです。美崎さんの仕事術を随所に織り込みながら、ヒットの秘密に迫っています。キングジムの場合、ヒットするかどうかは、その商品にお客様が〝グッとくる〟かどうか。つまり、心をつかまれ無性に欲しくなる、ということだと指摘します。先ほどの「ショットノート」では、アナログノートなのにスマートフォンと簡単に連携できるところが、ユーザにグッとくるのです。

開発秘話でけでなく、著者がどう使っているのかという〝文具術〟や〝デジタルツール活用術〟も織り交ぜて、企業の仕組みだけを解明した本とも、仕事術の本とも異なるユニークな仕上がりになっています。

美崎さんには今後も、新たなジャンルのビジネス書を期待します!

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