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2017年20冊目『逆境からの仕事学』

2016-12-08 21:15:59 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

東京大学名誉教授(政治学・政治思想史)で現在は熊本県立劇場館長を務め、ミリオンセラー『悩む力』の著者である姜尚中さんが、改めて仕事とは何かを考えてみたいという人に向けて書いたものです。

仕事のハウツー本ではないので、すぐに真似のできるマニュアル的な技術や即効薬のようなものはほとんど書かれていません。しかし、仕事の課題に向き合ううえで役立つ視点やヒント、仕事の質を高め、生き方を豊かにするための手がかりとなるものには廻り合えるはずです。

姜さんは本書を通じて、3つのことを言っています。「自分にとっての仕事の意味を考えよう」「複眼的な視点を持とう」「人文知に学ぼう」です。仕事は社会への入場チケットであり、社会の中での自分の使命(ミッション)に気づき、仕事に打ち込むことができれば理想です。その際に、人文知を頼りに、過去の歴史的な人物や出来事に学ぶのがよい方法です。

・人間の悲劇は、「未来を予測したがる」ことと「記憶を持っている」ということに起因しています。すなわち、過去を悔やみ、未来を不安に思うために、心の病に陥ってしまうのです。「時」が待っていてくれるという安心感があるからこそ、人は「いま、ここ」に懸けて、一生懸命頑張ることができるのです。ただ待つのではなく、「いま」と「ここ」を頑張りながら「その時」を待つ。(P.84)

・「選択と集中」のバックグラウンドには、実はもっと根源的で、無駄なものを含めた重層的な広がりがある。無駄を含めた土台ができあがって初めて、何かを選択し、何かに集中する次なるステップに進むことができる。われながら無駄が多いと思います。あるいはそれは、私の不器用さゆえでもあるのかもしれません。しかし、何はともあれ、それでまちがっていなかったと、いまは思っています。(P.87)

・多くの人はリーダーというと、即、総理大臣とか社長といったものを連想されるのですが、つらつら鑑みるに、日本というのはどうもそのようなスペシャルシートに逸材が現れにくい土壌なのです。言い方を変えれば、「一人のカリスマ的な人物が国全体を引っ張っていく」スタイルがなじまないのです。では、どのようなスタイルがふさわしいかといえば、最もぴったりくるのが「さまざまな分野に中小レベルのリーダーがたくさん存在する形」ではないでしょうか。(P.168)

結局、他者や社会との出会いは、自分が知らなかった自分との出会いだと言えます。そして、それに気づいたときに、本来の意味での多様性に目覚めるのだと思います。

これから仕事に就くという若者や、何かの理由で仕事に行き詰っている人、仕事とどう関わっていけばよいのか悩んでいる人に読んでほしいです。

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